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「皇帝ペンギン」  -by LUC JACQUET -

エミリー・シモンが音楽を担当して、ずっと気になっていた「La Marche L'Empereur」、秋になって、ようやく青森でも観ることができました。
ほんとは、吹き替え版でない方が良かったのだけど、ミニシアター系の映画はなかなか観に行くチャンスがないので、贅沢は言っていられません。予想どおり、映画館には家族連れが目立ちましたね。

「皇帝ペンギン」  -by  LUC  JACQUET -_b0069502_16313153.jpg
皇帝ペンギンの生態について、予備知識のまるでない私にとって、この映画は"目からウロコ"の連続。
左右に揺れながらペタペタ歩くペンギンさん達が海の中では、弾丸のようにビュンビュン泳いでいくのが圧巻でした。
皇帝ペンギンって、海中と産卵時には氷の上、と住み分けしてるんですね。ずっと陸地で暮らしているのだと思ってました。
餌の豊富な海で自由気ままに暮らしていたペンギンたちは繁殖期になると、何十頭もの仲間たちとキャラバンを組んで、陸地のはるか彼方、自分たちが産声を上げた、氷で覆われた土地をめざして、20日間にわたって行進を始めます。卵を産み、育てるには固い氷の上でなくてはならないんですね。
そして、同じ日、同じ時間に、何組ものキャラバン、数千頭ものペンギンたちが目的地に一斉に集合するのです。
そう、まるで"魔法にかかったように"。

そこで、パートナーを探し、メスに対して少ないオスをめぐって争奪戦を始めるメスたち。
何年も前から夫婦だったカップルは、参戦することなく、愛のダンスを始めます。
この光景がとても神秘的で、エミリー・シモンの透明感のある声が冴え渡ります。まるで人間のラブシーンのような美しさ。ふわふわの羽毛がズームアップされて、触りたくなっちゃいます。

愛のダンスが成立して、3ヶ月後、いよいよメスは卵を産み落とします。新しい生命の第1歩。
ママはつま先立ちで卵を温めつづけますが、自分の空腹を満たし、生まれて来るヒナに与える餌を取りに行くために、ここから100km先の海へ旅発たなくてはなりません。
父親に卵を託し、母親たちは行進を再開します。
父ペンギンは寒さから身を守るため、仲間と円陣を組み、なんと120日間もの間、何も食べずに卵を守り続けます。
母親と交替した後、彼らもまた旅に出かけるのです。これで何人もの仲間が命を落すという、最も危険な行進。命があれば家族と再会できることを願いながら。

ペンギンって何ヶ月も食べなくても過ごせるようになってるんですね。それに、"サルのほおぶくろ"のように食べたものをキープしておく場所が体の中にあるのか、母も父も自分の口から餌を出して赤ちゃんに与えています。
海まで100kmもの道のりを歩いていかなくてはならないので、担いでくるわけにいきませんからね。ペンギンの体って、うまくできてるなぁ、と感心させられてしまいました。

それにしても、食べ物を得るために、いちいち2ヶ月もかけて、行進していかなければならないとは!団体からはぐれてしまったペンギンは個体で生きていくことはできず、自然は容赦なくその生命を奪うわけです。
残された片親や赤ちゃんも、ブリザードや天敵にさらされる危険がたえずつきまとい、行く者も留守を守る者もまさに"命がけ"なのです。
便利さばかりを追及した生活に慣れてしまった者にとって、皇帝ペンギンの実態は、なんて非効率、なんて危険!としかうつりません。
しかし、彼らにとって、この行進こそが、地球上に彼らの先祖が生まれてからずっとDNAの中に受け継いできたもの、これからも永遠に受け継がれていくものであるからこそ、より深い感動を覚えてしまうわけです。

自然の脅威にさらされ、命を落していくペンギン達の姿も、食物連鎖という大自然のシステムの中に組み込まれているものでしかないのですが、襲われそうになる場面に、「頑張れ!」と思わず、手に汗握ってしまいます。
時間が過ぎていくのがアッという間で、まだまだ続くのかと思ったらエンディングが始まって、名残惜しかったです。

この映画は監督がたった3人の仲間と8,880時間かけて撮影したものだそうですよ。水中の迫力映像も、さぞかし寒かっただろうな、と考えると震えがきそうです。
お腹で氷を滑るペンギン、ツルッと転ぶペンギンなど期待どおりキュートな表情を見ることができたのも満足でした。
しかしながら、オリジナルの字幕版はロマーヌ・ポーランジェが母ペンギンの声を担当しているので、そちらを期待していたのに、残念でした。
でも、石田ひかりさんも、大沢たかおさんも、神木隆之介君も素敵でしたよ。

画像元 映画「皇帝ペンギンの公式サイト」
by marikzio | 2005-10-18 17:45 | Movie | Comments(0)

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