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I DON'T MIND IF YOU FORGET -奈良美智展 in Hirosaki-

今日はmarikzioブログ始まって以来初の地元ネタ。とは言っても今を遡ること2年以上も前のお話なんですが...。
我が街、弘前が生んだイラストレーター、奈良美智。ファンタジックで独特の世界感を持った画風に魅せられた人々は多く、日本のみならず世界的にも注目されている現代画家の一人です。「ヨシトモ・ナラって誰だっけ?」と言う人でも、「吊り上がった大きな目、不敵な顔をした子どもの絵」を一度ならずも目にしたことがあるはずです。

2002年、「I DON'T MIND IF YOU FORGET ME」と題された個展が日本各地で催されました。その最終開催地が奈良の生まれ育った弘前市が選ばれ、最も規模の大きいものとなりました。会場は吉井酒造煉瓦倉庫。もう長いこと閉鎖されたレトロな煉瓦造りの建物です。奈良はこの古い建物の放つ独特の雰囲気に目をつけ、ここで個展を開こうと決めたそうです。
しかし何と言っても長いこと忘れられていた、古びた倉庫。博物館とはわけが違います。
そこで弘前市民に向けてこの個展の為にボランティア・スタッフが募集されました。
弘前市内外の学生や社会人、主婦たちが数多く集まったのは言うまでもありませんが、県外からも(何と京都からも!)参加希望者が続出したそうです。
地元の人はともかく遠隔地から来る人ってお泊まりとかどうしてたんだろ?そこまでして来ることないだろ、と意地悪を言いたくなりますが愛しのヨシトモの為ならエンヤコラ、というところでしょうか?

私は開催期間中、何と3回も足を運んでしまいました。これじゃまるで大ファン!みたいに思われそうですが、私は奈良美智ふりーくではありまっせん。第一私はあの子どもっぽい画風が好きじゃない。彼の描くキャラクターって、いかにも生意気そうで、こっちが一番指摘されたくないことを直球で言ってくるような感じがするんだもん。結果的にそうなっただけです。1回目は弟のお嫁さんと、2回目は母と、3回目は友人と行くことになりました。

倉庫の中は最初、暗い迷路みたいでした。実は前々からこの倉庫に入ってみたいと思っていたので、このような機会を作ってくれた画家にちょっぴり感謝しました。
倉庫独特のかび臭い匂いがただよい、会場内は展示のある場所だけライトアップされてるので、全体的に薄暗く、何とも言えない神秘的な空間になっていました。

1回目の感想は単純にへえ、という感じ。何度か見かけたことのある、お馴染のキャラクター達が現物として目の前に立ちはだかっている、という印象だけです。
2回目は作品のディティールに目が行くようになって、これはやっぱり素人にはできない仕事だな、と実感できるようになりました。やはり彼はホンモノです。
3回目は少し図々しくなって、一緒に来た友達と係員にあれこれ質問するようになりました。
ずっと気になっていたのですが、会場の隅に四角い小屋みたいなのがあって、そこに入る人数を係員が制限していました。その小屋の中には初期の作品と思われるような初々しい感じの小品やメモするついでにいたずら書きしたようなものが展示されていました。友達が「電話で話をしながらメモ用紙に絵を描いたりしてた物なんだって」と教えてくれました。係員の人に「ここのコーナーは他のブースと区別するために小屋を作ったのですか?」と訊ねたところ、「この小屋自体が作品なんですよ。」と説明してくれました。
作品名は忘れましたが、木でできた女の子が炎を持っている大きなオブジェがあって、そこに控えていたおばさんに友達が聞きました。
「これは切り株を彫ったものですか?」
「そうですよ」
「ひぇっ、切り株を彫って作ったんですかっ?」私は思わず叫んでしまいました。
「そうなのよ。」とおばさんはニッコリ。「この松明だけは別に作ったけれど。本人にとっては何個作ってもなかなか満足のいく物にならなかったそうですよ。何とか完成させたものの、それでもまだ気に入らないんだ、と言ってました。」
おばさんは更に続けます。「このオブジェもね、映画監督の岩井さんがメイキングビデオを作ったものを私見たんだけど、実物よりずっと迫力があるの。映像の中のこの女の子、また全然雰囲気が違うのよ。不思議だわ。」
こんな風に話すおばさんの表情はとても幸せそう。大好きな奈良美智の展覧会に関わることができたのがうれしくって、たまらない、という思いが伝わってきました。

I DON\'T MIND IF YOU FORGET   -奈良美智展  in Hirosaki-_b0069502_20112096.jpg展示作品をひととおり見たあと、売店にいきました。私は写真のぬいぐるみ、友達は絵はがきと画集を買ったような...。展覧会をあとにしながら、友達が言いました。「奈良美智ってさあ、子どもの頃から一人でいる時間を楽しむ術を知ってた、って感じだよね。」
このように大成功を収めた2002年の個展ですが、来る2005年、春に再び個展が開催されることが決定しています。
弘前会場はもちろん、吉井酒造煉瓦倉庫。期間は4月16日〜5月22日。
私は何度通うことになるのでしょうか?
奈良美智の情報が豊富なサイト「HAPPY HOUR」
by marikzio | 2005-01-04 21:47 | n'importe quio! | Comments(0)

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