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-Une Avanture- by Xavier Giannori

混沌の街、パリ。
青年ジュリアンは、夜の車道を裸足で彷徨う一人の女性に目を止める。虚ろな目をした彼女は夢遊病者。底知れない孤独と悲しみを抱える女に彼はいつしか魅せられていた。
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邦題『情痴アヴァンチュール』
監督 グザヴィエ・ジャノリ
出演 リュディヴィーヌ・サニエ、ニコラ・デュヴォシェル

恋人のセシル(フロランス・ロワレ=カイユ)と新生活を始めたジュリアン(ニコラ・デュヴォシェル)。華やかなファッション業界で働くセシルとは対称的に彼の仕事場は深夜のビデオ・ライブラリー。ビブリオテークに立ち寄ったことのあるセシルの家族はその陰気くささに驚いたと言いますが、ジュリアンは自分の仕事に不満はないようです。
勤務を終えて、家路についたジュリアン。アパルトマンの入り口で、ガラス越しにこちらを見ている女性の存在に気づきます。焦点の定まらない目線、裸足でふらついた足取りの彼女は見るからに尋常ではありません。ジュリアンは彼女に話しかけようとしますが次の瞬間、彼女の姿は夜の闇に消えてしまうのです。
次の日、彼は驚くべき光景を目にすることになります。女性と子供を連れスーパーで買物をする、あの女性の姿が。昨夜の心神喪失者とは別人のように生き生きと美しく、彼は我が目を疑います。しかし、その日の夜、彼は再び、アパルトマンの入り口に佇む彼女と出会うことになります。腕を負傷している彼女に近づき、声をかけるジュリアン。しかし、彼女は奇声を上げてジュリアンを突き飛ばす。ジュリアンは逃げる彼女をアパルトマンまで追跡し、その部屋にまで入ってしまうのです。
下着姿でベットの上でほとんど意識を失っている女。家に不法侵入者がいることにすら気づかない。ジュリアンは机の上にあったビデオテープを思わず持ち逃げしてしまうのです。
ビデオ・ライブラリーでそのビデオテープを閲覧するジュリアン。そこには裸でプールサイドに横たわる奔放な彼女の姿が。そして、パートナーらしき男と射撃の練習をする場面も。

後に彼はこの女性と知り合いとなります。
彼女の名はガブリエル(リュディヴァイーヌ・サニエ)。メイドを雇って、高級アパルトマンに息子と暮らす優雅な暮らし。それというのも、高級クラブを経営するルイ(ブリュノ・トデスキー二)の囲い女だったから。ガブリエルは自分が深夜徘徊をしていることがわかっていないようですが、昔から夢遊病の気があったことは自覚していました。
彼女は突然ジュリアンの家に押しかけ、彼とセシルを夕食に招待したいと言い出します。気が進まないまま、ガブリエルの家へ向かうジュリアンとセシル。いざガブリエル宅に来てみるとホステス役の彼女はひどく苛ついており、ちょっとしたことでメイドと言い争いをしてしまうほど。部屋中に充満する不穏な空気。
そしてルイはジュリアンに打ち明ける。「ガブリエルの息子は恐らく自分の子供ではない。彼女は自分が拾った女。自分が助けてやらなきゃ、とっくの昔に死んでた。」
ルイにはオランダ人の妻と子供がいて、郊外の豪邸に住んでいました。時間が来れば、ガブリエルの元を去って家族の待つ家へと帰って行く。愛人でしかないガブリエルはルイと不毛な肉体関係を続けるだけ。ルイに見捨てられているような感覚は彼女を深い孤独へと追い込み、その満たされない寂しさが彼女を夜ごと彷徨わせる。その肉体を傷つけながら。
ガブリエルがかなり重い状態にある、と感じたジュリアン。何とかして彼女を救ってやりたいと思うようになります。謎の多い彼女に魅了され、次第に深みに入り込んでいく彼に疑心暗鬼になり始めるセシル。ガブリエルの介入により、このカップルにも暗雲垂れ込み始め...。

「女が無防備な姿で夜の街を歩き回る」
まるで一昔前の土曜サスペンス劇場のように扇情的な出だしじゃないですか。しかも、心の病を抱えるヒロインにセックス・シンボルのリュディヴィーヌ・サニエ。それだけで充分集客力ありますが、この作品のテーマは現代人の孤独。劇中、ジュリアンが資料ビデオで夢遊病の病理について調べたり、発作を起こしたガブリエルが腹部を自分で刺すなどサイコな要素もありますが、自分はルイとガブリエルの関係が一番気になりました。「私を見捨てないで」と訴えるガブリエル、「以前の君は少女のように欲しがったのに」と口走るルイ。二人の繋がりって、一体何だったんだろう?しかも、あの結末...。まさに情痴的な関係としか言いようがないのでしょうか?
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ファム・ファタールな役どころの多いサニエ。日本的に言うと「毒婦」とでも言うのでしょうか。今回もセクシーで破滅的なヒロインを演じています。劇中の彼女は蠱惑的、というよりもやつれた印象。あの"そんじょそこらにないバディ"以外は、結構ふつーだと思いませんか?顏は小さいけど、ぼんやりしたオメメは落ち窪んでるし、特別華のある女優さんだとは思わないのです。しかし、その不完全さこそが彼女のお色気の源なのかも知れません。あ、あと、あのハスキー・ボイスは妙にソソられますね。
映画の中では刹那的な女だった彼女、プライベートではちゃんと幸せを掴んでます。ジュリアン役のニコラ・デュヴォシェルと、この共演がきっかけで結ばれ、子宝にまで恵まれてます。
もうママなんだからエロは封印なのかなぁ。でも、そこはフランス女。いくつになっても、ママになってもフェロモン全開で頑張って欲しいもんです。

日本語公式サイト 映画「情痴アヴァンチュール」
Commented by Rimbeau at 2007-04-16 22:03 x
私がサニエたんを初めて見たのは
「焼け石に身ジュ!(ヤンキー編)」だったのですが
正直あまりピンときませんでした。
その次に「8人の怨難(おんな?)」を見ましたが、あまりプンとせず。
「スイミング・プール」でムム!と来て、この前の映画祭でようやくブレイク!って感じです。

かわいいことはかわいいけど、確かにどこにでもいる子ってカンジ。
けれど、演じると”オンナ”全開で真っ盛りになりますね!

それがフランス女ってやつなんでしょうか?

私もルイとガブの関係はよーわかりませんでした。
ルイの剛毛な遺体がブキミでした。。。
Commented by marikzio at 2007-04-17 00:46
私は「8人の...」の末娘が「焼け石」のボインちゃん(死語)ということに最後まで気づきませんでした。
でも「僕の妻はシャルロット・ゲンズブール」に出演していた時のサニエたんは妙にコケティッシュだと思いました。「シャルロット、うかうかしてると旦那さん取られちゃうよ〜」みたいな。
やっぱりサニエは骨の随までオンナ。
by marikzio | 2007-04-16 17:23 | Movie | Comments(2)

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