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Moby "Go-theverybestofMoby"
世界に君臨するエレクトロニック・ミュージックの王者Moby、初のベストアルバム。
「モービーって誰?」と言う人でも、TVシリーズ『ツイン・ピークス』で流れていた"あの曲"をアレンジした"GO"は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

b0069502_21184137.jpg1965年、ニューヨークはハーレム出身。高校時代、パンクロック・バンドで活動していた彼がメジャー・デビューを果たしたのが'91年。90年代を駆け抜け、今もなお第一線で邁進し続ける彼の集大成的アルバムです。
私は今まで彼の音楽を聴いたことはありません。アルバム売り上げチャートの常連であること、パリでのコンサート・チケット売り上げ1位になっていたので、かなりのビッグネームであることは認識していましたが、スキンヘッドに漫画のようなデカメガネ、いかにも貧弱そうなオタク系風貌からは、一体どんな音楽をやる人なのか想像もつかなかったのです。

そんな自分が、なんで、この期に及んで、彼のベスト盤を聴いてみよう、という気になったのか?その理由は、我らがディーバ、ミレーヌ・ファルメールが彼とコラボすることになったからです。

"Slipping Away"(仏語タイトル"Crier la vie")
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以前リリースしたシングルにミレーヌがフランス語の歌詞を書いてデュエットしています。それほど期待してなかったのですが、これが意外とヨカッタんです。気だるくゆるやかだったオリジナル版が、いきなりスピード感溢れる大胆なアレンジに生まれ変わって、そこにミレーヌの吐息まじりのハイトーン・ボイスがからんでくるものだから、もうたまりません。これぞ、まさに換骨奪胎!!!
フランス国内のシングルチャートでは初登場で1位をマークしました。ミレーヌにとって、シングル1位獲得はこれで4回目なのだそうです。

しかし、このavecミレーヌ・ヴァージョンは2枚組U.S盤には収録されていません。
自分はミレーヌ・ヴァージョンが聴きたかったので、フランス盤を買いました。しかし、仏盤は2枚組じゃないんですよね。その代わりおまけDVD付きを買いました。
おまけDVDは、30分くらいのショート・フィルムで、彼がこれまでのキャリアについて語る、という内容。英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語の5カ国語キャプション付き。語学の勉強にもいいと思ったけど、自分は一度しか見ていません。
ミレーヌ・ヴァージョンはフランス盤だけかと思ってたら、な・な・な・なんと、日本盤にも収録されてます。
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モービーの音楽は全般的に聴きやすく、何よりも洗練されていると思います。
彼の曲だということは知らなかったけど、「あっ、これ聴いたことある!!!」というものが何曲かあったし、全15トラック聴き通しても、お腹にもたれるということがない。いろんなミュージシャンとコラボしている求心力も彼の才能があるから、こそ。いわゆる天才肌、という感じなのですね。
しかし、ヨーロッパの個性的で濃ゆ〜い音楽に毒されきってる私にとっては、引っ掛かりが少なくて、ちと物足りない。
最初はフランス盤が2枚組じゃなくて、ちょっぴり損な気分になりましたが、別に1枚でも自分的には充分だったみたいです。

公式サイト moby.com
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by marikzio | 2006-11-30 22:17 | Other Music | Comments(2)

『哀しみのベラドンナ』がリバイバル上映!
ワタクシ、アニメ愛好家ではないのですが、この作品だけは激しくRecommendします!
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10年くらい前、WOWOWで放送されたのですが、その内容の激しさに衝撃を受けてしまいました。「もう一度観たいなぁ」と思ってたところ、DVD化されてることがわかって、ついつい衝動買い。
原作はジュール・ミシュレの著作「魔女」。
中世フランスの農村、愛し合って結ばれたはずのジャンとジャンヌを悲劇が襲う。夫を救うために悪魔と通じることを選んだジャンヌは人々に"魔女"と呼ばれるようになる...。

30年前、手塚治虫率いる虫プロダクションが 「世界初大人のためのアニメーション 三部作」として世に送り出した第3段が、この『哀しみのベラドンナ』
第1作目の『千一夜物語』、第2作目の『クレオパトラ』は自分は未見ですが、今までのアニメにはなかったエロティシズム表現が当時、話題になったようです。しかしながら、『哀しみの〜』は高い芸術性にも関わらず、興行的にふるわず、その価値を見直される機会に恵まれずに来ました。しかし、一部のアニメ関係者の間では、今でも一目置かれる伝説的な作品です。

「哀しみのベラドンナ」 解説

近日中にレビューを、とは思っていたのですが、なんとこの「アニメラマ三部作」、30年ぶりに劇場で上映されるみたいです。

ポレポレ東中野 にて、12月9日から。

「アニメラマ2006」 ~親子で見れない手塚アニメ~

ご興味ある方は劇場に行かれてはいかがでしょうか?
私のレビューはもうしばらくお待ちくださいませ。
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by marikzio | 2006-11-28 19:55 | Movie | Comments(3)

Helene Segara "QUAND L'ETERNITE..."
エレーヌ・セガラの新作アルバム、"QUAND L'ETERNITE..."(かん・れてるにて...)。
2003年に"Humaine"をリリース以来、3年ぶりのオリジナル・アルバムなんですが、2004年には ベスト盤 も出ています。

b0069502_20285598.jpgトラック1の"Rien n'est comme avant"を聴いて、ちょっとビックリ。だって、セガラさん、いきなりロック寄りなんだもの。エレーヌ・セガラといえば、声も音も湿度の高い、"情念のおんな"というイメージがあったのに、このアルバムは全体的にハードな仕上がりになっています。
ジャケ写やブックレットを眺めて、なんか地味な印象になったな〜と思ったら、髪がブルネットなんですね。前作 Humaine のジャケがきれいなブロンドだったので、ずっと金髪美人のイメージを抱いてました。もともと彼女はダークヘアで、金髪じゃないPVが結構あることも後でわかったのですが。

それでも、髪にしても、メイクにしても彼女のイメージがこれまでと違う!
これは絶対にイメージ・チェンジを図ったな、と思ってたら、ワーナー・ミュージックからユニバーサルへと移籍後の第1作だったみたいです。
本作からの第1段シングル、" Méfie Toi de Moi"のヴィデオ・クリップにもその意気込みは反映されていて、これまでの雰囲気にはない野性的な彼女の姿があります。

You Tube Méfie Toi de Moi
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今までのエレーヌの世界は哀愁たっぷりで聴いているうちに胸がしめつけられるような気持ちになるものだったのですが、それに比べて聴きやすくなったな、というのが率直な感想。浮世離れした美貌の彼女がやや俗っぽくなった、という気がしなくもないですが、歌唱力は相変わらずですから、ドラマチックで情熱に溢れたセガラの世界を堪能できます。私はこれまでの作品よりヘビロテになりそうですよ。
これで新しいファン層をつかむのではないでしょうか?

それでは、これまでのヴィデオ・クリップをここで紹介したいと思います。
フランス版演歌の女王、Helene Segaraをじっくりご堪能あれ♪

前作の表題作でもある"Humaine"。
尺八風イントロがスピリチュアル世界へとアナタを誘う?
You Tube Humaine
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イタリアの人気歌手Laura Pausini(らうら・ぱうじーに)とのデュエット曲。
仏伊歌姫の共艶!?
You Tube On oublie jamais Rien, On Vit Avec
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そして、これは私が一番好きなクリップです。
字幕が邪魔なのが玉にキズなんですが、カラオケのつもりで一緒に歌ってみましょう♪
You Tube L'amour est un soleil
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by marikzio | 2006-11-23 20:53 | French Music | Comments(9)

"Avant Que L'Ombre...A Bercy"ジャケ写情報
※ この記事は11月23日に加筆されています。

Mylene Farmer の"Avant Que L'Ombre... A Bercy"(CD)のジャケットが発表になったようです。
詳細は こちら でーす♪
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11月22日のamazon.fr リストはこの写真だったのですが...。
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で、これがアルバムからのシングル"Avant Que L'Ombre...Live"
正直、アルバムより好みです。非常に策略的なモノを感じさせます。(笑)
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ちなみに"Avant Que L'Ombre... A Bercy"(DVD)はまだヴェールに包まれています。CD盤と一緒だと思ってたのに、そうじゃないのかなぁ?
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とにかく、早く発表になって欲しいですね♪
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by marikzio | 2006-11-22 20:34 | Mylene Farmer | Comments(0)

2才になりました。
"marikzioのn'importe quoi!"を開設したのが2004年11月21日。
本日をもって、当ブログは満2周年を迎えることとなりました。
投稿数は393件。削除してしまったものもあるので、実際にはもうちょっと書いていることになります。こうして見るとよくもこれだけ書くことがあったよなぁ〜と関心するやら呆れるやら。
子供の頃から日記も満足に続いたことがなかった自分がこれまでやって来れたのは、ひとえにギャラリーの皆さんの存在が大きかったと思います。
常連の方々とのやりとりも励みになったし、検索にかかってやってきた一見さんであっても、自分が書いた記事を読んでもらえるのはとても有り難いことです。

こんな自分も"blog"というものに抵抗を持っていた時期がありました。
知識と労力がなければ作れないHPに比べて、ブログは書き込み感覚で誰でも簡単に作れてしまう。内容の充実しないHPはその貧相さが露呈されてしまうけれど、ブログはそれほど内容の質を問われるものではない。そのイージーさが「こんなのウェブサイトとは呼べない」という偏見を持たせていたように思います。
しかし、「自分が感じたこと、体験したことを文章か何かで残してみたい」という気持ちは漠然と抱いていたので、「ブログって、案外自分にあってるかも」と考えるようになりました。(これは前にも語っていますが)

初めてブログに投稿した日 、そりゃあ、もう気分が昂ぶって眠れませんでしたよ。「どーしよう、とうとうデビューしちゃった。こんなブログでも見に来てくれる人がいるんだろうか???」って。(笑)
しかし、書いているうちに、どんどんベクトルが変な方向に向かって行き、最初の頃の恥じらいとか慎ましさがすっかり遠のいてしまいました。しかも、初期の頃より、文章がくどくて長い。「長文は嫌われるから、30分以内で書き切るくらいがベスト」と自分の中での"きまり"もあったと言うのに...。
やっぱり人間、本性を隠し切ることはできないもんなんですね。(私だけか?)

とりあえず、2年間のブログ生活の中で、個人的に気に入っている、あるいは印象に残っている記事をここに挙げたいと思います。

遂にヴェールを脱いだミレーヌ

The Hotel Chelsea

「O嬢の物語」

「結婚式のメンバー」

Bad Education

エロ・ミュゼ、再び

番外編として...
視聴率平均2%のmarikzio TV

実は、私がブログ活動をしているという噂をどこからか聞きつけてきて、「サイトのアドレスを教えて欲しい」といきなり電話をかけてきた非常識な人がいて(それも疎遠で個人的に超苦手な人)、ギョッとしたこともあったのですが、多少のことで閉鎖する気はありません。
これからも懲りずにおバカ路線で、マニアックで、時に大真面目に語って行きたいと思っています。

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みんな、いつも読んでくれてありがとう。そしてこれからもよろしく!
オイラは今後も頑張って突っ走るゼ!

ちょっとBilly Idolのガッツポーズでキメてみました。

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ちなみにこれは、若かりし頃のビリーさん。
デビュー30年近くたつのに、ハードなボンテージ・スタイルは変わってませんね。
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by marikzio | 2006-11-21 16:40 | Comments(12)

Charlotte Gainsbourg "5:55"
フランスの映画女優、シャルロット・ゲンズブールのアルバム"5:55"。
これまでに故セルジュ・ゲンズブールやエチエンヌ・ダオ、マドンナとコラボして来ましたが、事実上、これが彼女にとって初のCDデビュー。
輸入盤は9月から出回っていましたが、あえて11月の日本盤まで待つことにしていました。ところがっ、入荷が遅れに遅れて、発売日を過ぎても発送されやしない。しびれを切らした私は結局輸入盤を買うことになってしまったのです...。ったくよぉ。
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これ、フランスでは8月27日-9月2日付のSNEPアルバムチャートで初登場で1位、10月には20万枚を突破し、プラチナ・ディスクが認定されたという大ヒット・アルバム。
プロデュースはNIGEL GORDRICH。その他にはJARVIS COCKER、NEIL HANNON、そしてAIRが参加しています。シャルロットは仏語ではなく、全編英語で歌っています。そのせいかメロディーもライトでおフレンチっぽさが薄いような気がする。
だけど、これが結構というか、かなりいい出来映えなのです。一見シンプルで単調なアレンジの中に、「おやっ」と思わせるようなフレーズが滑り込んで来る。そしてシャルロットの低くて湿ったウィスパー・ボイス。これはおフレンチ好きの日本人にとってはたまりません。フランス語じゃなくても、心臓に直撃されちゃうのです。

b0069502_2139133.jpgこれは、まさしくシャルロット・ゲンズブールそのものの作品。
父ゲンズブールの威光(?)を引きずっているわけでなく、母ジェーンのように彼のピグマリオンにされているのでもない。それとも、彼女もまた、隣にいるおじさんの投影として、彼の曲を歌っているに過ぎないのでしょうか?
彼女はこれまでいろんな映画人にインスピレーションを与える不思議な存在でありましたが、音楽家にとっても何かを駆り立てるミューズであるらしい。

"AF607105"はちょっとケイト・ブッシュ的なものを思わせます。個人的には"THE OPERATION"が好きです。しかし、どの曲も美メロで捨て曲がありません。
「ゲンズブールの威光を引きずっていない」と言いましたが、"MORNING SONG"については少々事情が違います。
"昨夜、私はゴーストを見た。私は両手を広げ、彼を受け入れた。.....二人で夜を過ごし、あなたはもう一度私に触れた。"
この幽霊さんって、"あの方"のことですよね。

シャルロットの歌唱と言えば、父とデュエットした"レモンの近親相姦"での調子っぱずれで痛々しい歌声が強烈に焼き付いてて、やや心配だったのですが、"5:55"ではか細い声ながらもまともに歌ってるのでホッとしました。(当たり前か)

それでは、ここでパパと歌った"LEMON INCEST"と"5:55"からの"THE SONGS THAT WE SING"を聴き比べていただきましょう。

Lemon Incest
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変態パパさんの脚にしがみつく少女時代のシャルロット。幼い表情だけれど、今もそのまま面影を残してます。

THE SONGS THAT WE SING
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こうして見ると、母ジェーンにそっくりですね。それにしても、これでママとは...。


公式サイト CHARLOTTE GAINSBOURG
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by marikzio | 2006-11-20 22:14 | French Music | Comments(9)

「エーゲ海に捧ぐ」と「テーブルの下の婚礼」  池田満寿夫
1979年、画家、版画家、彫刻家、etc...と様々な肩書きを持つマルチ芸術家、池田満寿夫が監督したことで話題になった映画『エーゲ海に捧ぐ』。
美しいエーゲ海を舞台にほとんど全編、大胆なエロティシズム描写のオンパレードということで日本中で大ヒット。イタリアの官能女優"チッチョリーナ"ことイローナ・スタッラが出演し、その彼女がその後イタリアの国会議員に選ばれたことも大きな話題となりましたよね。
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これ、おそらく最近のイローナさん。
50歳過ぎてるのに、この匂い立つフェロモンには脱帽です。

画像元 チッチョリーナの公式サイト

下宿先の女性と愛欲の日々を送る芸術家志望の青年。その下宿には白痴の美少女がいる。
ある日、金持ちでセクシーな娘(チッチョリーナ)と出会い、彼女は青年の才能と美貌に興味を抱く。「パトロンになりましょうか?」とか何とか持ちかけ、自分のお屋敷に連れて行く。その豪邸はエーゲ海が見渡せるようなところにあって、ゴージャスなリゾート地でチッチョリーナやその他の女性と繰り広げられる情交の数々...。
私は本作品を観たわけではないのですが、こんな感じの内容のようです。しかし、最後に、白痴の少女が戯れに拳銃をいじっているのに慌てた青年が、銃を自分に渡すように言うのですが、発砲した玉を心臓に受けてしまう場面は見ました。このラストは結構好きです。
映画『エーゲ海に捧ぐ』は池田氏が1977年に芥川賞を受賞した短編小説「エーゲ海に捧ぐ」と「テーブルの下の婚礼」がネタ元。
今日はこの2作品を紹介したいと思います。実は原作にはエーゲ海もイタリアも登場していないのです。

「エーゲ海に捧ぐ」

サンフランシスコのアトリエにいる彫刻家の私。そのアトリエの真ん中にはベットがあって、愛人のアニタが全裸で横たわっている。そして、アトリエにはもう一人、彼女の友人であるグロリア。
写真家であるグロリアはアニタを被写体に写真を撮ろうとしている。アニタの身体には強烈な照明があたっていて、ライトの熱で肌が汗ばんできているほど。
そして、自分は延々と続く妻トキコからの国際電話に縛りつけられている。10年間連れ添ったトキコを日本に残して自分は外国に行った。彼女の同行を拒んだのは、自分の芸術を極めるために一人になりたかったから。孤独になって、孤立無援の状態になりたかったから。妻は自分に女がいると確信していて、そのことについて、くどくどと自分を責め続け、自分がどんなに私のことを愛しているかを訴えている。
「イタリアに飛んで行こうとも考えた。でも、あなたのアパートを突き止めてドアを開けたら、慌ててズボンを引き上げるあなたの姿を目にするような気がしていた。そして、あなたの後ろで震えている女の姿も。」
妻の読み通り、イタリア旅行中に私はアメリカ人のアニタに出会った。アニタはグロリアを自分のアトリエに連れて来たけれども、グロリアは自分の女ではない。何故なら、私はグロリアの"エーゲ海"(アニタのは"地中海"と表現している)を見たこともないし、モノにしたこともないから。
しかし、どうやらグロリアはアニタにご執心のようである。妻からの長電話で身動きとれない私の前で、グロリアはアニタに接吻し、身体を愛撫しはじめたから。
この作品はストーリー性よりも、エロチックなシチュエーションと視覚的描写に重点が置かれています。アニタの足の裏にとまっている蝿(ガラス製かもしれない)とか、両脚の間に広がっている海とか、グロリアのセーターの上に隆起している乳首とか、"観る男"マスオさんの手腕が余すところなく発揮されています。
自分の目の前でとんでもないことが起こっているのだけれど如何せん、トキコが電話を終えてくれない。国際電話の料金は自分持ち。こうやって自分の貯金が着実に喰われていくのをトキコは復讐にも似た思いで面白がっている。早々に電話を切ってもよさそうなのに、男として、自分から電話を切ることもできないようで、それをトキコもわかっているので、尚更電話が長引いて行く。
電話している私をグロリアは見つめ、視界を何度か横切っては時々見えなくなる。しかし、そのグロリアが驚くべき行動に出た。床を這いながら私に近づき、私の脚の間に割って来た。そして、私のズボンを脱がし始めたグロリア。あれ、男嫌いじゃなかったの?
私はグロリアのブロンドの頭髪にささっているカンザシを認めた。しかし、トキコとの会話に気をとられた次の瞬間、そのカンザシがなくなったような気がした。

予感した通りだ。グロリアのカンザシが見えない。いや、そのカンザシは今は彼女の銀色の手に握られている。カンザシの突端が針の先のようにとぎすまされている。


「テーブルの下の婚礼」

主人公は画家志望の青年。芸術大学受験をめざし、上京したものの、デッサン研究所を出入りしているだけで、その研究所も最近通っていない。同じ芸術家をめざす友人のNが住んでいる下宿にしばらく身を寄せることになった青年。
Nがその下宿を一時的に留守にすることになり、その間、自分がNの部屋で生活することになった。その主人公にはちゃんと別な下宿先があったのに、友人が部屋を空ける間、代わりに自分が暮らすことになった、という設定が不自然。
その下宿にはサキコとその妹であるサキ。そして、姉妹の母親、という3人の女性が住んでいる。サキは12歳の少女。2階の下宿部屋に頻繁に上がって来ては、昼寝している主人公をで寝ている青年を見下ろしている。どうやら彼女は知的障害者らしい。
彼はこの少女に奇妙な欲望を覚えていて、何度も夢の中で裸の彼女が登場している。エロチックというより、「飴のように長くのびたサキの裸体が自分にからみつく」というかなり奇異なシチュエーションなのだが。
サキコは32歳の独身女。外に出て働いている、というわけではないらしい。昼間なのに、いつも腰まである長い髪を洗って、背中に滴を垂らしている。ワンピースの下にズボンを履く、という珍妙な格好。(平成の現在はそういうスタイルの女性もよく見かけますが、この小説の時代設定は昭和30年代らしい)。
お世辞にも器量よしと言えるタイプではなく、料理も家事も達者というわけではないらしい。その年にもなって未だに独身というのは、病人の母の看病と知的障害の妹の世話に追われて、婚期を逃したのかもしれない。
しかし、青年がお気に召したようで、頼まれもしないのに、彼のパンツとか下着まで洗ってくれる。Nの話だと台所も使わせてくれない、という話なのだが、青年には食事まで作ってくれるのだ。その上、お金に困っている彼におこずかいまで渡しているのだから。
サキコの話によると、Nは自分にプロポーズをしてきたのだが、お断りしたのだという。
青年はNが下宿代を工面するのにも困って、サキコと一緒になろうと思ったのだろうな、と考える。それほど、サキコは魅力に乏しい女性。
当然彼はサキコにまるで魅力を感じないのですが、困ったことに下半身だけはモヤモヤしているんですよね。ある日、いつものようにサキが2階の部屋にやってきて、ついつい青年は少女のワンピースを脱がしてしまう。しかし、少女の処女性までも奪うことはしませんでした。
そして、ある日の夜、欲情してしまった青年は姉のサキコを押し倒してしまうのです。そして、テーブルの下に転がる二人。
それから1週間後、寝たきりだったサキコとサキの母が亡くなり、サキコと青年は毎日のように、テーブルの下での婚礼をする。養護学校に通うサキがいないまっ昼間、テーブルの下でサカリのついた動物のように夢中になる二人。しかし、行うのはいつもテーブルの下。せめて2階の自分の部屋に行きたいと思うのだが、サキコがそれを承知しない。理由は「男が女の部屋にやって来るのはいいけれど、その逆パターンは嫌。」男が女の家に通っていた平安時代の価値観をサキコは未だに心のどこかに引きずっているらしいのだ。ならば、下の階の8畳間で、となると母親の遺骨が置かれている前で自分の脚を開きたくないので、そこも断固拒否。で、結局二人が愛を交わすのはテーブルの下、ということになってしまう。
それにしても、待てど暮らせどNが帰って来る気配がない。二人の間に関係が出来てしまった今となっては、Nの居場所などなくなってしまった。ひょっとしてNはこの家から逃げ出したのかも知れない。エキセントリックな姉妹と瀕死の病人しかいないこの家の陰気くささに彼は耐えられなくなったのかも知れない。でも、自分にとっては、この家は居心地がいい。いつでも受け入れてくれる女がいるし(本文の中ではもっと露骨な表現でした)、衣食住の心配もバイトの必要もないから。研究所にも行かず、絵も描かず、ひたすらサキコとの行為に溺れる毎日。
正直言って、官能的というよりグロテスクで嫌悪感すら抱いた私です。魅力的とも思ってない女と毎日を過ごし、画家になるという志も放棄して空虚な毎日をおくることを甘受してるなんて、これほど怠惰なことはないではないか。蝸牛の殻に閉じこもっていくようなこの閉塞感。「テーブルの下の婚礼」というタイトルこそ意味深だけど、太陽と女体がまぶしい映画の世界とはあまりにもかけ離れています。
しかし、ついにこの不毛な愛欲生活にも終焉が来るんですね。不注意にもサキに"その行為の現場"を目撃されてしまう二人。サキは学校に行かなくなり、その間、"テーブルの下の婚礼"はおあずけになってしまうのです。
悶々とした思いがつのって行く青年。そんなエネルギーがあるんなら、別なモノに向けんかい、と突っ込みたくなってしまいます。
そんなある日、青年は2階で不気味な夢を見る。遺骨の灰が天井から降って来て、自分が灰の中に埋まってしまい、瀕死の状態でいるという夢。夢から醒めた彼が2階に降りて行くと、ギョッとするような出来事があって、青年は下宿を飛び出してしまう。そして、本来自分が入居している、仲間とともに生活していた下宿に久しぶりに帰る青年。そして、友人の口から語られた衝撃的な事実。

「実はNはあの家の白痴の娘を犯していた。」
「白痴の娘の他にもう一人いるよ、32歳の姉が。」
「娘は一人だけだったと聞いてるがな。32歳の姉だなんて、ずいぶん歳が離れてるな。あっ、その年増女と12歳の少女は親子じゃなかったっけ。」


あまりのことに混乱してしまう青年。
"Nは少女を犯していた"
"Nはサキコをも犯したのか"
"サキとサキコは親子なのか"
"ならば、サキの父親は誰なのか"

この4つの事項をどうしてもはっきりさせたくて、再びサキコとサキの下宿に向かう。
玄関に入ると、家の中は薄暗く、二人の姿はなかった。風呂場にもトイレにもいない。ひょっとしたら二人は2階の部屋にいるのかも知れない。姉妹がそこで自分を待っている、という思いに捕らわれる青年。今の自分にはどうしても究明しなくてはならない4項目があるのだ。

私は階段の上り口でこのまま上がるべきかどうかをためらっていた。いつもの暗い階段が私を拒絶しているようにも招いているようにも思われる。昨夜の夢が脳裏を横切る。二階の六畳を領有している灰の表面に、今度は姉妹の首がつき出し、私の方に向かって妙にうれしそうに微笑を浮かべているような気がする。背後で物音を感じたので居間の方へ振り返った。腰をかがめて、ほとんど判別し難いテーブルの下を遠方から眺めた。暗闇のなかを一匹の蛾がテーブルの脚にぶつかったらしいにぶい音がした。

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by marikzio | 2006-11-19 19:04 | Book | Comments(0)

Avant Que L'ombre -LIVE 2006
ミレーヌの新しいシングルは、"Avant Que L'Ombre..."のライブ・バージョン。
"Avant〜"と言えば、噴水カーテンや幻想的なセット、そして最後のサプライズとファンの間で熱狂的な反響を呼んだことが記憶に新しいです。
ファンの隠し撮りビデオがネットで流れまくっていましたが、本日ようやく、公式のクリップがTVで流れ始めました。
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すでに、Rimbeauさんのブログ でいち早くリンクされていますが、こちらでも紹介したいと思います。
Rimbeauさん、今度はMacでもちゃんと見れましたよ♪
全編見ることができて、再び鳥肌が立ちました。

Dailymotion
Avant que l'ombre - Live 2006


衝撃の"あの"シーンも明らかに...!
会場にいた時も思ったけど、ミレーヌって、バストトップの位置が高い〜。
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これは、テレビの大きな画面で見たら、また印象が違うでしょうね。
早くウォーター・カーテンの水しぶき感をリアルに感じてみたいです。
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by marikzio | 2006-11-15 01:21 | Mylene Farmer | Comments(3)

Mylene Farmer "Music Videos IV"
ミレーヌ・ファルメールのヴィデオ・クリップ集"Music Videos IV"がついに届きました。
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2001年のベスト盤 "Les Mots"、2005年の"Avant Que L'Ombre..."からのシングル8曲+"FUCK THEM ALL"のメイキングの全9トラック収録。
ミレーヌ・ファンのほとんどはこのヴィデオ・クリップ集を入手してるかと思いますが、ここで、ミレーヌ映像に触れたことのない人のためにYou Tubeのリンクをご用意いたしました。
是非ともエロくて魅惑的なミレーヌ・ワールドの扉を開いてみてくださいな。

Les mots

C’est une belle journée

Pardonne-moi

Fuck them all

Q.I

Redonne-moi

L’amour n’est rien

Peut-être toi

ジェリコーの絵画「メデュース号の筏」をモチーフにした"Les Mots"もストリップ・ティーズが衝撃的だった"L'amour n'est rienc"も好きな作品ですが、marikzio的には"Q.I"が一番ツボみたいです。
女を惑わす側のはずのラテン青年が悪女ミレーヌの色香にメロメロにされてしまう、という内容です。彼の恍惚とした表情がなんともたまりません。

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足で青年の服を脱がし、彼の顔にハイヒール...。ミレーヌってほんとイケナイ女です。

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よ〜く見ると、ミレーヌの手がラティーノの皮膚の中に...。彼女は何者なんだ!?

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それでも男は登り詰めてしまうのです。もう、彼の幸せそうな顔と言ったら...。

難を言えば、種も仕掛けもなさ過ぎ。ボーナス映像もなく、いたってシンプルなパッケージに物足りない気がしなくもない。
しかし、来月はいよいよ、Bercy 2006のライブCD&DVDリリース(これが真打ち!)。ミレ二スト同士たちは大いに気分を盛り上げて行きましょう♪
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by marikzio | 2006-11-13 20:56 | Mylene Farmer | Comments(5)

Tiziano Ferro ツアー日程発表!
Tiziano Ferroの Nessuno e' Solo Tour の日程がついに発表となりました。

ツアー日程はこちら→ Tiziano Ferro Tour
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初日は2007年1月20日、Ancona。
開始があと1週間早ければ何とかなったのに...。国外ツアーはやらないのかな?

これは、口パクじゃなく本気で歌ってるテレビ出演ライブ。

You Tube  tiziano ferro STOP! OLVIDATE live

こんなの見るとイタリアまで飛んで行きたくなっちゃいます。目の毒ですわ。

ツアー情報元 Yahoo! 掲示板 -イタリア-イタリアの歌手
画像元 CARTOONS
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by marikzio | 2006-11-11 01:37 | Italian Music | Comments(2)


marikzio=mahのブログにようこそ。私の好きな音楽や映画を紹介しています。
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あけましておめでとうござ..
by millefeuille at 20:50
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