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風邪を引いてしまいました。
一週間近くご無沙汰してますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
私は今週始めに風邪をひいてしまい、ブログも書かずに早寝を心がけているのですが、なかなか風邪が抜けずにいます。
倉橋由美子の記事とか、カロジェロの新アルバムのレビューとか、「ぼくを葬る」、「ママン」のDVDとか書きたいネタはあるのですが、復帰まであと2、3日はかかりそうです。
皆さんもお体には気をつけて。
それでは、もうしばらくお待ちを...。
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by marikzio | 2007-03-31 10:00 | Comments(6)

オゾンとバダイユ
かなり前から気になってるのに、未だに観てない、フランソワ・オゾンの「Le temps qui reste」(邦題『ぼくを葬る』)。
いつの間にか、DVDが出てました!

ぼくを葬る
メルヴィル・プポー / / 日活
ISBN : B000GRTSUU
スコア選択:


でも、いずれWOWOWでオンエアされるだろうし、映画のDVDなんて、そう何度も観るわけじゃないので、勿体ないかなぁ。でも、Rimbeauさんのレビューではちょっと過激な内容らしいし、偏愛するオゾン作品なので、買ってソンはないかも。
ちなみに、そのレビューは、こちら
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また、そのRimbeauさんがご覧になった映画で、もう一つ気になっていた、ジョルジュ・バダイユ原作の「Ma mare(邦題『ママン』)のDVDも発見してしまいました。
Rimbeauさんによる、「ママン」のレビューは、こちら
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そして、もうひとつ気になっていた、「変態村」 も発見!
う〜ん、これは劇場に行って観たいとは思っても、高いDVDを買ってまで観たいとは思わんな...。まあ、いずれはWOWOWに登場するでしょう。

と、いうわけで、「ぼくを葬る」と「ママン」の2本を衝動買い。
そう言えば、自分は「Swimming Pool」も待ち切れなくて、仏盤DVDを買ってますね。いかに、私が"好き者"か、ってことが伺い知れますわね。(汗)
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by marikzio | 2007-03-25 19:42 | Movie | Comments(5)

ここはヨーロッパ?
ここは、どこ?
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まるで、ヨーロッパのカフェみたいじゃありませんこと!?
例えば、そう、ウィーンのような...。

じゃじゃ〜〜ん!!
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ここは、青森市新町にある、"ヴィーナー・カフェ・コンディトライ・シュトラウス"。
音楽家、ヨハン・シュトラウスに因んだ名のとおり、青森にいながらにして、ウィーンに伝わるお菓子や雰囲気を味わえる場所。

私は、ここが気に入って、よく利用してます。
ここの職人さんは、オーストリア国家試験のコンディトア・マイスターの資格を取得してるそうで、味も本格的で美味しいです。
しかも、ここのウェイトレスさん達は、みんなメイド服。アキバのメイド喫茶が流行る前から、シュトラウスでは、メイドさんがいるんですよ。もちろん、「ご主人様ぁ〜」なんて言って跪いたりしませんが。
おトイレがまた、よ〜ろぴあ〜んな香りがしてステチですよ♪

ここで、お茶してるだけで、女帝マリアテレジアの気分になれます。
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これは、マリアンヌ・フェイスフル演じるマリア・テレジアねっ。
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我が娘マリー・アントワネットはいずこ...。

シュトラウスHP
通販もできるとは、知りませんでした。
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by marikzio | 2007-03-22 21:24 | n'importe quio! | Comments(6)

MY SPACE って、楽しいな♪っと
先日、MY SPACEのアカウントを取り、自分のプロフィールページをここで公開したわけですが、あれから手を加えて、大幅にリニューアルして見ました。
イタリアのセクシー姉妹、PAOLA&CHIARAのキアラがソロデビューしてたことは聞いてたんですが、彼女単独のMY SPACEもあるそうなので、早速お友達登録を申請。
しかし、彼女達のページはかっこいいんですが、画像多過ぎなのか重くて、開きにくいのが難点。

しかし、MY SPACEのシステム、突然画像が貼れなくなったり、検索機能が麻痺してたりと、動作に不安定なところが目立ちます。まだまだ、これから、というところなのでしょうか。
しかし、エキサイトでは出来ないYou Tubeの画像貼付けなんかが出来るのが面白くて、ついつい調子に乗って、いっぱいアップしてしまいました。ちょっとうるさいかな?

marikzioのMY SPACE

紹介文、初歩的英語と仏語のチャンポンで、稚拙な感じがしますが、marikzio、そこは武士の情けとして、大目に見てくだされ。
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by marikzio | 2007-03-21 18:17 | Comments(2)

MY SPACE 登録してみました。
今流行りのSNSって、どんなもんなんだろ???と思い、私もMY SPACEデビューしてみました。
でも、いまひとつ使い方がわからない...。
まあ、これから、ちょっとずつ、手を加えていこうと思います。

まずは、PAOLA&CHIARAとCARLA BRUNIにお友達になっていただきました。ROBERTにもお友達リクエストしてるのですが、受理されるでしょうか...。

marikzioのMY SPACE
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by marikzio | 2007-03-19 19:39 | Comments(6)

「聖少女」 倉橋由美子
b0069502_2043537.jpg事故で記憶をなくした女子大生。
未紀は事故以前の自分が書いたと思われるノートを見つけてしまう。暗号のように謎がちりばれられた過去の自分。婚約者だと言う青年Kに彼女は、その手記の解読を委ねる。

倉橋由美子『聖少女』は昭和40年、新潮社出版「純文学書き下ろし特別作品」シリーズの一冊として刊行された作品。
この小説のテーマはずばり、incest。当時30歳だった著者が、不可能な愛である近親相姦を、選ばれた愛に聖化することを試みた、究極のロマネスク小説なのです。

いま、血を流しているところなのよ、パパ。なぜ、だれのために?パパのために、そしてパパを愛したためにです。もちろん。.....あたしはパパに電話をかけてこんなふうに話してみようかしらと考えました。息を切らして、熱っぽい声で。でもできればじかにパパの耳に口をつけていうのが効果的です。それにあたしはパパの耳の形がとても気に入っています。あの耳のなかの廻廊は、男らしく簡潔で、手入れもいきとどいています。今度会ったときにそういってあげましょう。耳のこと、それから血のことも。...(中略)
いま、ほんとに血を流しています。痛くて、すてきな気もち。いつからだったか....あのときは、一滴も血をみないですんだのに。でもこれはたしかではありません。パパの武器にほんのわずかに血を塗ったことに、あたしは気づかなかっただけなのかもしれない......あれがはじまった瞬間、壮絶な出血というあたしの期待が裏切られたので、あたしはひどく狼狽しました。あの儀式のはじまりは、水道管が破裂した時の勢でまっかなものが噴きだしてパパの顏を汚すことでなければなりません。これこそあたしの割礼の儀式、善の包皮を切り裂いて悪を裸にする儀式にふさわしいのに。しかし、ことはすべて曖昧に進行しました。もっとパパのように数知れない情事を重ねてどっしりしている男のかたには未熟な女の子との、犠牲や苦痛の血にまみれた契約といったものなんか、うんざりにちがいなかったでしょう。....

Kは元コミュニスト。仲間と一緒に犯した反社会的事件のため、高校を退学処分となるも、大学に進学。そのあとはガクレンアンポ、国会乱入、逃亡、逮捕...という破天荒な生活を送ります。そして24歳になった今、アメリカ留学を希望しているのですが、過去の悪事が足かせになって、なかなかアメリカ大使館からヴィザがおりず、悶々とする日々。
未紀と出会ったのは、高校生だった頃。白くふわふわした生き物のように見えた未紀。まだ16歳だった彼女は縄文土器の模様のような編み目の白いニットコートに身を包んでいました。このコートの下には白銀の色をした繻子の中国服。真っ白な顏の大半を占めて輝くような大きな黒い瞳の記憶。その瞬間からKの未紀に対する神秘化が始まったのです。
それ以来、未紀と会うのは数えるほどしかないものの、二人の間に友情めいたものが芽生え、彼女の手や髪にさわることなく、ある種の信頼関係が築かれていました。
状況が一変したのは、未紀が起こした自動車事故。22歳の女子学生になっていた未紀が運転するポルシェが大型トラックに衝突。原因は未紀のスピードの出しすぎと前方不注意。同乗していた母親は即死し、未紀もまた頭を打って、重症を負うのです。命は取り止めたものの、一時は言葉も喋れず、体も動かせないほど、破壊されてしまった未紀。次第に回復して行ったものの、後遺症として器質性のアムネジア(健忘症)になって、過去の記憶を一部なくしてしまいました。
別人のようになってしまった未紀に、Kは自分はあなたの婚約者だ、と言って近づきます。これはあながち嘘ではありません。何故なら、未紀はKに電話ごしに「私と結婚して」と言ったことがあったから。未紀は記憶を取り戻さないままで、退院します。そして、自宅で自分の手による手記を見つけた彼女は、一番身近な存在であるKにそのノートを送りつけるのです。

ノートの中の未紀は自分の倍以上の年齢の男性と関係を持っているらしい。
彼女が"パパ"と呼んでいる男性は虎の門で開業しているダンディスト。この中年歯科医と自分の母操が昔恋愛関係にあったことを知っていた未紀はその歯科医院へと赴く。その歯科医は彼女が昔の恋人の娘だと気づかないままに、なんと、その場で未紀を誘惑。
するとパパは不安定な姿勢でよろめいたあたしのうしろに立っていて、すばやくあたしをささえてくれました。両わきの下から腕をさしいれあたしの胸の二つのふくらみをぴったりと掌におさめるようにして。痴漢!と叫ぶかわりに、なぜかあたしは鏡のなかのパパにむかってにっこりしてしまいました。なんともこっけいなことに、これでもあたしはパパを誘惑しているつもりでした。
「きみは植物みたいな子だね。」
あたしは恥ずかしさのあまり身悶えしました。熱い樹液のようなものが脚から胴へ、それからパパに捕らえられている果実の先端にまで、はげしい勢でのぼってくるのを感じながら、あたしは首を反らせ、パパの顎の下に頭をもたせかけていました。パパハアタシノ胸ガマダカタクテ樹ノ幹ミタイダトイウノカシラ?

自信満々で自惚れたっぷりのこの男を腹立たしく思うと同時に本能的に惹かれる未紀。「この人が本当にパパだったら。」とさえ望んでしいます。
二人の秘められた関係をエロティックに綴る一方で、未紀は母親に対して冷感症だの、人も動物も愛せない人間だ、と斬り捨てています。パパと関係ともつようになったのも、母親への復讐じみた思いがなくはありません。
家族は両親と未紀の3人家族で、父は**工業の社長。田舎丸出しの成り上がりの金持ちで、母が彼を愛して結婚したとは思えない。

有閑マダムな母は、道楽半分でざくろくるみという二店の喫茶店を経営。予想外にもうかかったため、翌年にはモンクという新しいお店ができました。
このモンクは未紀が好きなようにプロデュースしたお店であり、彼女のお城でした。

....店内は中世の修道院風に、暗く陰惨に装飾しました。壁にはブリューゲル、ヒーロ二ムス・ボス、ポール・デルヴォー、パルテュス、チャペラ、サルヴァドール・ダリなどの複製画をかかげ、死神のもつ錆びた大鎌、一時間ごとに死刑執行人があらわれて囚人の首を斬りおとす仕掛のまがましい時計、各種の鞭、いばらの冠などを吊しました。できることなら鉄の処女をはじめとする中世の拷問具を取りそろえたかったのですけれど。さて、カウンターのうえには魔女が使うという大きな水晶の球(もっともこれはガラスでつくらせた模造品です)をすえ、その向こうに髪の長い妖しい女が二人、ときには焚刑をうける魔女のように、ときには何匹もの悪魔が体内に棲みついている尼僧のように、ものも言わず狂気の目をこらしてコーヒーをいれている。そして彼女たちはたがいにレズビアンの仲であるようにみえる....(中略)
いつからか男と女の恋人同士はほとんどこなくなり、二人づれはたいがい男同士か女同士、ときにはひとりでやってきた男がほかの男とみつめあい、店をでるときにはなにげなくいっしょになったりすることもしばしば。女同士もおなじこと。あたしは店の奥にあるあたし専用の席に座り、夜が終るまで、ランプの光の下でサド侯爵の大悪書をひろげていました。

妖しげなカフェを経営したり、映画館で出会った美少女Mを誘惑し、同性愛的な関係を持ったこと、学校へ通う意義が見出せなくなったので、フランス語と英語の個人教師、大学教授から数学の個人指導を受けることを条件に退学したことなどか綿々と綴られています。ちなみにフランス語の教師は仏人大学教授のお嬢さんでミレーヌというマドモアゼル。そして、未紀が、愛人関係にあったパパをホテルに置き去りにし、友人Kに電話で結婚を申し込むところで終っています。

退院後、未紀の家を訪れたK。大邸宅である未紀の家には年配でずけずけものを言うばあやとその子供が住んでいました。そして未紀の父親。彼は60過ぎで、半年前に脳溢血で倒れて以来、廃人同様になってしまったのだといいます。
赤裸々過ぎる過去の自分の独白に混乱している未紀。これは本当にあったことなのだろうか?それとも自分の妄想だったのだろうか?そして、パパとは一体誰?なぜ、彼は自分の前に現れてくれないのだろう?
「いなくなってしまった未紀のことは忘れてしまってもいいんじゃないかな?」と、Kは言います。
でも、未紀はこのノートの中身を逐一暗記してしまい、すでに自分の一部となり始めている。「私のパパはどこにいるの?」
そしてKもまた、過去に秘密を抱えて生きていたのでした。
貧乏な家に生まれ育ったKには3つ年上の姉、Lがいました。母親は下宿屋をして生計をたてており、その時、Kは高校2年生、Lは19歳のOLでした。二人はあることをきっかけに近親相姦の関係に堕ちてしまう。KがLを抱いた時、彼女に「愛シテイル」と言ったがために、LはKに対して唖のように一言も口をきかないようになってしまいます。それでも、しばらく体の関係は続いていましたが、Lはある日突然、家から姿を消してしまいます。それ以来、姉には会っていない、と打ち明けるKに対し、未紀は言ったのです。
「あなたのお姉さまなら、いま、モンクにいらっしゃるわ。」
K、オ姉サマ二、オ会イ二ナッテ。私モパパ二会ッテミマスカラ。

どうして、Lがモンクで働くことになったのか?
未紀に言わせると、それはまったくの偶然。モンクに女流作家のY・Kが来たことで、未紀はその作家と知り合いになったが、モンクを管理してくれる人が欲しくなった時に、Y・Kは自分の知り合いのLを紹介してくれたのだという。実は、この作家Y・Kは、Kの家で下宿していた時期があって、LとKの関係も知っていたのです。そして、Kが街で作家と偶然に再会した時に、彼女は、モンクに行かないか、と誘ったのです。今、思うと、作家は自分とLを鉢合わせさせようと企んだのかも知れない。それにしたって、記憶喪失状態のはずの未紀が、なんでモンクで働いているのはKの姉だと悟ったのか?ひょっとしたら、未紀は少しずつ記憶を取り戻し始めたのかも知れない。

未紀の父親の容体が悪くなり、未紀は父に付き添うために、Kと音信不通になります。その間、Kは未紀の親友Mと会うことになるのです。
かつての美少女はすっかり俗っぽくなり、それが未紀を落胆させたことが彼女の日記にも書かれています。Mなら、未紀のパパについて何か知ってるかもしれないと期待するK。
「未紀が歯医者さんとお付き合いしていたことは知ってるけど、その方に会ったことはないわ。45歳でアルファ・ロメオに乗っている方だったそうよ。」
「未紀って、結局、自分の父親みたいな人が好みなのかも知れないわ。未紀のパパって、それは素敵な人よ。癌で、もう明日にも息を引き取るみたいだけど。」
「ちょっと待ってくれ。脳溢血じゃなかったのか?」
「癌よ。脳溢血って年じゃないわ。確か、まだ四十四、五よ。それにぶくぶく太った高血圧、というタイプでもなく、とても若くみえる人よ。ハードボイルドな感じのスポーツマンね。ゴルフもお上手だったけど、ヨットが好きで、どこかの選手もやってたらしいわよ。」
「それは、まるきり、パパじゃないか!」

それから、数日後、未紀の父親が息を引き取り、Kは彼女に会うべく家を訪れます。
そこでKは、ばあやの独り言を聞いてしまうのです。
未紀の父親は膀胱癌で死んだのだった!
罰ガアタッタンダヨ、アイツハ、サンザンワルイコトヲシテキタカラナ、マッタク、アレハ自業自得トイウモンダヨ、自分の娘ト、畜生ミタイナコトヲシテ....

この小説は2本の柱でできています。
その1本は言うまでもなく、未紀のノート。彼女は記憶を失ったあとも、Kのすすめで、手記を書き、後半で登場する新しい手記によって、すべての謎が明らかにされるのです。
もう一本の柱は、"ぼく"という二人称で綴られるKの語り。未紀のノートが断片的なものに対し、これはこの小説の本文になっていて、"ヘンリー・ミラー風の口調でしゃべる"Kによって、物語は進行していくのです。
もう一人の主人公であるKは、過激な問題行動で高校を追われ、学生運動に暴走するほどのアナーキスト。また、Lや作家との肉体関係など、本筋をそれてサイドストーリーが展開して行きます。こうして書くと、非常に錯綜した、煩雑なイメージを持たれますが、どのエピソードも吸引力があって、この作品の魅力を倍加しているのです。正直、未紀とパパのお話だけでは、砂糖菓子みたいに陳腐なお話になりそうなところを、荒唐無稽なKの存在が、小説全体をギュッと引き締め、甘美になり過ぎない効果を与えていると思います。
また、エスキモーとあだ名されるKの友人が登場するのですが、この彼が、女のように盛り上がった胸にもじゃもじゃの胸毛が生えている高校生で、生肉を喰らうのが好きな強烈キャラ。昼休みになると近所の肉屋へ牛の肩肉を買いに行き、ある日、女子生徒が持ってきた兎をその場で解剖し、生暖かい内蔵を口の中に放り込む、というエピソードがあります。こんなふうに、甘美とグロテスクが混在するのも倉橋作品の特徴の一つでしょう。

これ、少女小説の古典的名作だと思います。
デコラティブで絢爛たる筆致、ミステリアスでカメレオンのように変化する未紀の世界は、女の子であれば一発で魅了されてしまうのではないでしょうか。未紀が自分のことを"あたし"と言っているのも、マルキ・ド・サドの『悪徳の栄え』(渋澤龍彦訳)で女主人公が"あたし"と言ってるのを思わせます。
私は高校生の時にこれを読んだのですが、冒頭から引き込まれてしまい、その日のうちに読んでしまいました。
で、あれから**年経った今、再び、この本を読んだのですが、かなりおフランスかぶれな印象を受けました。例えば、事故前はロングヘアだったヒロインが手術後、少年のような頭になって、ジーン・セバーグ風と描写されたり、作中の中で未紀が観に行く映画がルイ・マルの「恋人たち」だったり、ジェラール・フィリップやジャンポール・ベルモンドなどフランスの俳優の名が飛び出したり、通学鞄の中に「マドモアゼルOの物語」が忍ばせたりあったり、フランス好きなら、ニヤリとさせられる箇所が多いです。
こんな傑作をアメリー・ノートン女史にお見せできないのが残念でなりません。

『聖少女』は廃刊になっており、現在、新書で入手することができません。
しかし、古本、電子書籍として購入することができます。

アマゾン・ジャパン 聖少女-倉橋由美子
楽天ダウンロード販売 聖少女

倉橋由美子は高校時代、夢中になって読み漁った作家なので、これを機会に彼女のその他の作品についても紹介したいと思ったのですが、「聖少女」のレビューが長くなってしまいました。
倉橋さんについては日を改めて、また、ゆっくり語りたいと思いますので、もう一度お付き合いくださいませ。

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by marikzio | 2007-03-18 17:13 | Book | Comments(4)

「おしりのしっぽ」 竹内海南江
さて、ここでクエスチョンです。

『世界ふしぎ発見!』のミステリー・ハンターとして、すっかりお馴染の人。当番組は1,000回を越えましたが、レポーターとして一番登場回数の多い人なのではないでしょうか?
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一年の半分は海外ロケ、という彼女が休日の過ごし方やロケの裏話なんかについて軽快な文体で綴ったエッセイ本。クリクリの大きなオメメと三つ編みが年齢不詳の彼女はモデル出身。本文の他にヴェネチアやエジプト、南アフリカなど、異国で撮影されたショットが盛沢山で、ビジュアル的にも楽しめます。

訪問した国は90ヶ国を越え、世界一周なんてこともやった彼女の生活は旅好きにとっては、かなりうらやましい。しかし、時差ボケとの戦いや世事に疎くなる(頻繁に日本を離れるので)など、それなりに悩み多きものらしい。
「目覚めた時は、すぐにベットから起きず、ここが自宅かどうか確認をする」という習慣も、移動の多い生活の中で身についた自衛策。例えば、朝食をミラノで食べて、ベルリンで昼食、そして夕食はパリで食べたりとか、28日間のアメリカのロケ中は30回飛行機に乗ったりなど、そんなことを繰り返しているうちに、朝目覚めた時、自分がどこにいるのか、把握しきれなくなってしまうそうです。飛行機の中なのに、自宅のベットだと勘違いして、思いっきり寝返りをうって、隣の席の人にパンチを食らわしてしまったり、ホテルなのに、自分の家だと思って目覚めたら、「ここはどこ!?」と一瞬パニックになったり。逆に自分の家で寝ている時に、夜中に電話が鳴って、目覚ましの音だと勘違いして、「さあ、仕事だ」とばかりに起き出し、いざお風呂場へ。シャワーを浴びながら、今はロケ中じゃないことに初めて気づいた。ホテルにいると勘違いして、部屋のトイレに向かっているつもりが、逆方向に歩いて行って、自宅のベランダへと通じる窓に激突!するなど、傍目には面白いけど、本人にとっては踏んだり蹴ったりのエピソードの数々...。
よくインタビューなんかで「オフの時はどこへ行かれるんですか?」とよく質問を受けるそうなんですが、「なんで自分は、人からプライベートでも寸暇を惜しんで旅してると思われてるんだろう?不思議でならない」と書かれています。そして、「もし、本当にそうしてたとしたら、ゾッとする。」
カメラの前ではいつも元気ハツラツな竹内さんにとっても、海外ロケは相当激務。特に飛行機での長時間移動は体に負担がかかることは、一般の旅行者でも実感していることですが、この十数年のうちに、飛行機に乗った回数はゆうに千回を越える竹内さんにとって、それはまさにサバイバルな日々。機内は乾燥してるので、喉を痛めやすいし、長時間座りっぱなしの姿勢で骨盤が歪んでしまったり。エコノミー症候群だって心配になるし、ようやくロケを終了して、数週間ぶりに帰宅すると、もう次のロケの資料が届いていたりするのです。その上、休暇で海外なんかいったら、体が持たないではないかっ!
なるほど、ごもっとも。グルメ・レポーターの仕事が、実は精神的にも身体的にも苦しいものなんだ、というお話は聞いたことがありますが、旅レポーターにも、それは充分当てはまっているんですね。
彼女は執筆のお仕事もされているので、海外ロケ中でも空き時間を見つけては書き物をしている、というところにもビックリさせられました。撮影って、打ち合わせがあったり、コメント暗記しなきゃならないので、自分だったら、とても原稿なんて書けましぇん。それでも旅先にまで、原稿締め切りのお知らせメールが容赦なく追いかけて来て、ウフィツイ美術館の『受胎告知』の前で、アカデミア美術館の『ダビデ像』の前で、バチカンにあるミケランジェロの『ピエタ』の前でせっせと原稿書きをするのです。ちなみに美術館での撮影は、休館日に貸し切り状態で行われるそうです。がらーんとした大型美術館で、傑作の真ん前で執筆活動をするなんて、贅沢過ぎ!!!

そんな彼女の休日の過ごし方は、ひたすらボーッとすることが何よりの贅沢であるらしい。ロケ中に撮った写真の整理とか、エッセイや小説の原稿とか、いろいろやらなければならないことはあるんだけど、あえて何もしないのが幸せ。だって、やらなきゃいけない時は何が何でもやらざるを得ないのだから、ボケーッとしたい時は思いきりボケーッとするのが竹内流。
そして、食べ物。特に梅干しとか、日本茶とか、一般に素朴と思われているものに、並々ならぬこだわりがあって、お気に入りの梅干しは取り寄せてまで入手しているそうです。で、大のお酒好き。禁煙しようとしたこともあったけれど、原稿が一行も書けなくなったので、タバコをやめることをやめたそうです。
また、彼女は卵かけご飯が死ぬほど好きなのに、海外では生卵を食べる習慣がないので、ロケ中は口にすることがない。しかも、彼女は生卵を食べると、必ずと言っていいほど、お腹をやられるので、国内でも仕事のある時は、食してはならない。だから、何の予定もないオフの日に、糸寒天入りの五穀米を炊き、お気に入りの具がたくさん入ったお味噌汁と一緒に食べる卵かけご飯は、まさに格別の味なのだそうです。そして、その30分後、お腹がキュルキュル鳴り始めることになっても、やっぱり卵かけご飯を嫌いになれない、と結んでいます。

b0069502_22335887.jpg「ふしぎ発見」のロケ隊は多くて5人。それに地元のコーディネーターさん。この存在がなければ、ほとんど仕事にならないほど、頼りにしてるのだとか。そして、レポーターさんが着ている服もすべて自前。事前調査して行っても、お天気は予測不能な時があるので、どんな状況にも対応できるような準備をして行くんだそうですよ。
今週は放送1,000回記念スペシャル、ということで3時間の特番。どんなレポートをしてくれるのか楽しみです。最近の彼女のレポートで印象に残ってるのは、マリー・アントワネット。目鼻立ちがしっかりしたお顔だちなので、ドレスと大きなカツラもサマになってたのですが、こうして写真で見ると、妙にコミカルですね。
公式サイトで「無断転載を禁じます」と書かれていたのですが、警告を破って載せちゃいました。ごめんちゃい。

タイトルを"おしりのしっぽ"にした由縁は彼女が人から「あの人はお尻にしっぽがついている」言われているところからなんだそうです。要は「みんなと違う、普通じゃない」ということらしいのですが、そこが彼女はちょっと気に入らないらしい。
「それは自分だけじゃない。誰だって、人と違うところがあるのであって、アナタにだって、オリジナルなシッポがついてますよ。」と言いたいところから、このタイトルになったようです。
そう言えば、ホラ、あなたのお尻にも...!?


旅行記や竹内さんのひとりごとなど、豊富なコンテンツで構成。
竹内海南江 オフィシャル・サイト 「かなな共和国」
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by marikzio | 2007-03-14 21:55 | Book | Comments(2)

パリのボン・マルシェでセルフ・ポートレイト展
2月24日から、パリにある老舗デパート、Le Bon Marche で有名人のセルフ・ポートレイト展が開催されているそうです。

Exposition "Autoportraits de Mode"

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ミレーヌを撮っている写真家、Ellen Von Unwerth


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カール・ラガーフェルド


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オドレィ・トトゥ


それ以外にも、アンディ・ウォーホール、シンディ・シャーマン、マン・レイ、ヘルムート・ニュートンなど、錚々たる顔ぶれ。
展示は3月31日までだそうですので、この期間中に滞在される方は、足を運んでみてはいかがでしょうか?
お恥ずかしい話ですが、方向音痴の私は、パリに行った時にあの界隈をぐるぐる廻ったにもかかわらず、ボン・マルシェデパートを見つけることができませんでした。何がいけなかったのでしょうか...。


関連ページ 
FRANCE2 Exposition "Autoportraits de Mode"
LE BON MARCHE
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by marikzio | 2007-03-12 09:29 | n'importe quio! | Comments(2)

Sortie "Désabillez-moi"
ライブ盤からのシングル、"Désabillez-moi"が3月5日に発売になってました。
ちなみに、"Désabillez-moi"の意味とは「服を脱がせて」。カップリング曲は"Porno graphique"。公式サイトによると、これは限定版らしいので、お急ぎください、ですって。
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画像元 Mylene Farmer et Vous

ミレーヌの映画出演話も出ており、詳しいことは、まだわかっていませんが、ほぼ確実な情報らしいです。もとは女優志望だった彼女、今度はいい作品であって欲しいです。
みんなで見守りましょうよ、ミレーヌを。
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by marikzio | 2007-03-07 08:41 | Mylene Farmer | Comments(0)

エロスに生きた男 -池田満寿夫-
版画家、画家、そして芥川賞作家とマルチな才能を発揮した故池田満寿夫。
徹底したエロスの追及、4人の女性との結婚生活など、生き様そのものがドラマチックだった彼が急逝してはや10年。最後の妻、佐藤陽子の証言を通して、池田の人物像、そして二人の愛情関係を浮き彫りにする、という趣向のドキュメンタリー番組を見ました。
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NHK BS ハイビジョン特集 
シリーズ恋物語 「エロスに生きた男 最後の恋」
2月28日(水) 午後8:00~午後9:50 放送


熱海の海が見える部屋。まぶしい陽光の差し込むフロアで、飼い犬の名を呼ぶ佐藤陽子。二人が夫婦生活を送ったこの部屋で、今も彼女は犬達と一緒に住んでいます。
「とにかく、愛いっぱいの人だったの。」
とびきり大きな瞳を見開いて、ヴァイオリニストの彼女は語る。出会いから、突然の別れまで18年間。45歳と29歳。お互い、結婚している身でありながら、激しい恋愛関係に落ちた二人。陽子は池田に言った。
「自分のこれまでの波乱万丈の人生も成功も、すべてあなたに会うためにあったのね。」

池田満寿夫は1934年、満州生まれ。終戦後、一家は郷里の長野に引き揚げることになります。学生の頃から油絵を描いていた彼は、高校生の頃、自分で描いた裸婦像を学校の廊下に貼り出して、問題になります。
「これは猥褻ではなく、エロスだ。」学校側にこう抗議した、とかで当時、彼につけられた名前は"エロス"。そのあだ名にふさわしく、彼は生涯にわたって、エロティシズムを、とりわけ欲情に悶える女性の姿をモチーフに創作活動を続けることになるのです。陶酔する女の姿を自分は覗き見する存在でありたい。その欲求が彼の創作エネルギー源であり、カタルシスとして浄化されて行ったのです。
しかし、若くして彼は挫折に直面しています。画家、彫刻家をめざして、東京芸術大学を受験するも三度に渡って失敗。受験生時代、ある家庭に下宿していましたが、21歳で、その下宿屋の娘、自分より10歳も年上の大島麗子と結婚してしまうのです。
その結婚にまでこぎつけた経緯というのが非常に奇妙。恋愛関係ですらなかった二人が一線を越えてしまったのが、麗子の母親が死んだ通夜。亡き骸が眠る隣の部屋で、麗子に欲情する池田。「あなたの子宮が見たい」
「結婚してくれるなら、見せてもいいわ」引攣った笑顔で答える麗子。
ま、マジですかい?子宮って、そう簡単に見れるものなんでしょうか?それとも、開腹するってこと?ぎゃ〜、猟奇的!!!
後に池田は「子宮とは人体の中で、唯一、指で触れることのできる臓器。だから、覗き見ることだってできるはずなのである。」とエッセイで語っています。
そして、二人は肉体関係を持ち、池田は約束どおり結婚。しかし、進学はおろか、仕事にも就かない若き夫。麗子は親が残した財産で、生計をたて、池田のためにアトリエを新築しています。しかし、これが逆に、彼を精神的に追いつめていく結果となったようです。
これって、後に池田が書いた短編小説、「テーブルの下の婚礼」の下敷きになっていたのですね。この小説に登場する青年は芸術家をめざしつつも、受験に失敗し続け、デッサン研究所へも足が遠のいてしまった。下宿には行き遅れのあまり魅力的とは言えないサキコがいたが、この女性と寝てしまってからは、毎日のように愛欲をむさぼるだけの怠惰な日々にどんどん堕ちて行くのです。あまりの自堕落ぶりに、読んでいて嫌悪感をもよおすほどだったのですが、抽象的だが背筋がゾッとするようなラストで突然終ります。
大島麗子は職業を持たず、家に引き篭もっているような女性だったらしいので、池田は次第に彼女とのタコ壺の中のような結婚生活に息詰まって行ったのかも知れません。若気の至りとはいえ、「子宮が見たい」というだけで、結婚してしまうなんて、一生の不覚。彼はその後、3人の女性と婚姻関係になるのですが、大島麗子は離婚に応じなかったので、 正式に結婚はできなかった、ということです。しかし、池田と同じ下宿に住んでいた友人によれば、麗子は池田の作品を褒めてくれた最初の女性だったそうで、「愛するより、愛されたい要求の方が強い。自分は常に作品を横で評価してくれる女性の存在がなければならない」という池田の気持ちが、麗子に傾いたのも仕方がない、と言われればそうだったのかも知れません。

妻帯者である池田は知人の紹介で、新進気鋭の詩人、富岡多恵子と出会います。麗子と違って才能に恵まれた多恵子は交友関係も華やで、自分がこれまで知らなかった世界というものが一気に開かれて行きます。多恵子は色彩銅版画に着手した池田の助手を献身的に務め、彼の才能を一気に開花させて行きます。麗子は離婚を承諾してくれなかったので、25歳の時に駆け落ち、という形で事実上の結婚生活に別れを告げます。
1956年、画家・瑛九(えいきゅう)のすすめで色彩銅版画をはじめます。1957年、第1回東京国際版画ビエンナーレ展に入選。そして、1965年、ニューヨークの近代美術館で日本人初の個展を開催。多恵子とともにニューヨークを渡り、以来、1979年まで日米往復生活を続けることになります。池田の関係者の証言によると、多恵子は男に仕事をさせる力のあるすごい女ということで、彼女の存在がなかったら、その後の池田はなかった、と言われるほど。今も元気に活動されているはずなのですが、この番組には登場していません。それがちょっと残念でした。
現地での通訳に作品製作の助手、というふうに夫の黒子役をして来た多恵子ですが、彼女自身もまた、非常に才能あふれる詩人だったので、そろそろ自分の創作活動にだって力を注ぎたい。次第に二人の心にすれ違いが生じ、溝が深まって行くのです。
「あなたは、私がいなければ何もできない、何も知らない坊やだった」遠距離電話で、延々と自分の不満や小言を池田にぶつけ続ける多恵子。
これって、池田が芥川賞を受賞した「エーゲ海に捧ぐ」のシチュエーションそのものですよね。「テーブルの下の婚礼」も「エーゲ海に捧ぐ」も池田の実体験が材料になっていたのですね。

過去記事 「エーゲ海に捧ぐ」と「テーブルの下の婚礼」 池田満寿夫

多恵子は去って行きましたが、未知なる世界に踏み入れてしまった池田が後戻りすることはありません。そして、異国の地、アメリカで彼は三人目の伴侶を見つけることになるのです。
中国系アメリカ人、リラン・ジー。ニューヨーク出身の彼女は画家。池田の銅版画に魅せられて近づいて来た彼女と池田は新しい生活を始めることになり、作風まで変わってしまいます。
しかし、海外生活が長くなるにつれ、次第に故郷に対する渇望がつのって行った彼は、自国の言語で小説を書き始めることになります。
そして処女作品の思いがけない成功。しかし、画家であるはずの彼がペンと原稿用紙で小説を書いている姿に妻リランは当惑し、不信感を抱いてしまう。そして、今度はこの小説を原作に映画を創るため、自らメガホンを取るという。それが、ますますリランの懐疑的心情に拍車をかける結果になるのです。イタリアのロケ現場から、いつしかリランの姿が消えていました。

映画「エーゲ海に捧ぐ」は原作とは大幅に内容が違っています。(私は未見ですが)
簡単な筋書きだけがあって、池田のその日のひらめきによって、撮影内容とか展開が決まる、という即興的なものだったらしいです。番組では、撮影にかかわった現地スタッフや主人公の青年役を演じた俳優が登場(ただのオッサンになってた)。当時を回想してのインタビュー。
この映画の最後で主人公の青年は命を落とすのですが、これはおそらく池田本人がこれまでの生活に決別し、新しい人生を切り開こうとしている暗示だろうと映画関係者が語っていたのが印象に残りました。
この映画撮影はリランとの離別と同時に新たな運命の出会いをもたらしました。日本人女性でいながら、世界的ヴァイオリニストであった佐藤陽子。当時29歳の目鼻立ちのはっきりした美女は、テレビ番組のリポーターとして、ローマにやって来ていました。撮影中の池田氏を取材するため、ホテルの一室で打ち合わせをしに行ったことがその後の人生を大きく変えてしまいます。
3歳よりヴァイオリン教育を受ける。わずか9歳で音楽留学のため、母親と一緒にモスクワに渡り、21歳までロシア(旧ソビエト?)で過ごします。恋多き激しい人生だったらしい。24歳の時、パリで日本の外交官と結婚。しかし、池田と出会った当時は、夫がいる身でありながら、妻子ある男性と不倫関係にあったというから、池田が誠実な人に思えて来ます。
これまで、クラシックにはまるで興味がなかった池田でしたが、初対面の陽子とは話も弾み、時間はどんどん過ぎて、酒瓶は次々空になって行きました。しかし、赤ワインをグラスに注ごうとして、陽子のスカートにかけてしまう。月経のように前の部分が赤くなってしまったので、スカートを洗濯し、乾かしている間、陽子はシーツに身を包む、という格好に。しかし、彼女は自分のそんな姿に恥ずかしがるふうもなく、無邪気に笑ってはしゃいで見せたので、それに胸を打たれてしまった池田は、彼女を抱きかかえて、寝室に突進してしまいました。それが満寿夫&陽子、激しく深い愛の劇場はじまり、はじまり。

最初に惚れたのは池田さんの側。陽子さんにとって、彼は好みのタイプではなかったそうで、人畜無害な人で、下心のない人だと思ったそうです。
「ほんとに下心はなかったかも知れませんね。」とテレビのリポーター。
「私だって、経験があったんだから、下心があるかどうかなんてわかるもの。」とあっけらかんと答える佐藤陽子。カメラの前ではけばけばし過ぎる舞台風メイクとド派手な衣装。ただでさえ大きな目がよけい大きく見えます。彼女の野太い声、話す調子、ボキャブラリーなど、どれも表現力豊かで、圧倒的な存在感があります。
佐藤陽子は池田の妻となって、彼の活動を支えるために、自らの音楽活動を制限する結果となってしまったそうです。彼と出会ってなかったら、陽子さんの人生もまた違ったものになっていただろうね、と言う人もいましたが、彼女にとっては、池田と過ごした時間の方がはるかに価値あるものだったと思います。過去にやりとりした手紙の数々を持ち出しては、少女のようにはしゃぐ佐藤陽子。彼らは今流行りの言葉で言うならば、"ソウルメイト"だったんでしょうね。
池田は自分の子孫を残すことを考えなかったのでしょうか?二人の遺伝子を受け継いだ子なら、天下無敵のベビーが産まれたはず。
離婚問題が片づかず、結婚式も挙げられなかった夫妻。夫婦で海外レポートに出かけて、現地の仕来りで結婚式を挙げた時のビデオを見て、涙ぐむ彼女の姿にちょっと目頭が熱くなりました。

「あの人はね、そんなエロエロ〜!って感じじゃなかったのよ。」という陽子夫人の発言もあれば、「彼は自分に常にセクシャルな存在であることを求めた。彼にとって理想のオンナとは、母であり聖女であり、娼婦であり、官能的であること」とかなんとか仰ってもいました。
男友達は「結局、あの人は母親的なものを求めていた。」と振り返ります。
親戚の方も登場して、「満寿夫の絵が海外で認められたのはうれしいけれど、もうちょっと普通に家に飾れる絵を描いて欲しかったわよねぇ。」と苦笑いしていました。そのことを本人に言ったら、『エロスというものがわかっていない』と言われたとか。あと、池田満寿夫が自分の従兄弟とか親戚だとかは、ちょっと恥ずかしくて言いたくなかった、と打ち明けています。映画のイタリア人スタッフが「彼は日本人の枠にはまらない考え方をしていたが、それが周りから理解されないことに、反抗していたと思う。」と言う発言をそのまま裏付けるエピソードですね。
最後に映画の中で使われていた、エンリコ・モリコーネのあの曲を佐藤陽子がヴァイオリンで演奏。映画自体は「芸術か猥褻か?」といろいろ物議を醸し出しましたが、あの曲は、誰が聴いても名曲です。

まだお子ちゃまだった頃、彼のことをやたらイヤらしい作品を創るヘンなおじさん、そのくせ版画とか彫刻とか小説とか、何をやっても器用で成功してしまうのはズルイ、と反感すら感じてました。しかも、何人もの女性をコマしてるというのも、私の嫌悪感をよけい駆り立てました。だから、敢えて映画も見ませんでした。
複雑な乙女心だったのですね。

参考ページ
池田満寿夫 年譜
池田満寿夫 プロフィール
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by marikzio | 2007-03-05 21:33 | Television | Comments(1)


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