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-Bad Education- by Pedro Almodovar

スペイン映画の巨匠、ペドロ・アルモドバルの半自伝的映画とも言える衝撃作です。
2004年、カンヌ映画祭のオープニングの夜に上映され、熱狂的な拍手と涙の渦を会場に巻き起こした、「愛情と裏切り、そして欲望」の物語。

〜注意!!激ネタバレあり〜
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1980年、マドリッド。
新進気鋭の若手映画監督、エンリケ(フェレ・マルチネス)のもとに、謎の美青年イグナシオ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が突然訪ねて来るところからストーリーは始まります。
イグナシオはエンリケと寄宿学校時代の同級生であり、二人は16年ぶりに再会を果たします。そして、エンリケにとってイグナシオは初恋の相手。
現在は小さな劇団に所属する駆け出しの役者であるイグナシオは、"アンへラ"と改名したことを告げ、自分が書いたという「訪れ」というタイトルの脚本をエンリケに渡し、映画化してくれないか、と持ちかけます。

-Bad Education-  by  Pedro Almodovar_b0069502_13511341.jpg「訪れ」には少年時代のエンリケとイグナシオが登場し、物語の前半は本当にあったことでした。
天使のような歌声を持つ、美少年のイグナシオとエンリケ少年は恋に落ち、映画館の中で初めて愛を確かめあいます。
しかし、深夜の寄宿舎で二人がトイレの個室にいるところを見回りにきたマノロ神父(ダニエル・ヒメネス・カチョ)に見つかってしまいます。
二人はやましいことは何もしていなかったのですが、それを神父に信じてもらえる術もなく、エンリケだけが寝室に戻され、イグナシオは礼拝堂に連れ出され、神父と二人で真夜中、神に祈りを捧げます。
「自分の言う通りにすれば、エンリケを退学にはしない」と言われた少年イグナシオは、愛するエンリケを守るため、何のためらいもなく、神父に身を売るのです。
しかし、マノロ神父はイグナシオを欺き、エンリケは放校処分に。
月日が流れ、クラブで歌うドラッグ・クイーン、サハラとなったイグナシオは母校を訪れ、マノロ神父に会い、自分の体験をもとにして書いた「訪れ」を出版するつもりだ、と言います。
自分の過去の秘密が世間に公表されたくなかったら、金を渡せ、と自分の人生を狂わせた恩師に詰め寄る、という展開のストーリー。

エンリケはこの「訪れ」を気に入り、映画化することを承諾します。そして、イグナシオ自身を出演させることも。
イグナシオは「自分の役はサハラだ」と強く主張しますが、エンリケはどうしても受け入れられませんでした。
理由は「サハラを演じるには彼は逞し過ぎる」から。
「ダイエットならいくらでもする」と食い下がるイグナシオ。しかし、エンリケはどこか不自然さを感じていました。
「この男はイグナシオじゃない。彼とは違う人物のような気がする。」
お互いの言い分がかみ合わず、背中を向けたエンリケに対し、イグナシオはこう毒づきます。「ホモめ!」
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イグナシオはエンリケの家に忘れ物をしていました。白いおパンツと"ホテル La Pera"と書かれたライター。("ラ・ペルラ"はイタリアの高級ランジェリーのブランド名でもあります)
エンリケはこのホテル・ラ・ペルラの近くにイグナシオは住んでいるに違いない、と踏んで、ホテルのバーの店員にイグナシオの実家を聞き出します。
イグナシオの実家を訪ねたエンリケは衝撃の事実を突きつけられます。
イグナシオは3年前に他界していました。彼の名を語ってエンリケのもとにやってきた男は弟のファンだったのです。

再び、エンリケの前に姿を現した偽物イグナシオ(弟のファン)。
彼は体重を落とし、プロのドラッグ・クイーンからレッスンも受けているので、どうしてもサハラを演らせて欲しいとアピールし、エンリケも彼の熱意に応えることにします。
しかし、エンリケはイグナシオが偽物であることに気づいていないふりをすることにしました。
一方、ファンもまた、自分の嘘がばれていることはわかっていました。母親が「エンリケという男が家に訪ねて来た」と教えてくれたからです。
しかし、彼もまた、しらばっくれる事に決め、表面上は16年ぶりに再会した恋人同士ということで、共に生活し、撮影がスタートします。

「この男は、何故兄と偽って、俺の前に現れたのだろう?」
自分に体は開いても、決して真相を語ろうとしないファン。心を開くことがないまま、映画はクランク・アップの日を迎えます。
そして、映画監督エンリケの元にある一人の年配の男性が現れます。
この老人こそが、イグナシオ少年を弄び、エンリケを学校から追放したマノロ神父だったのです。そこで、イグナシオの死の真相について、彼の口から語られ始めます...。

教壇を退き、現在は出版社に務め、編集長をしている、という元神父のオフィスに、イグナシオが電話をかけてきたのが、3年前。
「自分の要望に応えなければ、お前の家庭も名誉も地位も全て潰してやる」と、言うイグナシオの脅しに、老人は彼のアパートを訪ねます。
かつての教え子、イグナシオは変わり果てた姿となっていました。性転換手術をし、ドラッグ常習者となっていたのです。
「自分には金がいる。体も整形したいし、更生施設にも入りたいし。」
イグナシオのアパートには彼の弟のファンが一緒に住んでいました。もはや壊れてしまった兄と違い、若くてセクシーで野性的魅力に溢れるファン。老人はファンに目が釘付けとなってしまうのです。
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ペドロ・アルモドバルは私の好きな映画監督の一人です。
彼の創る映画には、同性愛やドラッグ・クイーンがよく登場しますが、ストーリーの核になっているのは親子や兄弟の間に流れる愛憎と言った濃厚な血の絆を描いたメロドラマではないか、と思っています。
彼の書くドラマって、衝撃的なものが多いけど、流行や話題性のみで題材を取り上げているわけではなく、極めて普遍的なメッセージが込められているというか、まさに古典悲劇のような美しさがあります。
ファンは、ドラッグ中毒者にまで成り下がってしまった兄が、このままでは家庭を破壊してしまいしかねない、と判断して、兄をもう、生かしておくわけにはいなかい、と男色家の元神父と手を組むことになるのですが、それは優しい母を兄から守るため。でも、兄をも深く愛していることにも変わりはないわけで、兄の死後、元恋人のところへ行き、私生活でも劇中でもイグナシオになり切ろうと決心するわけです。

ファン役のガエル・ガルシア・ベルナル(写真一番下)、「これぞラテン男!」と言いたいぐらい刺激的な視線にゾクゾクしてしまいます。
おまけに鍛え抜かれたナイス・バディ!何度スクリーンの前で赤面したことか。(#^_^#)
エンリケ役のフェレ・マルチネス(写真上から二番目)もエロっぽい感じがステチです。プールから上がるファンをいかにも好色そうな目つきで眺める顔のアップが印象に残りました。

いや〜ん、公開期間中に、もういちど二人の姿を見たいかも。
でも、内容が内容だけに「また来たよ」と従業員に思われるのも恥ずかしいし...。

画像元 公式サイト(予告編が見れます)
日本語公式サイト

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お盆休みで、ネット環境のない実家に帰省するので、しばらく当ブログを更新できません。
投稿再開は8月16日ぐらいになると思いますが、それまでお待ちください。
皆さんもいいお盆休みを!

by marikzio | 2005-08-08 13:51 | Movie | Comments(0)

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