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- ANGEL-A - by Luc Besson

「やぁだ、普通じゃん...」
エンドロールが始まった時の私の感想です。えぇ、これで終わり?何のオチもどんでん返しもなく、文字通り、ハッピーエンドで幕を閉じた『アンジェラ』。一癖も二癖もある、フランス映画界の異端児、リュック・ベッソンが6年振りにメガホンをとった話題作、のハズなんですが...。
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ストーリーはあくまでもシンプルでストレート。
モロッコ系アメリカ人のアンドレ(ジャメル・ドゥブーズ)は運に見放された男。フランスに渡って、仲間と事業を起こそうと、借金をするのですが、金を借りた先がチンピラで、4万ユーロという大金を今日中に返さなければ、お前の命はないと宣告されてしまいます。その他にもヤバイ筋の組織のドンにエッフェル塔の上から脅され、これまた雪だるま式に膨れ上がった負債の精算を約束させられるのです。迫るタイムリミットの中、投獄で命拾いをしようと企てるも失敗。自分の理想とはほど遠い生き方をしてきた28年の生涯。しかし、その人生さえも強制終了させられようとしている。まさしくこの世には神も仏もいないのか?
巴里の名所、アレクサンドル3世橋の下のセーヌ川に飛び込んで、何もかも終わりにしようとした、その瞬間、彼と同じことをしようとしている女性の存在に気づきます。
こんな若くて美しい女性が水に飛び込んで命を絶とうとしているのを見て、阻止しようと思わず身を投げ出すアンドレ。しかし、その出逢いが彼の運命を大きく動かすことになるのです。

女の名はアンジェラ(リー・ラスムッセン)。
マネキンのような人間離れしたボディに輝くブロンド。娼婦みたいな布の少ないドレスを着て、時に狂暴だけど、実は地上に舞い降りた天使。やさくれ男のアンドレを救おうと彼女はやって来たのです。
ネガティブなアンドレをことあるごとにたしなめるアンジェラ。彼が自分自身を愛せる人間になって欲しいから。この男は人に愛されたことがなかったから、自分を好きになれない。鏡の中の自分に向かって愛してると言いなさい。
突然、自分より背の高い完璧な美女が目の前に現れ、問題をあっさり解決してくれる。アネゴ肌で気が強いけど、とても繊細なアンジェラ。アンドレもツキがないくせにギャンブル好きでろくでなし男だけど、どこか憎めない奴なんですよね。
これってまさに「ベルリン天使の詩」のフランス版、ってところでしょうか?全編モノクロで描かれ、巴里の観光スポットが次々登場するところもミソ。
いかにも、パリや仏映画に憧れている女の子が喜びそうな映画じゃないでしょうか?「ピュアなラブストーリーで、パリの風景がとーっても素敵なの!」
これからパリに行く人、パリの想い出に浸りたい人なら、一見の価値はありそうです。
確かにさ、橋の上を歩いているアンドレの後ろに見えるアンバリットに郷愁を覚えたし、彼らがサクラクレール寺院をバックに佇んでいるところなんて「この階段の下で、あの忌まわしい黒人集団にからまれたんだよなぁ」と思い出したり、ガール・ド・リヨンのスタンドでコーヒーを飲んでいるアンジェラがアンドレに向かって「アレは南に向かう列車ね。南仏って大好き!」と言うシーンのところで、「そうそう私も此処にいたのよ!南に行ったのよ!!」と心中で叫んだりしたりしたけれど、映画ってそれだけじゃダメだと思うのよ。
ベッソンの仕事の質が年々、落ちているように感じていたけれど、本作でそれを余計強く感じる結果になってしまった。個人的には駄作だと思います。
映像的にはスタイリッシュだけど、モノクロに逃げてるところが陳腐と言うか...。以前のような斬新さとかセンセーショナルな要素は薄れましたね。彼も賞味期限、ということなのでしょうか?

Rie Rasmussen

- ANGEL-A -  by Luc Besson_b0069502_20525912.jpg1978年生まれ。デンマークのコペンハーゲン出身。
アメリカのランジェリー・メーカーのモデルとして話題を呼び、一躍トップモデルに。映画初出演は'02年、ブライアン・デ・パルマの「ファム・ファタール」。
モデル、女優業をこなす傍ら、絵を描いたり、映画制作もする、というマルチな才能の持ち主。ベッソンが惚れ込むのも納得、という気はします。
だからってさー、この映画の目的って、ただイイ女を撮りたかっただけ?としか感じさせないのが残念でなりません。
ヨーロッパコープのサイトで彼女のページ(写真や作品)がリンクされています。


ANJA GARBAREK

- ANGEL-A -  by Luc Besson_b0069502_219202.jpg音楽を担当したアンニャ・ガルバエクはノルウェーのオスロー生まれ。
消え入りそうなウイスパー・ボイス、日本人の耳にも馴染みやすい北欧系ポップのメロディーが不思議な空気感を創り出しています。
とても古そうなカフェ(どこで撮影したのか気になります)で、アンジェラがアンドレに自分の身の上を打ち明けている時に、彼が真に受けてくれないので、泣き出してしまうんですが、その場面で突然アンニャの歌が流れ出します。
ここがまた日本の女の子にとってはツボなんでしょうな。私にはとても安っぽく感じますが、10年前の自分だったら、ストライク・ゾーンだったかも知れない。でも、marikzio、もう子どもじゃないの!(意味不明)
これまた、ヨーロッパ・コープのサイトで彼女のヴィデオ・クリップを見ることができます。

日本語サイト映画「アンジェラ」
ヨーロッパコープのサイトANGEL-A
by marikzio | 2006-05-22 20:12 | Movie | Comments(0)

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by marikzio
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