-LA TOURNEUSE DE PAGES- by Denis Dercourt
あるピアニストに夢を潰された一人の少女。
大人になった少女は、そのピアニストに近づく。愛と憎しみがないまぜになった思惑を胸に彼女が実行した復讐劇とは...。
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邦題『譜めくりの女』(2007 フランス)
監督 ドゥ二・デルクール
出演 カトリーヌ・フロー、デボラ・フランソワ 他
 

「ピアニストになる」という想いを抱いていた少女メラニー。その夢を果たすべく少女はコンセルヴァトワールの入学試験に向かいます。
「もし、試験が駄目だったとしてもレッスンは続けていいぞ」と言ってくれる父に対し、「いいえ」と答えるメラニー。彼女は固く決意していました。「これが最初で最後のチャンスであって、もう次はないのだ」と。
ピアノの実技試験の審査委員の中には有名ピアニストのアリアーヌ(カトリーヌ・フロー)がいました。メラニーにとって、アリアーヌはまさに雲の上の存在。憧れの人の前で演奏するということは、緊張と恍惚が同時に昇りつめる最高の瞬間なのです。自信満々で演奏を始めたメラニーでしたが、突然、アリアーヌのファンがサインをもらいに会場に入って来ました。試験中の会場に入って来るという非常識な行為。しかし、ピアニストはそれを咎めるどころか、相手の求めに応じてサインしてしまう。アリアーヌの行為にショックを受けたメラニーは演奏を止めてしまいます。
自分のせいでピアノが止まったとも知らず、アリアーヌは「どうしたの?続けなさい」と冷淡に言い放ちました。しかし、すっかり動揺したメラニーは演奏を再開することが出来なくなってしまいました。彼女のピアノ人生はそこであっけなく幕を閉じました。メラニーは自分に課した取り決めどおりに、ピアノに鍵をかけ、ピアニストの夢を永遠に封印するのです。

b0069502_20122431.jpg月日は流れ、女子大生になったメラニー(デボラ・フランソワ)。
弁護士ジャン・フシェクールの事務所に実習生として入ることになります。名高い弁護士、ということで希望者は殺到しましたが、短大生ながらも抜群の成績、履歴書に書いてきた応募の動機が特に素晴らしい、ということでメラニーが抜擢されたのです。その"素晴らしい動機"というのがどう書かれていたのかは最後まで知ることができなかったのですが、彼女の真の目的ははっきりしていました。メラニーの標的は弁護士ジャンの妻。それはかつて自分の夢をあきらめるきっかけを作ったピアニストだったのです。
メラニーは弁護士夫婦が期間限定で子どもの世話係を捜している、という情報を聞きつけ、直談判で自分を売り込み、まんまとフェシクール家に近づくことに成功しました。

かつての憧れのピアニストは、試験会場にいた時の彼女とは違う状況になっていました。3年前に交通事故に遭ったおかげで情緒不安定になり、これまでのように人前で緊張せずに演奏できなくなっていました。これではプロとして使い物にならない。彼女のピアニスト生命は危ぶまれていました。
メラニーが譜面を読めることを知ったアリアーヌは、演奏の時に自分の譜めくりをしてくれないか、と依頼するのです。"譜めくり"はページをめくるタイミングが演奏の出来映えに大きく影響するとも言われている重要な存在。メラニーの胸の内など全く知らないアリアーヌは彼女に大いなる信頼を寄せ、心を委ねて行きます。そして、二人の間に流れる不思議な感情に気づき戸惑う。しかし、その時にはすでにアリアーヌはその娘に心を奪われ、その存在なしにはいられないほどになっていました...。
二人の立場が完全に逆転したと確信したメラニー。これまでずっと温め続けて来た復讐のシナリオを完璧なものにするべく、最後にとった行動とは...。

この作品、登場人物が繊細過ぎるのか、自分には理解しづらいところがいくつかありました。
まずはヒロイン、メラニー。ピアノが大好きでピアニストを目指していたのに、なんで1回こっきりで諦められるんでしょ。父親が続けてもいいと言ってるのに。最初から再チャレンジは有り得ない、と決めつけていましたが、幼心にも「同じことに何度も挑戦するのは才能がない証拠」と考えていたのかも知れません。「だから私は1発勝負しかやらない」と考えてたとか。そこまで思いつめること自体、壮絶な意思だと思います。
「その人生最後の勝負に失敗したのは、あのピアニストが私に敬意を払わなかったせいだ」と自分勝手に責任転嫁し、いつか復讐しに行ってやろう、とずっと機会を窺っていたのかも知れません。かなり性分が悪い女です。
そして準ヒロインのアリアーヌ。繊細なんだか鈍くさいんだかわかんない。
コンセルヴァトワールの試験会場に到着した時にサインを頼まれた時は「後で」と断ったくせに、なんで試験の真っ最中にサインに応じてるのか。しかも、よりによって自分を破滅させようと近づいて来た女にあっさり親愛の情を寄せ、全面的に寄りかかってしまうという脳天気さ。そして、メラニーがあの時の少女であることに最後の最後まで気づかない。おまけに「私、彼女と....かも知れないわ」と親友に打ち明ける始末。でも、おいおい、そんなシーンなんてあったっけ?それに、ああた、旦那さんも子どももいて、今更、同性に惹かれちゃった、なんて、そんな。あげくの果てに、メラニー宛に書いた手紙を旦那さんに読まれた時(わざとメラニーが彼の机に置いてった)、失神して倒れるという古典悲劇の王道。これはまさに神業です。

でも、う〜ん、とまぁ。
後でいろいろと考えて見ると、アリアーヌはともかくメラニーはそうなのかも知れません。アリアーヌの頬(唇にきわめて近い)に軽くキスし、耳元で何かを囁く場面とか、息子と三人でかくれんぼした時、アリアーヌとメラニーが同じ木の陰で身を潜めるところとか、直接的でなくともニュアンスで何かを伝える部分はありましたので。
それにしても、メラニーは恐るべき女です。端正ながら無表情で冷淡な美貌、そのクールビューティとは裏腹にちょい豊満なボディ。彼女に欲情したアリアーヌの同僚(♂)に体を触られた時も表情ひとつ変えず、楽器の先を相手の足に突き刺す冷酷さ。アリアーヌに寄り添ったり、忽然と姿を消したりして、女主人の心を手玉に取る手練手管。ハリウッド映画のような派手さや復讐劇にありがちな「ドロドロした女同士の争い」的な部分がないので、見終わった時は「何だかようわからん」と思ったのですが、今こうして思い返して見ると、結構スリリングなお話ですよ。
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この2ショットはカンヌ映画祭での1コマでしょうか。
スクリーンの中で火花を散らした二人の女優がとても和気藹々に見えます。この映画の監督者、ドゥ二・デルクールは映画業もこなす傍ら、ヴィオラ奏者であり、ストラスブール国立音楽院の教授としても活動しています。これは本物の音楽家が創った映画。
人物の描かれ方に多少無理があるような気もしてましたが、彼の経歴を見て納得しました。登場人物の描き方、音楽の使い方、映像、あらゆるものがエレガントな作品だと思います。

『譜めくりの女』公式サイト
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by marikzio | 2008-07-29 20:12 | Movie | Comments(0)
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