カテゴリ:Movie( 90 )

-Blue Valentine- by Derek Cianfrance
今やアカデミー賞ノミネート常連女優になりつつあるミシェル・ウィリアムズと最近、あちこちで名前を見かけるライアン・ゴズリングの共演作です。
よくある若い夫婦の甘い恋の始まりとその愛が破綻するまでの時の流れを淡々と綴ったドキュメンタリー風作品。

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Blue Valentine 邦題 『ブルーバレンタイン』
2010年 アメリカ
監督:Derek Cianfrance
出演:Michelle Williams 、Ryan Gosling


ディーン(ライアン・ゴズリング)とシンディ(ミシェル・ウィリアムズ)は結婚して10年くらいは経とうとしているカップル。二人の間には幼い一人娘のフランキーがいます。
ディーンは子煩悩ですが、上昇志向が強いタイプとは言えず、特に定職にもつかず漠然とした毎日を送っています。これは二人が出会った当時、運送屋のアルバイトをしていた頃とほとんど変わっていません。その隙間を埋めるべく、シンディは医療関係の資格を取り、病院勤務と主婦業をこなす、という多忙な日々。そんな夫婦ではバランスが取れるハズもなく、二人の間にはどこか不協和音が聞こえ始めている。とうに妻の愛は冷めていたのだが...。

b0069502_14452734.jpg全体的にスピード感もなく淡々として、そこに登場する場面は日常よくあるような出来事。シンディの化粧っ気のない疲れた風情と前髪前線が後退し、少々小太り気味のディーンの容姿が年齢を重ねていることを感じさせます。と、思いきや、ブロンドのロングヘアがキラキラの、お色気溢れるシンディがスクリーンに登場。そして就活をする若い印象のディーンも。
まともに働いたことさえないディーンが掴んだ仕事は運送屋のアルバイト。「自分みたいに学もなく、稼ぎのいい仕事でもない男は女達に相手にされないよなぁ」と呟くような場面もありますが、仕事先で行った老人ホームで祖母の世話をするシンディに一目惚れ。高嶺の花と知りつつも、抑えきれなくなったディーンは自分が見初めた美女に猛アタック。
一方、シンディは「将来は医者になりたい」と考える志の高い女子学生。ところが、クラスメイトの男子の目配せ一つで体を許してしまうような緩さがありました。後に明らかになりますが、初体験は13歳、性交渉を持った人数は20人超えという奔放加減。彼女なりに問題を抱えていたと思いますが、そこはストーリーの核心でもないので、はっきりとは描かれていません。正直、あまり恋愛対象にはならないようなディーンでしたが、彼のド真剣なアプローチと情熱に突き動かされ、二人の仲は親密に。ところが、シンディの妊娠が発覚。中絶手術も受けようとしましたが、結局は二人は夫婦となり、新しい家族を作ることを決意したのです。
しかし、いつしか二人の間には言い争いが多くなり、どこか冷ややかな空気が流れている。未だシンディを愛しているディーンは何とか、結婚前のラブラブな関係を復活させたいと思い、妻に久しぶりに水入らずで過ごしたいと、ある提案をするのですが...。
これといってドラマチックな展開もないし、重いトーンの場面が延々と続く作品。二人が出会ったばかりの頃、そして現在と時系列を交錯させて進行する、という斬新な趣向と主演二人の力量がなかったら、とても最期まで観られなかったと思います。

ミシェル・ウィリアムズって、セクシーだけど男達に翻弄される薄幸の美女、というイメージが強い気がします。欧米男性に人気が高いブロンド系、あまり賢くなさそうなトロンとした眼差し、ムチッとしたボディー。子役からこの世界に入ったと言いますが、お子様の時からすでにフェロモン満開で危ない雰囲気はありました。ドラマシリーズ『ドーソンズ・クリーク』で主人公が恋するNY出身の女子高生役で出た時は、ティーンとは思えない妖艶さで「うわ、この子、恐るべし!」と思ったものです。その後、『ブロークバック・マウンテン』で隠れゲイの夫を愛する人妻役でアカデミー助演女優賞を受賞。その時の共演者であるヒース・レンジャーと婚約し、一人娘までもうけますが、結局、婚約は解消。ヒース・レンジャーは自殺(?)し、彼女の人生も、まさに映画のよう。
2012年のアカデミー女優賞にノミネートされた『マリリン7日間の恋』で演じたマリリン・モンローはまさにハマり役で、これぞ21世紀のセックスシンボル像を体現してるのではないでしょうか?本作観てないけど。
『ドーソンズ・クリーク』での共演仲間にケィティ・ホームズがいますが、ケィティはトム・クルーズと結婚し、不能だと思われていた(?)トムの子どもを妊娠し、出産。今では女優というよりゴシップセレブとして定着してる感がありますが、ミシェルは子役アイドル路線に甘んじることなく、インディーズ系のマイナーな作品に積極的に参加して、演技の質を高めてきた強者。
本編の後半部分ではひたすらヒステリックになり、興奮状態で「もう一緒にいたくないの!出てって!!」とわめき散らすだけで夫の言い分に耳を貸さないシンディの姿に心を刺されました。嫌悪感とか、その他もろもろの感情に押し流されてる人って、理路整然と話すことが出来なくなるんですよね。ミシェル自身は、もう少し口が立つ人だと思いますが、「嫌だ!」とか「出てけ!」とか「別れて!」しか口をついて出てこない極限状況だったのか、それとも、本当は別れる決定的な理由などないのに、今の自分にはお荷物でしかないから、それしか言うことが出来なかったのか、と考えさせられる熱演でした。

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私はこれをWOWOWの放送で観たのですが、この映画の放送枠に登場する二人の紹介者のうちの一人が「この女の子、男を見る目がないよね~。運送屋のバイトのお兄ちゃんなんて最初から合うわけない。この作品はね、娘を持つ父親が、その娘がろくでもなさそうな男を連れて結婚したい、と言って来た時にね、この映画をビデオに残しておいて、こんな結果になっちゃうよ~、と見せてやればいい。そういう教材素材として非常に優れた作品」とコメントしたのにはびっくりしました。いくら何でも、公共の電波で言って良いことと悪いことがあるだろ、って思いましたが。
まあ、確かに、医者をめざしているような子がこんな将来性の薄い男と仲良くなっていいのか?と漠然と思いましたけどね、私も。妊娠しちゃって、結局いろんな事を諦める羽目になって、数年後に不満が大爆発したって、そんなの最初から予想できただろ、なんて言ってしまったら、身もフタもないわけですよね。
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by marikzio | 2012-03-13 14:07 | Movie | Comments(0)

-La Femme d'à côté- by François Truffaut
これ、フランス語の教材テキストにちょこっと載っているのを観て以来、凄い観たかったんですよー。あまりにも有名なトリュフォー監督の『隣の女』。先日、WOWOWでオンエアされてるのをついに拝むことができました。
かなーり前、テレビの深夜映画で放送されたのをビデオに録画したことはあるんですが、ちらっと観て、なんか昔臭い雰囲気だったので、まぁ、いいやと観ないで消してしまったことを後悔してました。でも、当時の自分が観ても、この作品の良さがわからなかったかも...。

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La Femme d'à côté 邦題『隣の女』
1981年 フランス
監督 François Truffaut (フランソワ・トリュフォー)
出演 Gérard Depardieu (ジェラール・ドパルデュー)、Fanny Ardant (ファニー・アルダン)


ベルナール(ドパルデュー)は若く美しい妻アルレット(ミシェール・ボームガルトネル)と一人息子のトマと3人で暮らす、いたって平凡な良き夫、良き父親。
空き家になっていた向かい側の家に借りてがついて新しいご近所さんが引っ越してくることに。引っ越しの手伝いがてら、挨拶に燐家を訪ねてみると、初老の紳士と、まだ若さを残した妻のカップル
がベルナール家族を迎えます。
若妻のアルレットは、無邪気にも、この夫婦に好意を抱き、早速、自宅へのお招きパーティーを開催。しかし、夫のベルナールと来たら、そのパーティのある夜に「残業があるから」とか何とか行って、エスケイプしてしまうのです。
その理由は、相手方の奥様のマチルド(ファニー・アルダン)は自分のかつての恋人であり、それも大恋愛の末に泥沼状態で別れていたからなのです。ああ、何という因縁、何という運命。
しかし、間もなく二人は再び求め合うようになり、密会の逢瀬を重ねることになるのですが...。

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60年代か70年代初めの作品かと思いきや、意外に新しく(?)81年の作品。当時は携帯もメールもなかった時代ですから、大胆にも自宅の電話からお互いにコンタクトを取ってるんですよねー。
観る前の予想では、ベルナールに未練たらたらのマチルドがストーカーのように彼をつけ回し、修羅場と化す、的なイメージを立ててたのですが、本編の流れではどちらともなく誘い合い、しかし、途中でマチルドが「私たち、もう会うのはよしましょう」と一方的に宣言しています。そして、それに逆上したベルナールが公衆の面前でマチルドに詰め寄り大失態を演じることになります。大人の恋でも歯止めが効かなくなると怖いのネ。

それにしてもドパルデューとアルダン、どちらも体が大きい組み合わせ。二人で並んで歩いたらさぞかし場所をとって周囲を席捲したでしょうに。アルダンはいかにもフランス女優らしい華やかな美貌、そして若いドパルデューは美形とまではいかないものの、ちょっと目を惹く遊び人風ですしね、こんなカップルなんて周囲から浮きまくって、インパクト強すぎて、とても秘めた恋なんて出来ないのではないかと思うのですが。
話の設定もいかにも古くさいよろめきドラマテイストなんですが、巨匠トリュフォー、名優ドパルデュー、魔性の女アルダンの三位一体でドラマチックな作品に仕上がっています。

でも、どうしてこの二人、こんなに愛し合ってるのに結婚にいたらなかったのでしょうか?
ほんとは何のやましい事もない、普通の1カップルだったはずなのに。二人が求め合えば求め合うほど、二人の間に破滅的なエネルギーが生まれ、ナイフのように傷つけあってしまう。しかも、マチルドなんてベルナールを失った後の心の溝があまりにも深く、自殺未遂を起こしたり、離婚も経験している。二人の間に何が起こったのか?をあえて具体的に描かずに、観る側の想像にまかせるところも、また巧み。
"ソウルメイト"なんて言葉が世の中には流通してますが、このベルナールとマチルドなんて、まさに"アンチソウルメイト"。最初から出会ってはいけない二人だったのではないか、と思います。一緒にいても負の共鳴関係しかもたらさないカップル。それでも、結局、二人の人生は再び交差し、起こるべくして起こることが起きてしまう。
磁石のように引き合い、結合したまま、人生の幕を閉じるラストは壮絶です。

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ファニー・アルダン、大柄で目鼻も肩も手も全て大造りなんですが、エレガントで格好良かったですね。当時、トリュフォー監督と恋仲だったそうですが、今も変わらぬ美しさ。
片やドパルデュー、フランスの武田鉄矢みたいな強烈な印象しかなくて、ベテランになった今もまさに岩男なんですが、若い頃って、そこそこに格好良かったんですよね...。う~ん、複雑。
 
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by marikzio | 2012-03-12 14:34 | Movie | Comments(0)

-Black Swan- by Darren Aronofsky
気がついたら、ここ1年くらい劇場へ足を運ぶことがなかったかも知れないです...。特に忙しい、と言うわけでもないのですが、なかなかタイミングを合わせられなくて(それを忙しい、とも言う)。
ハイビジョンの液晶テレビ&ブルーレイレコーダーを購入したことも理由の1つになるかも知れませんね。何しろ、録りためた映画等がすぐにHDDいっぱいになってしまうので、暇さえあれば、それを消化するのに必死という感じです。そういうわけで、いつの間にか劇場から足が遠のいていたわけですが、そんな中、「どーしても、これは観たいっ!」という作品がありまして、公開初日の昨日、しかも仕事帰りにシネコンへ走りました。タイミングを外したら、結局ズルズル先延ばしにして、上映期間が終わってしまうと思いましたので。

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『ブラックスワン』(Black Swan) 2010 アメリカ
監督 ダレン・アロノフスキー
出演 ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・クニス


名作『レオン』の少女役から17年。心が壊れていく孤独なプリマドンナという難役に挑み、ついにオスカー女優の地位を手にしたポートマン。ダンサー役があまりにもハマり過ぎてて、ヒロインはポートマン自身そのものではないかと錯覚してしまうほどのリアリティに鳥肌たちました。

主人公ニナ(ナタリー・ポートマン)は、ニューヨーク・シティ・バレエ・カンパニーに所属して4年目を迎えるダンサー。元バレリーナである母の厳格な監視のもと、バレエ一筋に生きてきた優等生タイプのニナは気品と才能に溢れ、プリマドンナとしての力量は充分。しかし、そんな彼女にも欠けているものがありました。
劇場に向かういつもの朝、ニナはメトロの中で、ある女性の後ろ姿に目をとめます。どこか自分に似たような背格好の彼女にニナは自分と重ね合わせてしまいますが、それでいて、向こうは自分とは決定的に違う雰囲気を持っている。影の部分を象徴しているような、もう一人の隠れた裏の自分が姿を見せたかのような奇妙な錯覚。ニナはその女性が気になってしかたありませんでしたが、女性は雑踏の中に消えてしまう。しかし、すぐに、その謎の女性が現実の存在としてニナの前に立ちはだかることになるのです。

芸術監督のトーマス(ヴァンサン・カッセル)は、かつては花形であったが、今や下り坂にさしかかりつつあるベス(ウィノナ・ライダー)を降板させ、新しいシリーズの『白鳥の湖』公演を決定。新しいキャストを迎えての新生『白鳥の湖』はこれまでとは劇的に異なる野心作であり、大胆な解釈と構想でより難解でスキャンダラスな作品になると宣言。
長年の憧れで心から尊敬していたベスの降板は残念ですが、新シリーズの『白鳥の湖』で是非ともクィーン役を勝ち取りたい、とニナは望みます。しかし、思わぬところで彼女の前に立ちはだかる壁。
オーディションの席でトーマスはニナに向かって言う。「白鳥だけなら、迷わず採用なんだが」。
新シリーズ『白鳥の湖』の画期的なところは何と言っても"ブラックスワン"の存在。無垢で善良な白鳥の影の部分に潜む、したたかで邪悪な性質を持つブラックスワン。その妖艶さ、危うさが出現し、白鳥の存在を覆してしまうのが見所になっており、出演者はジキルとハイドのように二極性を持つヒロインを演じ分けなければならないのです。
ニナにはブラックスワンの部分が決定的に欠けていました。幼い頃から母親の過剰な監視のもと、何の疑問もなくストイックにバレエの世界を極めてきたニナ。お行儀の良い、天使のような白鳥なら天下一品ですが、悩ましく官能的で人を翻弄するブラックスワンをどう踊ったらいいのかわからない。
楽団にはニナほど優雅に踊れるダンサーはいませんが、奔放さ、大胆さ、色気で、ニナよりブラックスワンに近いライバルはいる。しかし、これまでのバレリーナ人生を賭けてークィーン役は絶対に誰にもとられたくない。その為なら、色仕掛けでトーマスに取り入ることも辞さない、とばかりに濃い化粧をして、トーマスの部屋に乗り込むニナ。かつての自分なら、そんな事はあり得なかったのに。
また、最近のニナは自分の中で度々現れる現象に悩んでいました。何か自分の中にうごめく怪物がいて、時々、自分の皮膚を突き破って出てこようとしているかのような違和感。血まみれの手にぎょっとして、指の皮を剥がすのに躍起となっている自分がいる。
めでたく、クィーン役を勝ち取り、本格的なレッスンが始まると、その傾向はますます、はっきり顕著になっていき、ニナは次第に現実と妄想の境目を見失って行くのですが、いろんな意味で八方塞がりになっていた彼女は誰にも打ち明けることなく、暗い孤独のトンネルをひたすら突き進むのです。
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ヨーロッパ随一の美女、モニカ・ベルッチ旦那で知られる(失礼?)、ヴァンサン・カッセル。久々にお姿を拝見しましたが、最初の印象で「老けたな~」。時の流れを感じました。ポートマン演じるニナに対するセクハラ的発言&態度もなかなか板についてました。まぁ、この場合、セクハラとか芸術世界の裏側、言うより、ウブなヒロインが芸域を広げるためには必要な試練、って解釈もできますねぇ。色恋沙汰があった方が演技にも艶が出ますから。劇中でヒロインは冷感症女呼ばわりされてますし、監督者として、ヒロインの才能を開花させてやるためにも、そこも面倒みてやらにゃ、みたいな。うわ、なんか、自分でこれ書いてて嫌になってきた。
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そして、自分とは正反対のタイプのダンサー仲間とお遊びに行く、というニナの健気っぷり。ミラ・クニス演じるニナのライバルはかなり蓮っ葉キャラでナンパして来た男の子とハッパやったり、およそバレリーナとはほど遠いイメージ。そこの場面でニナがいかに俗世間から外れた生き方をして来たかが浮き彫りになるのですが、ニナはバレリーナである私から抜け出すことができない。バレエは彼女の人生そのものだけど、男の子達にとって、バレエは自分の一生に縁があるかないか、程度のもの。そんな温度差の狭間みたいなところをクニス演じる女の子は実に巧みに泳いでいて、技量の点ではニナに及ばないながらも、古典的なバレリーナのイメージを覆すような奔放さ、ワイルドさ、自由さがあって、これは遅かれ早かれ自分の存在をおびやかすことになると、ニナは確信します。
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ジャンル的にはサイコ・サスペンスに括られるのでしょうが、いろんな解釈がされる要素とか暗示がふんだんに盛り込まれていて興味深いストーリーになっています。母親の過剰な干渉と支配、セクシュアリティーの目覚め、食うか食われるかの世界で生きるアスリートとしての孤独。そう、この底なしの孤独感と言うのがね、少女時代から順調に女優としてのキャリアを重ねて来たポートマン自身と重なっているかも、と思わせちゃうわけです。ほんとにこういう人かも知れない、と。
もっとも、素のポートマンがどういう人かは知る由もありません。ニナと違って友達が多いかも知れないし、品行方正のイメージとは違い、かなり恋多き女性らしいので、どちらかというとブラックスワン寄りかも知れない。とにかく、バレリーナ役というのが、ほんとにポートマンの雰囲気にマッチし過ぎて、この役の為に女優業を続けて来たのではないか、と思うほどでした。
役者本人の人生に役が重なる、と言えば、「更年期障害ダンサー」呼ばわりされていたベス役を演じたウィノナ・ライダー。あまりの没落っぷり、そのやさぐれ加減がリアル過ぎて痛々しかったです。顔をフォークか何かで刺しまくるホラーな場面も強烈でしたね。かつての透明感ある、清潔なお色気はどこへ?世界中の女性が恋するジョニー・デップの彼女として輝いていた時期もあったのに。この怪演を機に是非とも『屋敷女』のベアトリス・ダル路線で大復活を遂げてもらいたいところです。

腕に黒い翼が生えるシーン。ここは圧巻でした。
心と体がボロボロになりながらも、最後には見事大役をやりこなし、人々の拍手喝采を浴びるニナ。ついにダンサーとして一つの頂点に立つこの場面、体重を9キロも落とし、毎日8時間もバレエのレッスンをこなし、途中、映画制作が暗礁に乗り上げたりもしながらも、女優魂の炎を燃やし続け、ついにオスカー女優の座に昇りつめたポートマン自身とやはり被ってしまいます。
まさにニナはポートマン、ポートマンはニナ、なのです。
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by marikzio | 2011-05-26 16:54 | Movie | Comments(0)

最近ちょっと気になった Clara Lago
これも、かなーり前に仕込みしていた記事なのですが...。
クララ・ラゴ、というスペインの若手新進女優さんが気になりました。
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きっかけは、"Hanged man"という英語タイトルのスペイン映画の主演作を観たからなのですが、これがまた、『ザ・レイプ 秘密』という何ともこっ恥ずかしいタイトル(^_^;
やはりお色気モノにカテゴライズされてて、配給元は、あのキワモノ作品ばっかり拾って来ることで有名なアルバトロス・フィルム。(『アメリ』という大ヒットもありますが)
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どんな作品か?と言いますと、いきなり見知らぬじさんに連れ去られ、性的暴行を受けた高校生のヒロインが、その場で相手を殺してしまう。殺人犯として、投獄されることを恐れたヒロインは、友達以上恋人未満だった男の幼馴染みに、その事を打ち明け、彼は少女の罪を隠蔽するべく二人は共犯関係を結ぶ。少年と少女は秘密を共有する仲になったことで結びつきを深めて行ったが、ヒロインは彼の、あまりののめり込みぶりに恐れを抱くようになり、逃げるように海外留学する...。
当然、エロティックなシーンもふんだんにありますが、ちょっと野暮ったいサスペンスでもあり、痛々しい青春ドラマでもあります。ちょっと考えれば十分、正当防衛として通じる事件だったのに、二人の無知な思い込みで、入らなくてもいいはずの泥沼にズブズブ沈んで行く展開が救いようがないとしか言いようがありません。最後に彼が自殺して、少年を捨てたはずのヒロインが泣きながら、自分の体に彼の名前を彫らせるラスト、結構好きです。
全体的にB級な作品なんですが、クララちゃんの無垢で危険な色香と言ったら、もう。
スペイン女らしい扇情的な美貌といい、成熟したボディーといい、これは、ペネロス・クルスばりに世界を魅了する大物女優さんになるぞ、という予感がしました。

すでに、彼女は子役として活動してて、『キャロルの恋』という作品が日本でも公開されていたみたいです。
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interview 『キャロルの初恋』クララ・ラゴ

1990年3月生まれのマドリッド出身。
現在21歳のクララ・ラゴはすっかり脱皮し、スペインを代表する官能女優へと進化を遂げつつあります。モデルなみの美貌と貫禄、演技も達者だし、作品に恵まれれば、ハリウッド進出もそう遠い未来ではありません。
実際、あちこちからすでにオファーがかかってるかも。
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by marikzio | 2011-04-29 13:03 | Movie | Comments(2)

"Cérémonie d'amour" ってどんな映画なのかすら??
ちょっと小説&映画のお話です。
まだ、ほんの触りの部分ですが、今、ピエール・マンディアルグの『すべては消えゆく』("Tout disparaîtra" André Pieyre De Mandiargues)を読んでいます。

すべては消えゆく (白水uブックス―海外小説の誘惑)

アンドレ・ピエール ド・マンディアルグ / 白水社



パリに住む初老の男、ユーゴがメトロの中で、一人の若い女の隣に座る。その女は公衆の面前で恥ずかし気もなく化粧をし、周りの者には目もくれない。しかし、ユーゴは彼女に激しく興味を抱いてしまい、目が離せなくなってしまう。列車を降りようとする彼女の後を思わずついて行こうとしたほど。数日後、二人はまたメトロの中で再会し、初めて言葉を交わす。女優志望という、その女に誘われるままに、ユーゴは列車を降り、二人は危うい官能の世界へ...。
...と言う筋書きらしいのですが、舞台はパリと言うだけあって、オデオンだのクリニャンクールだのモンテーニュ通りだの、パリを旅行した者にとっては聞き覚えのある地名が続出だし、地下鉄の車内で化粧をするエロい女、それをまさに上から下に遠慮なく、フランス式に眺める男の視線。それが、文学者マンディアルグ特有の哲学的で小難しい文体で綴られて行く。知的であろうがなかろうが、パリの地下鉄であろうが、田舎の温泉街であろうが、男と女が出会ったら、やることは一緒なんですけどねー、でも、マンディアルグ様がやるとねー、パリだとねー、やっぱり素敵。読んでるだけで、埃っぽくて、人でごったがえしてる車内の生々しさ、これみよがしに組んだ脚とか、かがんだ胸元からのぞく乳房とか、目に浮かんできて、「これっていかにもフランス映画に出てくるシチュエーションだよなぁ。すごく映像的だよなぁ。映画にしやすい作品だよなぁ」と思ってたら、やっぱり映画化されてたのですね!
ちょうど1年くらい前に、私は同じ著者の小説『オートバイ』を読んだのですが、これも、映像化したら、すっごく格好いいものになるのにな、と思ったら、マリアンヌ・フェィスフルとアラン・ドロン主演で『あの胸にもう一度』という邦題で作られていたことがわかって、ブログの記事にしています。マンディアルグ作品って、絵になるのでしょうね。


A.ピエール・ド・マンディアルグ 『オートバイ』生田耕作=訳

「La motocyclette」のマリアンヌ・フェイスフル


これはオリジナル本の表紙。この退廃的な雰囲気が濃くて嫌いじゃないです。

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さて、本作『すべては消えゆく』の映画化作品のタイトルは"Cérémonie d'amour"(愛の儀式)。
邦題は『愛の化身』、アメリカ版のタイトルは"Love Rites”だそうです。Walerian Borowcyzk という監督が、1988年に作った作品で、この人、日本でも有名な『インモラル物語』とか『邪淫の館 獣人』とか、ちょいお色気モノで知られる人らしい。
この、『愛の化身』もそういう方向性が顕著なものらしく、画像さがしてみたら、ここで載せるのが気後れするような官能的なポスターばっかりでした(汗)。

何とか、ご紹介できそうな写真でご容赦。でも、雰囲気は出てますよね♪
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英語ですが、映画の詳しい紹介ページを見つけました。

Love Rites -Marina Pierro-

『あの胸にもういちど』は幸運にも去年の夏、WOWOWでオンエアされました。ネットでは「駄作」という評価もちらほら見かけましたが、私的には、ちょっとサイケに走ってる部分もあるけど、映像も綺麗だし、若きフェイスフルの舌足らずで頭のユルそうな演技も可愛くて、意外に大満足でした。60年代風ファッションもキュートでお洒落、お色気過多になりそうな全身黒革スーツも彼女が着るとイノセントで逆に危なかったり。
ん~、しかし、この作品はどうなんだろう??出演者も無名だし、1988年と比較的新しい作品にもかかわらず、DVD化してないってことは、作品そのものの芸術性より、ひたすら娯楽、ウッフン度合いを追求するB級作品の域を出なかったからなのかなー、という気がします。


と、思ってたら、動画を見つけました。
ちょ、ちょっとコレって、ひょっとしてホラー!?



"Cérémonie d'amour"の単体ものはないようですが、この監督作品のコレクションとしてのものならあったみたいです。エロ、というよりカルト的扱いなのかな?

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by marikzio | 2011-03-11 10:48 | Movie | Comments(2)

Un Próspero Año Nuevo 2011!! 
年内中にはミレーヌの"Bleu Noir"のレビューをアップしようしようと思いつつ、とうとう年明けになってしまいました...。
年が明けたら速攻で、と思ってたのに、年の暮れからゴタゴタがあったりして、それもなかなかかないませんでした。

んが、その前に...

ブログを読んで下さっている方、

Que el nuevo año les brinde muchas felicidades a ti y a tus familia.

新年、明けましておめでとうございます!あなたや家族にとって幸せな1年となりますように...!

慣れないスペイン語をネットから拾ってご挨拶してみた↑

更新は相変わらずボチボチとなりますが、今年もよろしくお願いいたします。


とりあえずは皆さんへのご挨拶、ってわけですが、「ちょっと見たいなぁ」という映画が出てきたので、ついでに呟いてみる。

ナタリー・ポートマンちゃんの『Black Swan』
プリマドンナのドロドロ世界を描いたサイコサスペンス?
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エトワールを目指しながらも挫折せざるを得なかった母親の執念を背負わされるようにして育てられたヒロイン。幼い頃からバレエ一筋にレールが敷かれたその人生をストイックに走り抜くほかなかった彼女が開けてしまったもう一つの暗黒世界。そこでヒロインが目覚めたものは...?
という感じで、昨年の暮れからアメリカでは上映され何かと話題になったようです。
次第に精神の均衡を失い、パラノイアっぽくなっていく難役をポートマンが熱演。本物のプリマドンナらしく見せるために、過酷なダイエットを実行したうえに、振り付けを完璧にするまで猛特訓したという女優魂は必見ですよね。




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脚本とか演出の出来そのものはともかく、その凄まじいまでの負のパワー、渦巻く陰鬱なエネルギーに観た者は呑まれてしまうそうですよ。フラフラになって座席を立てなくなること必至!?
体調の悪かったり、気分が落ち込んでいる時は避けた方がいいかも?
なので、私も今は落ち込みモードなので、観てはいけません。


日本では春公開ですねー♪
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by marikzio | 2011-01-05 10:17 | Movie | Comments(6)

シリーズ 『X-Femmes』 の撮影現場風景から
先日の記事 でも、ちらっと触れておりました、エロティシズムをテーマにした、オムニバス映画『X-Femmes』関連の話題です。
女優やミュージシャン、そして映画監督など、あらゆる方面で活躍するフランス人女性達が「女性視点で見た欲望とエロスを追求する」という命題のもとに、自らメガホンを撮ったポルノグラフィックな作品集。(2008年 フランス)061.gif
メラニー・ロラン、ルー・ドワイヨン(映画監督ジャック・ドワイヨンの娘であり、女優ルー・ドワイヨンの姉)、レティシア・マッソンなど、錚々たる顔ぶれの中に、大好きなHelena Noguerraも監督として参加している、ということで興味を持ったわけですが、ちょっと検索してみたら、撮影現場の写真とかいろいろ出て来ました。

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ハーイ!私たちが『X-Femmes』監督陣よ053.gif
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バリバリの女流監督、って風格のエレナちゃん


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機材の扱いも板についてます。


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女優に指示を。


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い、一体、どんな話ぢゃ...?


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Peep show heros (2008)

私の名前はスーパーガール。ただ今、隣に彼氏を乗せて、キャデラックを飛ばしている。彼は今、目隠しをされて前を見ることが出来ない。今日は私の21歳の誕生日だから、思い切り楽しむの。
やがてキャデラックはポルノショップが建ち並ぶ歓楽街を走り、覆面美女と目隠し男のカップルは、地下に奥にある、秘密めいた店へと吸い込まれて行く。
もうすぐ禁断のエロティック・ショーが始まる!?

日本版DVDを取り寄せて見てしまった者の感想として...。(汗)
本編には、エレナちゃんご自身の曲が数曲使われていますね。
たまに映画に出てくるような"のぞき小屋?"を舞台に、視るものから、視られる者へ、そして実践する者へ、と展開して行きます。
個人的には、ちょっとやりすぎてるなーというか、エロスというよりは猥褻に過ぎる感じがして、ちょっと引いてしまいました。ヒロインもどぎつさが目に付きすぎて、綺麗に見えなかったし。このエグさはパリのピガール広場にある、エロティシズム博物館に通じるものがあります。これはちょっと興行的に失敗だった、と言うのはわかる気がしました。
商業的にイマイチだったけど、今を生き抜く生身のパリジェンヌによる、赤裸々な欲望やファンタジーを憚りなく伸びやかに表現する、という企画はやはり注目に値するから、日本版が出たのでしょうね。しかし、フランス版が9作品収録なのに対し、日本版は5作品。カットされたものの中に、年齢不詳女優、アリエル・ポンパドゥールさんの作品があったのが残念。でも、わざわざ、オリジナル版を買い直す程のものでもないと思ったし、あれを修正なしの素で見せられるのは、かえってつらいです。
ひえー、お母さ~ん、怖いよう。あんなものを遠慮会釈なしに撮っちゃう、フランス女性って、やっぱり凄いです。
中には、なかなか興味深い作品もあって、現役女流監督さんが「アナルセックスとエロティシズム」について語ろうと試みた作品はかなり出色だと思いましたよ。
これについては、また日を改めて、記事を書くかもしれないし、書かないかも知れません。

画像元 X-Femme ALLOCINE.COM
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by marikzio | 2010-08-06 12:07 | Movie | Comments(2)

-Naissance Des Pieuvres- by Céline Sciamma
これも、ずっと「観たい観たい」と思っていたのを、先日ようやくWOWOWで拝むことができた作品です。
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『水の中のつぼみ』(Naissance Des Pieuvres) 2007 フランス
監督:セリーヌ・シアマ
出演:ポリーヌ・アキュアール、アデル・ヘネル、ルイーズ・ブラシェール


思春期の性と生々しさ、混沌とした情感を残酷なまでに切なく美しく描いた青春映画の傑作。フランス映画界の新星、セリーヌ・シアマのデビュー作。
2007年カンヌ映画祭「ある視点」部門正式上演作品。2008年東京フランス映画祭出品作品。

パリ郊外の新興住宅地に住むマリー(ポリーヌ・アキュアール)は内気で幼さが残る15歳。
友達が通うシンクロのスイミング・クラブでコンテストがあり、そこで一人の上級生、フロリアーヌ(アデル・ヘネル)に目が止まり、心を奪われてしまいます。
すっかり成熟した大人の体つきと、早くも大人の色香ムンムンのフロリアーヌに魅せられてしまったマリーは、彼女に近づき、「あなが練習しているところを見学させて欲しい」なんて言い出すのです。(これでは、ストーカーではないか)
案の定、マリーの存在がウザいと思い、さっさと追い払おうとしたフロリアーヌに「あなたが望むことを何でもするから」とマリーはしがみつく。その熱意に負けて、フロリアーヌはマリーに水着を与え、プールサイドに入るのを許しますが、彼女は練習に参加するでもなく、水の中に潜って、じっとフロリアーヌを見つめているだけなのでした。しかし、フロリアーヌはふとある事を思いつき、マリーの隣に座り、彼女の手のひらに自宅の住所を書き込むのです。
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実はヒロインがもう一人いて、別のストーリーが同時に進行して行きます。
ちょっとおデブで垢抜けない少女アンヌ(ルイーズ・ブラシェール)。シンクロの一員としては、似つかわしくない感じではありますが、一人になった更衣室で裸でいるところに事件勃発!ドアがいきなり開いて、そこには男子水泳部員のフランソワの姿が。思いがけなく、自分の一糸まとわぬ姿を男の子に見られてしまったアンヌ。しかも、その子がまた、ちょっとイケメンだったりするものだから、アンヌの中に恋心にも似たものが芽生えてしまいます。
アンヌはマリーの親友でもあったのです。スイミングクラブで恒例のパーティがあって、二人で出かけて行くマリーとアンヌ。そういう場にはあまり馴染まないのでは?と思われる彼女達でしたが、アンヌはパーティに心ときめく男子がいたこともあって、張り切ってダンス。(これがまた痛い)
しかし、お目当てのフランソワはクラブ1番の美女、フロリアーヌと親密なようで、アンヌの前でキスなんてしてるものだから、彼女の恋心はあっさり傷ついてしまいます。

そして、マリーもまた複雑な思いを胸に抱えていました。フロリアーヌは度々マリーを呼び出すようになりましたが、それはフランソワと密会するためのカモフラージュとしてマリーを利用するため。フランソワとフロリアーヌがデートしている間、フロリアーヌが戻るまで、じっと待っているマリー。フロリアーヌが男たらしである、というのは女の子達の間で周知の事実みたいなものでした。みんな、どこかでフロリアーヌを軽蔑し、面と向かって嫌みを言いもする。そして、そんなフロリアーヌに体よくダシに使われている自分。
「いいんじゃない?男と寝たきゃ、寝れば!」
ついに怒りが爆発し、フロリアーヌに捨て台詞を残し、立ち去るマリーを背後から追うフロリアーヌ。「待って。私は誰とも寝ていないわ!」

マリーとは性格も体つきも全く違うフロリアーヌでしたが、彼女もまた、心に孤独を抱えて苦しんでいました。
「私には友達がいない。私は女に好かれないから」
男達の熱い視線をその髪とうなじに集めるフロリアーヌ。近づいて来るのは、自分を性的対象としか見ていないやりたいだけの奴ばっかり。フランソワだって例外ではありません。確かに、そういう輩を巧みに操って利用するのは楽しいし、話のネタにもなる。
「もう、私なんて、男に迫られて、そんな事ばっかりよ。あなたはどうなの、マリー?そういう経験あるんでしょ?」と連れに振ってみたものの、相手の返事は「ないわ」。
「羨ましいわ」思わず口にするフロリアーヌ。「本当に羨ましい」
フロリアーヌは自分が常にさらされる好色な視線に傷つきつつも、人並みにセックスへの関心を持っています。チャンスには山ほど恵まれているはずですが、未だに一線を越えたことはなく、それについて引け目すら感じていたのです。フランソワと近い将来、そうなりそうな予感はするけれど、自分が実は処女だとわかったら彼は何と思うだろうか?(そりゃ、喜ぶに決まってんじゃん)
こんな胸の内を誰かに話すなんて初めて。閉じられていたフロリアーヌの心は今や殻を破ろうとしているのです。フロリアーヌがセックスについて、いまひとつ踏み込めない恐怖心を抱いているのは、単純にティーンネイジャーだからか、男たちにイヤらしい目で見られて来たために嫌悪感を持っていた為でしょうか?それとも...。フロリアーヌはマリーの自分に対する同性愛的感情にほぼ100%気づいているはずです。ひょっとして、セクシャリティー的に仲間だと思ったから、マリーにだけは心を許すようになったのでしょうか?
「処女を捨てるなら、クラブかどこかの素性の知れない相手と」と思ったものの、それさえ実行に移せないまま(寸止めでマリーが阻止してくれた)、フロリアーヌの両親が留守という夜に、フランソワが泊まりに来ることになりました。
フロリアーヌは、マリーに、あるとんでもないお願い事をするのです。自分の破瓜(ギャー!書いてしまった)はマリーにやってもらいたい...と。

一方、フランソワの事がなかなか諦め切れずにいるアンヌ。犬も飼っていないのに、ご近所からワンコを借り出して、お散歩中とばかりにフランソワ宅の前をウロついたり、ショッピングモールから万引きしたネックレス(女用)をメモと一緒に彼に手渡したり...。これがまた、男子が着替えしている更衣室の中に堂々と入って行って、友人達がはやし立てる中、直で渡してしまうのだ。このストーカーまがいで大胆な行動に、ワタクシ、思わず手で顔を覆ってしまいました。強烈過ぎます。
そして、フランソワとフロリアーヌが初めての夜を迎えようとしている夜、アンヌはフランソワ宅の庭に侵入し、庭に穴を掘って、自分の着用していた下着を埋めていました。
その後、自宅で過ごすアンヌの元を誰かが訪ねて来ました。ドアの向こうに居たのは...、フランソワ!!!(フロリアーヌのところにいるハズじゃなかったのか?)
"おまじない"が効いたのでしょうか?

b0069502_113918.jpg原題の"Naissance Des Pieuvres"とは「タコの誕生」と言う意味。胸から上は優雅で華やかに見えるシンクロナイズド・スイミングの世界も水面下ではタコの足のように必死に水をかいてもがいている。その様を思春期の渦中を生き抜く少女達の姿に重ねる作者の感性が見事。当時、若干27歳の新人女流監督、セリーヌ・シアマは、フランス文学で修士博士号を習得後、名門・フェミス映画学校で学んだというエリート。シンクロをモチーフにした本作品にはもう一つ忘れてはならないキーワードがありますね。シアマ女史はレズビアンであることをカミングアウトしています。マリーのフロリアーヌに対する傾倒ぶり、男達と同じようにマリーに対しても気を持たせるようなフロリアーヌのしたたかさ。それに対比するように、アンヌの野暮ったくて不器用だけどド直球なヘテロ愛。
「マリーのフロリアーヌへの思いって、思春期特有の同性への憧れのようなものであって、一時的なものでしょ?ホントは男の子とキスしたいんだよ」と解釈される方も多いです。でも、フロリアーヌの魅力って、男性をストレートに欲情させるようなファムファタール的なものであって、同性からは反感をかわれるキャラのはず。マリーがド一直線にフロリアーヌにまとわりついたり、彼女の家のゴミをこっそり持ち帰るような固執ぶりって、セクシャリティーの兆候を示すものであって、一時的なものではないような気がするんですが。これについて、シアマ女史は観る者に解釈を委ねていますね。インタビューの中で「マリーは同性愛者だ、と解釈する人はレズビアンかも」なんて語ってるところがあったりして、ビビッたのですが、きっとこれは突っ込みに対する"かわし"と思いたい。
ちなみに彼女のセクシャリティーについては、本国フランスではほとんど聞かれず、日本では婉曲に、アメリカでは「あなたはレズビアンなのよね、そうでしょ」と強引に断言されたとか。フランスでそれに触れられなかったのは、今更どうでもいい問題、と関心を持っていないのでは?とご本人は推測しています。

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それにしても、少女3人のキャスティングが絶妙。とても素晴らしい演技力です。フロリアーヌ役のアデル・ヘネルはすでに女優として活動していましたが、他の2人は映画初出演。主人公役のポリーヌ・アキュアールは現役のリセエンヌで学校帰りの所を映画製作スタッフが見つけ出してスカウト。私的にポリーヌちゃんは「なまいきシャルロット」の時のシャルロット・ゲンズブールとイメージが被ります。そして、アンヌ役のルイーズ・ブラシェールは新聞広告の募集で。
作り手も観客もマリーに共感するように照準を合わせているそうですが、かなり酷だなぁ、と思ったのはアンヌ役のルイーズさんですね。主人公のお母さん?と間違えそうなオバちゃん入ったキャラの上に本編中2回も裸になったり、ベットシーンがあったり。これもかなり痛いなぁ、と思ったのが、マックでお子様向けのハッピーセットを注文するシーン。店員がまた意地悪で「あなたの年齢向けではないわね」なんて言うんですが、アンヌはおもちゃの双眼鏡のオマケがどうしても欲しかったので、断固として押し切ります。で、双眼鏡覗いて嬉々としてはしゃぐアンヌにマリーがうんざりして辛辣なこと言うんですよね。ちょっと可哀想だった。客の注文に「年齢制限あるから」みたいな事を言う店員なんて日本じゃ考えられないし、そんなオマケがあったら大人だって欲しがるかも知れない。
体当たりの汚れ役、これ相当、肝がすわってないと出来ないですよね。彼女、いわゆる美人タイプではないけど、味のある、いい女優さんになるのではないか、と思いました。

あと、どーしても、どーしても気になったのが、マリーとフロリアーヌの....な場面。最初、フロリアーヌがマリーにそれを頼んだ時は、一体どーやってそれを????と頭の中がグルグルしたんですが、結局、あんな風なんですか???シーツなんか取り替えちゃって、一応成功しました、みたいに片付いてるけど、どー考えたって無理でしょー!現実的ぢゃないーっ!!って思いましたが、やはりこれはおフランス映画でしかも、女の子のお話。リアリティーを求めるんじゃなくて、観念的なものに留めておくべきなんですね。そうですよね。

観念的、と言えば、ラストシーンがまさにそうでしたね。水面に浮かぶ、悲しみに打ちひしがれた二人の少女。このシーン、大好きです。傷ついたけど、致命的じゃない。大人になるための試練みたいなものだから、私たちはきっと、立ち直ってもっと強くなれる。そう暗示されているようで、この作品全体のカタルシスがそこに凝縮されている。そんな風な印象を与えるラストで感動しました。音楽も素敵です。

シアマ監督とフロリアーヌ役の女優のインタビュー特集。裏話など充実した中身で濃いです。
「ネタバレ注意!」となっておりますが、このブログ記事自体がすでにネタバレですので...。

インタビュー記事 『水の中のつぼみ』セリーヌ・シアマ監督&アデル・ヘネル
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by marikzio | 2010-08-02 11:39 | Movie | Comments(0)

映画 『La Boite Noire』 の中の Helena Noguerra
ああ、今日は一体どうしたと言うのっ!?
ブログを一ヶ月以上も放置していたくせに、一端書き始めると、やめられない♪止まらない♪本日投稿3回目♪♪

b0069502_15124879.jpgこれまた先日、WOWOWでオンエアされていた仏映画『ブラック・ボックス』に、歌手で女優でもある、エレナ・ノゲラが出演していました!

『ブラック・ボックス ~記憶の罠~』 原題(La Boite Noire) 
監督 リシャール・ベリ Richard Berry
出演 ジョゼ・ガルシア、マリオン・コティヤール
2005 フランス 


メインは主役のジョゼ・ガルシアと当時ブレイク前だったマリオン・コティヤール。我らがエレナちゃんは主人公の元彼女で客室乗務員、という役どころで登場します。
スッチー姿のエレナちゃん、可愛ええのぅ~053.gif
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いきなり、駐車場でウッフン、アッハン。
前にもこのブログで紹介した映画『Dans Paris』でも、セクシーな役どころでチョイ出演だったので、今回もカメオ出演程度かな?と思いきや、再び登場シーンがあります。やっぱり、お色気だったけど...。
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主人公に殺害されてしまうのだ!(妄想の中でだったけど)


でも、実際は主人公の元カノではなくて、父親の昔の愛人だったことが後で判明。幼少の頃に、その愛人に会った記憶が、主人公の脳内に錯覚を起こしてしまったらしい。
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「こんにちは、坊や」


この作品のジャンルはサスペンス。
交通事故を起こし、数日間昏睡状態にあった主人公。しかし、それがきっかけで彼の意識の中に眠っていた不可解な言葉たちが次々と口をついて出るように。ジグソー・パズルのピースのように散乱した記憶を再構築するべく、男は追跡調査を始める。そこで明るみになったものは...、というストーリー。作品自体は可もなく不可もなく、って感じでしたが、『Dans Paris』より長い時間、エレナちゃんを拝むことが出来てよかったです♪
それにしても、彼女、お色気な役が多いですね。もっと主役級のしっかりした役をこなしてもらいたいところですが、美人過ぎちゃって、そういうセクシーな役しか廻って来ないとか?


....と、思ってたら、彼女が参加しているオムニバス映画『X-Femmes (9 X-plicit films)』の日本盤DVD『女の欲望に関する5章 』を本日、発見!
メラニー・ロラン、ルー・ドワイヨン、レティシア・マッソン、アリエル・ドンバール、そしてエレナ・ノゲラなど、フランスで活躍する女流監督、女優、歌手が女性の目線からポルノ作品に挑んだ意欲作。またもやエロス系なんですけど...(汗)。
ご本人が出演してるのではなく、自らメガホンを取って撮影したものです。話によると興行的にはコケたらしい...。
以前、日本のブロガーさんでも話題にしていたので、一応知ってたんですが、いつの間にか日本盤が出ていたのですね。

これが仏盤のパッケージ。
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仏盤では"9 X-plicit films"と銘打ってあるのに、日本盤では"5章"。完全版ではない、ってことですね。収録を割愛された作品の基準は何なんでしょうね?
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by marikzio | 2010-07-29 15:51 | Movie | Comments(2)

つ、ついにあの禁断の映画を...
「Viera+DIGA購入して映画三昧している毎日」の続きなんですが、7月のプログラムの中に、とある禁断のラインナップを見つけてしまいました!!!

映画 『変態村』原題(Calvaire)
監督 ファブリス・ドゥ・ヴェルツ Fabrice du Welz
2004 フランス・ベルギー
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これ、かなり前に自分が「見たい!見たい!!」って騒いでいた作品です。(汗)

過去記事 『変態村』が気になる

『変態村』って、身もフタもないタイトルなんですが、原題の"Calvaire" は『受難』という意味でキリスト教から来ているらしい。
老人ホームなどを周り歩いている、若き二流歌手、マルクが次の訪問先に向かう途中、森の中で車が動かなくなってしまい、近くの村のはずれにある元ペンションで宿をとる。しかし、その元経営者である爺さんが、何故かマルクを数年前に逃げて行った自分の奥さんだと勘違いし、彼に奥さんのワンピースを着せ、頭を丸刈りにして、監禁してしまいます。しかし、それより更に恐ろしいのはその村に住むおじさん達。何しろ、揃いも揃って、みんな○○○なんですから...。
さあ、青年マルクの運命はいかに....!?


見た人からの話では「あれは何だったのか、わけがわからん映画」ということだったのですが、ホント、ワケワカで危険な作品でした。何で、あれがメジャーな形で公開されるのかわからん。それでもって、果敢にも、あんな映画に出演しようという俳優さんたちの気持ちがわからん。
いいんでしょうかね?ご自分の役者人生に傷がついたりしなかったんですかね??
「俺は何やってんだろう???」と我に返ったりしなかったんでしょうか?????


内容はあまりにも荒唐無稽過ぎるので、詳細を語るのはこちらでは控えます。
でも、「やっぱり、どーしても気になるっ!」という方は、↓のページをご覧下さいませ。

変態村 WIKIPEDIA  


それでも、この映画の中で唯一私が絶妙だ、と思ったのは村の男達による不気味な舞のシーン。この2分弱の短いシーンの中に、この作品のエッセンスがギュギューッと詰まっているような気がして、ここだけでも観る価値ありです。
一見いい加減なピアノの伴奏、なかなかミステリアスでいいですね。不気味でありながらも笑える、独特の空気感を盛り上げてます。



んで、この『変態村』の直後にオンエアされていたのが、『変態島』。変態つながり、ってことでしょうか?
"変態"がタイトルにつく映画を立て続けに見た、と書くと、私の人格が疑われてしまいそうですが、これ、エマニュエル・ベアールが出演してるんですよー。共演はルーファス・シーウェル。
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タイトルだけ聞くと、誤解されてしまいそうですが、全然『変態島』な内容じゃないですよ!
監督が前述の『変態村』と同じファブリス・ドゥ・ヴェルツさんだから、そこに無理矢理関連づけただけ!いくら何でも、フランスを代表する大女優、ベアールですよ。共演も有名な俳優さんなのに、この扱いは酷いなぁ、と思いました。

この2作品の配給元は、一部で有名なアルバトロス。
マニアックなアート系映画やエロス映画を日本に紹介してる通好みなレーベルで、日本でも大ヒットした『アメリ』が有名ですね。
いい映画も扱うけど、ベアトリス・ダルが妊婦のお腹を裂く『屋敷女』とかキワモノ作品も多いらしく、またインパクトを狙った変な邦題をつけることも多いです。
私は『変態島』のDVDパッケージは手に取って見ていませんが、ネットの書き込みによると、「5分に1度は登場する変態シーン」とか、「妖艶なベアールによるエロチック・スリラー」とか、扇情的な宣伝文句を連ねていて、いらん期待を持たせて買わせようとしている意図がプンプンだそうです。実際は全く別物の内容でしたよ。これだけ中味とタイトルが乖離しているものも珍しいような。

ストーリーは、半年前に津波で愛息を失った夫婦(ベアールとシーウェル)が、東南アジアにバカンスに来ていて、偶然見てしまったミャンマー国境にある子供たちだけの島のビデオの中に「行方不明の我が子なのでは?」という光景に妻が釘付けになってしまう。なんとしても、その島に行って、愛する息子を助け出そう、とする社会派サスペンス。
自分の子供?とは言っても、遠目に歩いている子供の後ろ姿だけだったし、その程度の情報で、治安の悪い危険な異国で行動に移すのは無謀、というもの。しかし、その時、すでに妻の精神状態は常軌を逸しているし、物語が進むにつれて、その錯乱ぶりが顕著になって行くんですね。そんな妻に夫は振り回され、夫婦はいかにも胡散臭い地元の水先案内人に大金をボラれながらも、危険な秘境の島へと足を踏み入れて行く...。


子供を津波で失ったばかりなのに、リゾート地にバカンスに出かけて行く親がどこにいるか?
原始的な高床式の住居しかない島に、ヒラヒラのワンピースとサンダルで向かう人がどこにいるか?と、突っ込みたい箇所もありますが、ベアール様の色香なしには耐えられないような、ビジュアル的にもストーリー的にも重苦しい作品。彼らが行き着いた島には、たった二人の老人と、文明生活からかけ離れた野性的で食人族みたいな子供達が大勢いました。何でこんなに大勢の子供達がいるんだろう?そして案内人は殺され、夫も子供に腹を裂かれ(ギャーッ)、そして、妻はこの野生児達と共存して生きることになるのだろうか?それとも、いずれ...。
原題「Vinyan」は「怒れる魂」とでも言うそうで、この怖い子供達はすでにこの世の存在ではなかったのかも...。

作品的には悪くなかったんですけど、ベアールほどのスターなら、もっと仕事を選べたんじゃないの?という気がしました。まだ知名度はそれほどではなくて、野心的な若い女優さんなら、それもアリかな、と思うけど。
ベアールさんが落ち目なのか、この、新進映画監督ファブリス・ドゥ・ヴェルツさんが、結構有望株でこれからどんどん大きくなっていく人なのか?
右上がりと右下がりのグラフの線がちょうど交差したっていうこと?
でも、やっぱりベアールは美しかったですよ。すっぴん顔でさえも少女のように可憐。さすがは元祖フェロモン女優。 
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by marikzio | 2010-07-29 13:41 | Movie | Comments(4)


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