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JEAN GENET 没後20周年

JEAN GENET 没後20周年_b0069502_1058250.jpg今年2006年はフランスの作家で詩人のジャン・ジュネ没後20周年なんだそうです。
ジャン・ジュネ(1910ー1986)はフランス、パリ生まれ。
父親は不祥。公立施療産院で生まれ、母はすぐに彼を捨てて姿を消してしまいます。10歳で盗みを働き、感化院に送られますが、19歳の時にその施設を抜け出し、軍隊に入隊してシリアに配属。
帰国後、盗みや男娼をしながらヨーロッパを放浪し、青春時代のほとんどを監獄の中で過ごしたペデ(男色)作家。執筆活動を始めたのは1929年。
監獄の中で書いた『花のノートルダム』が当時の知識人たちの目に止まり、その才能を大絶賛され、『薔薇の奇跡』、『ブレストの乱暴者』、『葬儀』、『泥棒日記』などが日本でも翻訳されています。
彼の半生の集大成でもある「泥棒日記」を執筆中に10回にもわたる有罪判決の結果、終身刑が確定するのですが、サルトルやコクトーの運動でフランス大統領の特赦により刑罰を免れることになったというフランス文学史上の中でも異色で伝説的な存在。
前衛的作家として成功を収めたあとは在フランス移民労働者やアメリカの黒人、パレスチナ人などマイノリティー民族の人権擁護者として活動。1986年4月15日、パリの小ホテルでその奇異な人生を終えました。

JEAN GENET 没後20周年_b0069502_11271153.jpg私がジュネ文学を初めて手にしたのは高校生の時。サドの存在は知ってるけど、実際に読んだこともなかった私にとって初めて触れる異国の暗黒文学がジュネ作品だったのです。
絢爛たる筆致で綴られる犯罪と男色の世界。びっちり書かれた字面と恐ろしく難解で膨大なボキャブラリーに圧倒されながらも、「肥溜めのように汚いけど、どこか崇高で美しい」独特のジュネ・ワールドに魅了されたのを思い出します。
孤児院育ちで、乞食のように暮らした社会の厄介者が、高等教育を受けるチャンスなどほとんど考えられないのに、どうやってこのような長文、しかも抽象的でメタファーに富んだ文章を書けるようになったのか不思議でなりませんでした。学校に行っていた頃は成績優秀だったそうだから、頭はもともと良かったんでしょうけれど、彼がその驚異的文才をいつ、どこで身につけたのかはいまだに謎の部分が残っているそうです。


時の文人たちにもてはやされ、フランス文壇の中で一目置かれる存在になっても、上流階級の彼らとは本質的に心を通い合わせることはできなかったようです。彼の根源はあくまでも不潔で、じめじめした、悪行のはびこる世界にあったのです。そこに世俗とは一線を画す、究極の美学を見出したところから、彼の文学が始まっているわけで当然と言えば当然なのかも知れません。それに、男色家の彼にとって、荒くれ者たちがいっぱいいる監獄はエロチックで刺激に溢れた場所だったのかも知れませんネ。

YTTツシマさんのe-boutiqueで UN CHANT D’AMOUR - PORTRAIT JEAN GENET 1910-1986 [JEAN GENET]20周忌記念DVD+2CD+BOOK セット が販売されています。
こんな貴重な限定版を扱うなんて、さすがツシマさん。エライっ!「まがいものの美、聖ジュネ!」というキャッチフレーズが秀逸です。
「私も在庫があるうちに買ってみよーかな?」と思ったのですが、DVDも本も当然フランス語なので、私の語学力では理解できず、結局、本棚の肥やし(こーいう場合、タンスでもクローゼットでもないし)になってしまうだろう、というで購入は見送りました。
ご興味のある方はお早めに。

その代わり、と言ってはなんですが、アマゾン・ジャパンで彼の「泥棒日記」と「ブレストの乱暴者」の文庫本を購入してみました。
高校、浪人時代に読んではいるのですが、だいぶ忘れてしまったし、また新しい発見があるかも知れない、ということで、自分なりにジュネの没後20周年イベント(?)をしてみたいと思います。
読んだら、ここのブログで紹介する予定です。
Commented by Rimbeau at 2006-04-26 19:25 x
ジュネって男色家だったんですね。知りませんでした。
フランスの三島由紀夫ってカンジなんですかね?
Commented by marikzio at 2006-04-27 14:46
私の中では「"ホモ"と言ったら、この人!!!」っていうような位置づけにある人ですね。
う〜ん、三島由紀夫は「仮面の告白」しか読んだことないから、よくわからないけど、『流麗な文体である意味耽美』という点では共通してるとも言えなくない?(ジュネが耽美、というのも意見が別れそうですが)
ジャン・ジュネは日本に遊びに来たこともあったみたいですよ。
二ホンのMishimaと会わせたかったなぁ。
by marikzio | 2006-04-26 11:31 | Book | Comments(2)

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