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-MILLION DOLLAR BABY-   by Clint East wood

2004年度アカデミー賞主要4部門を受賞した「ミリオンダラー・ベイビー」。
クリント・イーストウッドが主演・監督を務めるほか、名優モーガン・フリーマン、そして「ボーイズ・ドント・クライ」で性同一性障害で"男性として生きる女性"を演じたオスカー女優のヒラリー・クワンク共演とあって、大いに気になっていましたが、昨日ようやく観ることができました。

-MILLION DOLLAR BABY-   by  Clint East wood_b0069502_164832100.jpgフランキー・ダン(クリント・イーストウッド)は、ジムを経営し、何人もの秀でたボクサーを育て上げてきた、トレーラーとしては一流の人物。
そんな彼の元にマギー・フィッツジェラルドという一人の女性が現れ、自分のトレーラーになって欲しいと告げます。

「女のボクサーは専門外だ」と相手にもしなかったフランキー。しかし、次の日、その女性は彼のジムに半年分の会費を前払いして、入所します。
苦々しい表情で彼女をみつめるフランキーと対照的なのが元ボクサーでダンの親友であるスクラップ(モーガン・フリーマン)。
ダンに無視されてるのに、深夜まで黙々とサンドバックを叩き続けるマギーに、サンドバックの叩き方をアドバイスし、フランキーの使い古しのスピード・バックをこっそり貸してやります。

貧しい環境に生まれ、13歳の頃からずっとウエイトレスをしてしてきたという、現在31歳のマギー。
「プロのボクサーになるにはトウが立ち過ぎている」と酷な宣告をするフランキーに「トシだから駄目だ、なんて言わないで。あなたに指導してもらえれば、絶対に自分は強くなれる。」と切実に訴えます。
盲目的と言うか、視野が狭いと言うか。ここまで、彼女をボクシングの世界に駆り立てる物は何なんだろう?
父親に死なれ、生活保護を受けている母親は145kgのデブ、弟は服役中、間違っても恵まれた家庭に育ったとは言えない彼女。劇中には友人も恋人も登場しないし、きらめく才能があるようにも見えない。客の食べ残しをくすねて、自分の食事にあてるなど、生活費をきりつめて、ボクシングの費用にあてる姿は逞しいというより痛々しい。
「自分は勝負師として生きて行くしかない。」と本能的に感じていたのかも知れません。

しかし、二人の間に変化が訪れます。
ジムの中で一番有望株だったウィリーが突然、フランキーの元を去って行きます。トレーラーとしては超一流でも、マネージャーとしての腕は今一つのフランキーの元では自分はチャンスを逃してしまう、と彼は判断し、他の敏腕マネージャーへと鞍替えしたのです。
フランキーとマギーの新しいコンビが誕生し、フランキーの教えをすべて吸収していくマギーは次々と試合に勝ち続け、あっと言う間に新進気鋭の女子ボクサーとして名を馳せるようになります。
英国チャンピオンと対戦する時にフランキーは彼女に試合用のガウンをプレゼントするのです。
「モ・クシュラ」と刺繍されたゲール語。それは彼女の新しい名前として、ボクシング・ファンたちの間に広がって行きました。

マギーがどんなに快進撃を続けても、何故か私はずっと涙ぐんでいました。
予告編の雰囲気からして、悲劇的な結末になるのがわかっていた、と言うこともありますが、死んだ父親の想い出だけを胸に、ひたすらフランキーだけを信じ、ボクシングに打ち込んでいく姿がなんとも悲痛で。実際、この映画のラストは救いようがないのです。
劇中の中でマギーがフランキーに「家で飼っていた体の不自由な犬をある日父が車に乗せて出かけて行った。帰って来た時には車には父しかいなくて、代わりに泥のついたシャベルが積んであった。」というエピソードを語る場面があります。
実はこれがラストに繋がる伏線にもなっていて、余計涙を誘います。
フランキーが毎週通う教会のこととか、100通以上手紙を書いても封を切らずに送り返してくる彼の娘の謎ももうちょっと明らかにして欲しかった、という気もします。私が鈍いだけかな?

「感動的ヒューマンドラマ」なんて言い方もされてますが、そんな安っぽい表現では括れないような重さを私はこの映画から受けたのです。それも主演女優の存在が大きいように思っています。
ヒラリー・スワンク、この映画で二度目のオスカー主演女優賞を獲得しています。
マギー役がアンジェリーナ・ジョリーやジェニファー・ロペスだったら、こんなに胸の痛むような余韻は残らなかったと思います。それほど彼女の演技力は素晴らしい!
実はグラマラスな美女であるスワンクなんですが、「ボーイズ・ドント・クライ」以降の出演作はあんまりいいとは思いません。(「インソムニア」の女刑事役は良かったけど)
「ボーイズ〜」のヒロイン(ヒーロー?)やマギーに共通するのは幸薄くて、女性性を抑圧しているようなキャラクター。そんなキャラクターを演じる時に彼女の個性が輝くなんて、ちょっと皮肉ですね。スワンクがそういう役を選ぶというより、役の方が彼女を選んで来る、というような気がします。

だって、ほら、ヒラリーってエラが張ってて、男顔の美形でしょ?
「美形である」ということは顔立ちがしっかりしていることが条件なのだから、美人であれば美人であるほど、男顔に近くなるそうですよ。
だから、ニューハーフのお兄さんが性転換してお化粧するとすごい美人になるのはその為ななんだとか。
....話が脱線してしまいました。

画像元 「Million Dollar Baby」公式サイト
by marikzio | 2005-06-12 18:31 | Movie | Comments(0)

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