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モーガン・スパーロックの 『IMMIGRATION』

モーガン・スパーロック 『30DAYS 2シーズン』の第2話は「不法移民と30日間」。
愛するアメリカの平和と秩序を守るため、市民ボランティア団体で活動するフランク・ジョージ。キューバから合法的に移民した彼は、非合法に移民してくる人々を許さない。そんな彼が、不法入国者のメキシコ人一家と寝食を共にする30日間。
果たして彼らの間に歩み寄りは生まれるのでしょうか....? 
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フランクが7歳の時、キューバ危機の煽りを受けて、一家はアメリカに移住しました。当時は温情措置もなく、両親はこれまでの私財を放棄して、何かと苦しい思いもしましたが、正式な手続きを経たおかげで、堂々と米国市民として生きていることを誇りに思っています。
それ故に、非合法にこの国に棲み着く移住者たちに対して厳しい目を向けざるを得ない。
かつてはよそ者を積極的に受け入れて来た、人種のるつぼアメリカ。しかし、際限なく流れてくる外国人移住者達が横溢し、アメリカがアメリカでなくなって来ている。
彼と彼の妻は警備員として国境に立ち、南からやってくる異国人達に目を光らせています。不法入国者たちは、自分たちの国へ帰る権利はあっても、ここに住む権利はない、と言い切るフランク。彼が好んで着ている星条旗Tシャツや「I LOVE AMERICA」というロゴが滑稽かつ空恐ろしくもあります。キューバ系のアナタのアイデンティテイって一体...!?

そんな彼が、ロスにあるメキシコ人一家のアパートで30日間過ごすことになります。
ゴンザレス家は夫婦と子供が5人の大家族。7人がリビングと寝室が1つの狭いアパートでひしめき合って暮らしています。アメリカで生まれた11歳のリカルドと10歳のカリーナ以外はみんな不法滞在者。(家族、個人名ともに仮名)
ゴンザレス氏は一般アメリカ人が誰もやりたがらないような、厳しい条件の肉体労働に従事し、生計を立てています。婦人は就職することができないため、廃品回収などをして、雀の涙のような収入でも大事にして、子供達のクリスマス・プレゼントにあてようとしていました。
「不法移民はアメリカのためにならない」というフランクに対し、17歳のアルミダは反論します。
「不法滞在者の私でも、一生懸命勉強して、いい仕事に就けば、結果的にこの国に貢献することになると思うの」
アルミダは知的な美少女。向学心旺盛で高校ではトップクラスの成績。進学することを希望し、第1希望のプリンストン大学からの合否通知を待っていました。ゴルフの腕前も素晴らしく、町のコンテストで優勝するほど。
しかしフランクは、「必死で中流家庭の真似事をしている」アルミダが哀れでならない。名門プリンストンで学びたがっているのも、上流社会の娘たちと同じことをしたがっているだけだ、とコメント。
「あなただって、私たちと同じラテンアメリカ出身でしょ。だったら、理解してくれてもいいはずよ。なんで、将来に希望を抱いちゃいけないの?」こう必死に訴えるアルミダ。
彼女の高校の先生も登場して、「フランク、君の考えは間違っている。彼らの将来を潰す権利は君にはない」と指摘します。
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ゴンザレス家のドアを叩く時、フランクは彼らが懐にナイフでも隠しているのではないか、と不安に思うほどでした。何故なら、彼らにとって自分は天敵。そして、ゴンザレス・ファミリーにとっても、フランクとどれくらい解り合えるかは予測不能でした。
「ラテン系なら、きっと理解してくれる」と楽観的な母親に対し、娘達は「ラテン系だからこそ、タチが悪い、ってこともある。なんで同じ移民なのに、私たちを追い出そうとしているの?」と昂然と反論。
しかし、フランクはゴンザレス夫人の懐の暖かさ、家族愛溢れる一家に次第に心を動かされて行きます。「不法滞在は悪いことだ。しかし、心根がとてもいい人達なので複雑な気持ちになる。」

フランクは、ゴンザレス氏の母国メキシコに渡り、彼の実弟に会うことになります。アメリカに渡って10数年、彼らは一度も帰国していません。自分の国を永久に捨てるという、決意。そこに到るまでにはよほどの事情があったというわけです。
メキシコに渡ったフランクの前に突きつけられる衝撃的な事実。ゴンザレス家の狭いアパートでさえ、決して居心地がいいとは言えないのに、メキシコの弟の家は泊まるのが憚られるような有様でした。何もかもが古くて、どんなに掃除しても払拭できないほどにこびりついた生活の垢。そして、ゴンザレス一家がかつて住んでいたという家の跡を訪れるフランク。
煉瓦を積んだだけの壁以外には天井もなく、草木も伸び放題の廃墟。ここで暮らしていたなんて。その凄まじさに言葉さえ失います。人が住まなくなってから10数年も経っているので、当時はこれほど荒んではいなかったと思うのですが、「これはもはや人間の生活とは呼べない」と絶句するほどの有様のようです。
「なんでアルミダがあれほどまでに学業にこだわるのかがわかった」と呟くフランク。
「ここにはまともな仕事もない。彼らはアメリカに渡るしかなかったんだ。」とゴンザレス氏の弟は語るのです。
その夜、ゴキブリ出放題の弟さん宅に宿泊するフランク。ロスでの狭いアパートが懐かしい?

アルミダはプリンストンへの入学が認められず落胆。「まぁ、東海岸なんて寒いだけだしね。」
彼女ほどの美貌と知性を持ち合わせていたら、何だって手に入るはずなのに残念です。しかし、結局、地元の大学に入学が決まり、ともに喜びをわかちあう彼女とフランク。
彼は今や、ゴンザレス一家を心から応援するようになっていました。最終的に、彼は自警団に残ったものの、国境に立つのはやめたそうです。
その後、アルミダは地元の大学に入学したものの、プリンストンに編入する方向で申請中なのだそうで、夢をあきらめてはいないようです。そのハングリー精神は見習いたいものです。

アメリカン・ドリームという言葉がすっかり古くさくなった昨今ですが、未だに、この国に夢を託すしかない人々がいっぱいいるというわけですね。今回はさほど意外性もなく、あっという間に終わってしまった、という感じでした。
シーズン1ではイスラム教徒と暮らした敬虔なクリスチャンやゲイと暮らしたストレートな青年がある程度の相互理解は生まれたものの、完全には自分の信条や偏見を払拭することはできなかったんですが、今回は、ほぼめでたし、めでたし、という結末でした。
しかし、ゴンザレス一家。いくら仮名とは言え、しっかり顔を公表しちゃってて大丈夫なのかなぁ。特に大学進学が決まった彼女なんかは、その後が心配です。
番組サイドはそのへんのフォローは考えてるんでしょうか。アメリカ人のそーいうところがアバウトなんですよね。

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モーガン・スパーロックの『30DAYS』第2シリーズ

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by marikzio | 2007-06-25 17:11 | Television | Comments(0)

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