-5×2- by FRANCOIS OZON
あるカップルが経由する5つの場面。
『離婚』から『出会い』へと逆行するうちに、夫婦の間に横たわる謎が解かれていく、という恋愛ミステリー。オゾン映画と言えば、"同性愛"がお家ゲイ(Rimbeauさんから拝借)なんですが、今回のテーマはヘテロ愛。
...と思いきや、奥さんの後ろにまわされた旦那さんの手。この"お尻"に対する執着がカギだったんですね。
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邦題 『ふたりの5つの分かれ路』
出演  ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ステファン・フレイス
監督・脚本 フランソワ・オゾン
2004年 フランス

注意! 激ネタばれ!!!


30代のカップル、ジル(ステファン・フレイス)とマリオン(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)。
物語は二人の離婚調停場面から始まります。一人息子がいるが、すでに別居状態の二人。無事に(?)離婚成立した後で、なぜか二人は同じ部屋の中にいました。
「カーテンを閉めようか」と訊ねるジルに対して、「いいえ」と答えるマリオン。
ジルはジャケットを脱ぎ始め、マリオンは少しの間ためらいますが、彼に続きます。
えっ、離婚したばかりの二人がベッドイン???
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マリオンはすぐにやめようとするんですね。「やっぱり、ついて来なければ良かった。」
しかし、それを遮って行為を無理矢理続行するジル。あまりの苦痛に悲鳴を上げるマリオン。彼女の目には涙が...。どうやら、女性としてされたくないことを元夫にやられてしまったようです。
やっぱり変態オゾン様。今回は男女の愛だと油断してたのに、しょっぱなからカマしてくれます。
その後、バスルームから出てきたマリオンは、ベッドにはジルの姿はなく、部屋の窓が開けっぱなしになっているのにギョッとします。
「自殺したと思ったんだろ?」彼は部屋の片隅に身を潜めていました。
「裸でセックスできて満足だろ?」と謎めいた台詞を吐く元夫。
「君の勝ちだ」
「勝ち負けじゃない。終ったのよ。」
「いつも君が正しい。おわりだ。」

「やりなおせないか?」
そして、一人部屋を出て行くマリオン。

場面は変わって、家族として暮らしていた頃のアパート。
仕事から帰ってきたばかりのマリオンを待っていたのはジルと幼い一人息子。シャワーを浴びたい、と言うジルに対して、マリオンは化粧を直したいからちょっと待って、と言います。鏡の前でドレスアップしているマリオン。息子を寝かしつけたあとで、ジルはバスルームへ直行。どうやら、これから出かけるか、来客があるらしい。
ドアの呼び鈴が鳴って、ゲストを出迎えるマリオン。今夜の客はジルの兄クリストフ(アントワーヌ・シャピー)で、彼の恋人はこれから来る予定だと言う。今夜は夫婦と兄とその恋人の4人でパーティをすることになっていたのです。
クリストフの恋人はめちゃめちゃ若い美青年。おじさんのクリストフとは、誰がどう見たって不釣り合いな相手。その彼が今までいろんな相手(♂)に身をまかせてきたと、奔放な告白をし、それを笑顔で見守るクリストフ。
そんな中でふとジルが口を開きました。「浮気はホモの専売特許じゃないんだぜ。」
なんと、この場で自分の乱交体験話を披露。その現場にはマリオンも居合わせていたのですが、彼女は参加しなかったのです。そして、その時、初めて男性体験をしたと語るジル。「兄貴の気持ちがわかったような気がしたよ。」
言うまでもなく、このエピソードが二人の未来を決定するものとして、暗示されています。この時点ですでに二人はセックスレス・カップルらしい。

更にタイム・スリップして、マリオンが出産する場面。
妊婦の定期健診に来ていた彼女に、異常が見つかって、「ただちに陣痛を起こさなくては」と宣告されます。急遽、人工的に出産させられることになったマリオンは夫に連絡を。
非常事態だというのに、ジルは敢えてレストランでゆっくりランチを取り、渋滞でもないのに、車の中に居座って時間を潰します。携帯には何件もの留守電メッセージが。出産に直面している妻からのものであることは言うまでもありません。ようやく彼が病院に到着した時は、赤ん坊は生まれた後でした。
保育器の中の弱々しい未熟児が自分の息子だと、どうしても実感できない風のジル。自分が父親になってしまったことすら認めたくないように見えます。
ここで夫婦の間に溝が出来ていることが伺い知れるんですが、妻を妊娠させているんだしなぁ、いつから隙間風が吹くようになったんだろう???
と思っていたら、マリオンご懐妊の秘密は新婚式初夜に隠されていたのです!...って、私の深読みかも知れませんが。

二人の出会いはカリプソ島でのヴァカンス。
恋人ヴァレリー(ジェラルディン・ペラス)と来ていたジルは、仕事上での顔見知りだったマリオンとビーチでばったり遭遇。彼女が一人旅だと言うので、彼は3人でごはんを食べようと誘います。
マリオンはお一人様ヴァカンスだったんですね。ホテルにチェックインする時にルームナンバーが213だったのに、「あらっ!」と声をあげます。コンシェルジュが「迷信を信じます?」と聞くのに対し、「いいえ」と答えるエピソードがあるんですが、そんな迷信があるんですね。具体的な内容は知らないんですが。
ヴァレリーは美人だけれど、ちょっと高慢。お一人様で食事している女性を「ちょっと哀れね」と言ったり、マリオンにも「一人で嫌じゃない?」と露骨に聞いたりする。マリオンは失恋して4ヶ月たったばかりで、まだ新しい恋を始める気になれないのだと言う。
この旅はジルとヴァレリーにとっても分岐点となる旅でした。二人の間に不協和音が生じつつあって、そこに登場したマリオン。仕事上、顔をあわせるだけで、彼女のことはほとんど知らない...。
「魅力的な人ね。」やや皮肉な調子で評するヴァレリー。「あの子に欲情してるんでしょ?」
「そうだ、彼女に欲情している。」そう言いながら、ヴァレリーを後ろ向きにするジル。二人の間に何が起こったのかは、はっきりわかりませんが、次の朝、一人で山登りをするヴァレリーの姿が。
そして、ジルはマリオンと時間を過ごしていたのです。
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b0069502_11192784.jpgマリオン役を演じたヴァレリア・ブルーニ・テデスキは北イタリア、トリノの名門ブルーニ家の出身。
妹は元スーパー・モデルで歌手としても大成功したカルラ・ブルーニ。
映画デビューは1987年で、「君が、嘘をついた」、「愛する者よ列車に乗れ」など出演作多数。
「今まで男たちの被害者的役が多かったが、今回は初めて幸福や欲求を求める、ごく普通の女性を演じることができた」と語っていますが、この作品だって、ある意味、充分被害者なんじゃないの?と個人的に思ってしまいました。
でも、ジルとの出会いや結婚、出産、別れの決意など、自分の選択で歩んで来た道は、一人の女として生きた証なのです。一人ビーチで所在なげだったマリオン、男を後に遠ざかって行くその背中に力強さと共感を覚えます。これからも自立した女として、母として前を向いて進んで行って欲しい、とエールを送りたくなるのは、私だけではないと思います。
妹カルラのような華やかさはありませんが、雰囲気的に好きな女優さんです。それに、とっても素晴らしいプロポーション!「ぼくを葬る」でも出演しているそうなので、是非ともオゾン作品の常連の顔になって欲しいです。
夫役のステファン・フレイス、顎髭で時間の流れを出していました。離婚直後なんて、ゲイのおじさんそのものの風貌になってましたね。ちょっとヴァンサン・カッセルに似ているような気がするんですが...。インタビューの中で「ジルはとても苦しんでいるんだ。マリオンは強く、ジルは傷つきやすいけれども、彼は性の認識について、くよくよ悔やんではいない。結婚が破綻して、消えていくのにも、苦しみながら対峙しているのだから、彼は意気地無しではない。」と語っていました。

この映画を見終った時、正直、何が言いたかったのかよくわかりませんでした。
性の不一致で心が通わなくなって、離婚の道を選んだカップルの話なんて珍しくもないし、特別ドラマチックな展開があるわけではないし、時間を遡るという手法も特別斬新なものとも思わないし。
まぁ、オゾン映画には「何だったんだろう?」というモヤモヤ感がつきものであります。彼のコメントや役者のインタビューを読んで初めて、「ああ、そういうことだったんだ。」と納得することの方が多いです。
で、結局、最後には好きになっちゃった作品でした。

画像元 Francois Ozon site officiel

日本語サイト 「5×2 ふたりの5つの分かれ路」 オフィシャルサイト
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by marikzio | 2006-10-04 09:22 | Movie | Comments(2)
Commented by Rimbeau   at 2006-10-04 20:20 x
またもやOh! Yeah! Gay!(お家ゲイ)な作品だったんですね!

お洒落なポスターと思ってたけど、そんな”ワナ”が隠されてたとは。。。
劇場で見逃したので、この興奮(?)冷めやまぬうちに見てみたいですね。
Commented by marikzio at 2006-10-05 09:08
やっぱり、ホモモモモモもホモのうち、だったオゾン。
彼にしては全体的にややおとなしめな印象を受けました。でも、音楽の使い方とかいいですよ。
メジャーになって、このままマトモになって行くのかと思ったら、「ぼくを葬る」でパワー炸裂!?

オゾンのサイトもよく出来てますよね。
扉が最新作のPRになってるのもGOOD!
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