-Science of sleep- by Michel Gondry
2007年 07月 17日
そんな彼が隣に住む女の子に恋をした。「せめて夢の中だけでも恋人同士でいたい」
恋愛睡眠の力は縦横無尽。次第に彼は夢の中の出来事を現実と混同するようになって行く...。
邦題 『恋愛睡眠のすすめ』
監督 ミシェル・ゴンドリー
出演 ガエル・ガルシア・ベルナル、シャルロット・ゲンズブール
父親を失ったばかりの青年ステファン(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、メキシコを離れ、母クリスチーヌ(ミウ=ミウ)が住むパリへとやって来ます。母が経営するアパートに住み、母が紹介してくれた仕事について新生活を始めるステファン。しかし、彼に与えられた仕事は自分が望んでいたクリエイティブなものとはかけ離れたもの。同僚にも恵まれず、結局、彼は空想の世界に逃げ込むことになってしまいます。
彼の心の拠り所は、脳内スタジオ"ステファンTV"。
段ボール箱を継ぎ接ぎしたようなセットの中で、料理番組のようにあらゆる材料を投げ込み自分好みの夢を調理。この夢世界というのがまた、いろんなオブジェやアニメーションを切り貼りしていて、コラージュっぽい。監督のミシェル・ゴンドリーはビョークなどのビデオ・クリップを作っていることで有名な人なので、イメージを洪水のように増殖させていく手法はまさにミュージック・ビデオ人の面目躍如と言った感じです。
映像以外にも、ステファンが人類史上に残る過去の大惨事をモチーフにしたカレンダーを考案したりなど、ブラックジョークが炸裂。
「こんなビザールな映画にあのシャルロットが登場するのか?」
ワタクシ、疑心暗鬼に陥りかけました。
しかし、ついに我らがしゃる坊の登場。
ステファンの前に現れた隣人ステファニー(シャルロット・ゲンズブール)。
ステファニーのピアノを運んでいた運搬人のミスで怪我を負ったステファンは、彼女の部屋で手当を受けることに。知的で可憐なステファニーに一目で心を奪われるステファン。しかし、引きこもり気質で世慣れてない彼をステファンの友人ゾーイがからかう。
顔見知りとなるものの、あまりに内気なステファンは自分は彼女の向かいの部屋に住んでいることさえ言い出せません。何でそんなことを隠す必要があるのか自分にとっては意味不明でした。
彼女を好きになったものの、結果的に失恋したステファン。その一方、二人の間に友情が芽生え、信頼関係を育んで行く。ステファニーは彼の脳内スタジオにも顔を出すようになります。
そこでの彼女は出演者として、ステファンが理想とする心優しき女をプレイする。二人の関係は理想的なだけでなく、時にカミソリのように辛辣な言葉が飛び交ったりして実にリアル。自分は二人の仲がどこまでが現実で、どこからが空想なのかわからなくなりました。途中、ステファンのママが同居することになったり、彼が会社をクビになったり、上司に恋の相談をしに行ったりして、ますます混乱。
ハッピーエンドを暗示するようなラストシーンも彼の夢の中の出来事でしかないのだ、と考えると切なくなります。しかし、それを言ったら、映画や小説なんてほどんどは虚構の世界。それに一喜一憂している私たちもまた、ステファン・ワールドの住人なのです。
母親役にベテラン女優のミウ=ミウ。ステファニーの友人役ゾーイに『ママン』で大胆演技を披露したエマ・ドゥ・コーヌ。冴えない同僚セルジュにサーシャ・ブルドー。この人、歌手ロベールとデュエットしてビデオ・クリップにも出演してます。
それにしても特筆すべきは、ラテン系セクシー俳優のベルナルが不器用なオタク系青年を演じきってること。彼の新たな一面を見せてくれたというか。ゴンドリー曰く、「ステファンは自分自身のことだ」というそうですが、ベルナルじゃちょっと、いい男過ぎませんか。(笑)
自分的にはベルナルの危ない魅力爆発の『Bad Education』が大好きなのですが、この作品でもサービスショットがほんの一瞬あります。この映画をご覧になったことはおわかりだと思いますが、ステファンが全裸で部屋から出て来たところをステファニーが魚眼から目撃してしまうところですよね。「あら、んまぁ♥」という感じでした。彼、下手するとシャルロットより背が低く見えたりしますが、それはそれで魅力的。
元モデルで女優の母、叔父が俳優兼演出家という芸能一家に生まれ育ったベルナル。幼い頃から子役として舞台に立ち、映画でも活躍しますが、より本格的な演技を学ぶため、19歳でロンドンに留学。そして、『アモーレス・ペロス』で世界的に大ブレイク。
「メキシコ人なのにきれいな英語を喋るなぁ」と思ってましたが、ロンドンで学んでいたのですね。映画の中では母がフランス人、父親がメキシコ人という設定で、仏語はそこそこしか話せない、でも英語は堪能という役柄でした。映画全体の言語は英語とフランス語のチャンポンという感じでしたね。
「恋愛睡眠のすすめ」 公式サイト
お風呂上りでアワアワのランボ~です。
映画、ご覧になられたのですね!
トップの映画ポスター(?)はドイツのものなのでしょうか?
いろんな国のポスター見ましたが、これが一番ス・テ・キ!
と思いました。(マリン色は私のフェイヴァリット・カラ~)
>私たちもまた、ステファン・ワールドの住人なのです。
あら、ドキンとくるフレーズですね!!!
表面的には出さないけど、ヒトはどこかしらステファン君のように
妄想の中というか夢を見ながら生きてると
監督は伝えたかったのですかね?と思いました。
ところでこの映画のエマちゃんはちょっとヤンチャでコワかったぁ!
あ、シャル坊が持っている(写真の)袋がちと複雑。。。
(けど、シャル坊自身は相変わらずチャ~ミ~ングリンだつたわ!)
ポップだけど切なくって・・・また見たくなる映画でした。
前の記事ではちゃんと書いてたのに、お恥ずかしいですわ。オホホ。
私もこのポスターが一番きれいだと思い使わせていただきました。よく見たらしゃる坊の横顔が写ってたのね。ますます素敵♪
>表面的には出さないけど、ヒトはどこかしらステファン君のように
>妄想の中というか夢を見ながら生きてると
>監督は伝えたかったのですかね?と思いました。
そうそう、自分もそう思います。
人生の半分は「こうなったらいいのにな」という夢の中で生きているような気がする。時に妄想は自分の夢を実現させるエネルギー源となることもある。
これって、「妄想のすすめ」!?
>ところでこの映画のエマちゃんはちょっとヤンチャでコワかったぁ!
ホント別人みたいでした。でも、やっぱ小悪魔キャラだった!?
前回の御紹介も読ませて頂いたのですが、もう公開中ですかぁ~。
私はRimbeauさんと同じ劇場かどうかは判りませんがレイトショーだけの劇場じゃない方で平日余裕で観てました。
高いTシャツも買ってしまったのですが、このポスターの画の方が夏向きそうですよね。
4~5月ぐらいにある輸入誌の表紙に目が止まり、パラパラとめくると何と!シャルロットちゃん。
でも私はジェーンと思ってしまいました。
こんなに似てると感じた事はなかったんですけど。
あっ、パティ・スミスも少し入ってたけど・・・感じとして。
偶然ですけど、その表紙になっていた人がいたロック・グループ(英・マンチェスター)のレコードジャケ・ポスターがガエルのベッドの横に貼ってあったなぁ~。
「妄想のすすめ」・・・yunaさんのブログでも、おっしゃられてましたね。
でも、ジェーンほど過激な役はやってませんよね。でも、もうちょっと歌が上手くならないと、ライブはやれないかな?
もちろん、レコーディングの声はいいですが、ステージで歌っている時の歌唱はさすがに、「う〜ん」なので。
>偶然ですけど、その表紙になっていた人がいたロック・グループ(英・
>マンチェスター)のレコードジャケ・ポスターがガエルのベッドの横に
>貼ってあったなぁ~。
ガエル君の趣味なのかも知れませんね。それとも、ゴンドリーのだったりして。
>yunaさんのブログでも、おっしゃられてましたね。
そうなんですよ。自分のモチベーションを高める妄想なら大いにすべきではないかと。妄想で終わってしまうことも多いですけどね。