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『パリ 愛してるぜ~ 男一匹パリ暮らし 』 じゃんぽ~る西

※ 何と!このコミック、アニメ化され、公開されることになってたそうです!!
この記事を投稿した次の日にアニメの情報が出てたので、すごいシンクロ。
ご興味ある方は是非、お出かけださいな。(9月16日記)


短編アニメ作品「パリ番外区」

私には珍しく、漫画本のレビューです。
フランスとフランスの漫画に憧れ、単身で海を渡り、花の都巴里に移住した男性のサバイバルエッセイ。日本人、いや世界中の人間が勝手にイメージする優美で夢のような世界のパリ。しかし、その実態とは...。
『パリ 愛してるぜ~ 男一匹パリ暮らし 』 じゃんぽ~る西_b0069502_10551877.jpg

家賃が一番安いと言うことで、アパルトマン最上階の屋根裏部屋に住み(古いのでエレベーターはなし)、オペラ座近くのデパート地下の日本食材店で働き始めた著者。日本語ペラペラのジャパ専(日本女性ばかり相手にするフランス男性)とお友達になったり、ゲイで親日家のパトちゃんとカフェで待ち合わせしたら、そのカフェがおゲイな方々専門の出会い系スポットだったり、どうしようもない女たらしだが、モデルのような超美形で太陽のような匂いがするイタリア男ジュリオなど多彩な登場人物とのエピソードを絡め、作者独自の視点でパリのあんなとこ、フランス人達のこんなとこなどを綴っています。もちろん漫画で。

そのうちのいくつかとして...。

・窓のカーテンを全開にして、外から部屋が丸見えでも気にしないフランス人達。外では挨拶してくれるのに、窓で目が合っても、目を逸らしてそこにいなかったことにしてしまう。何故?

・パリ女性は短気でキレやすい。

・キャミソールやタンクトップからブラの紐が見えても全然気にしないパリジェンヌ。

・フランス人女性は若かろうがオバちゃんだろうが、オバアちゃんだろうが、鎖骨下から谷間の始まりにかかる平たい部分を全面的に開いた服装をしている。(私もフランスに行った時、ニュースの女性アナウンサーが谷間の始まりどころか、谷間の途中が見えているシャツを着ていて、驚いたことがある)
日本では、胸元が大きく開いた服を着るのはごく一部の若い女性に限られているため、在日フランス男性は、とっても寂しい思いをしているのだ。

フランスと言えば、何と言ってもビズ。
挨拶の度に、お互いの頬に代わる代わるチュッチュッとやるアレですが、著者が実際に実践することになって、実はホッペに唇を直につけているのではなく、「チュッ」と音を立てているだけのエアキスだということに気づきます。しかし、そのサウンドを出すのが下手だとフランス人の友人に指摘され、ビス音を一人で練習するところなんて、笑えるんだけど、もし自分も同じような境遇になったら密かに練習してるかも、と思えてしまう。だけど、日本には決してないビスの習慣にハマってしまい、同じ境遇の日本人男性とまで往復ビスする始末。フランス人でも男同士は握手というのが一般的だから男同士が、しかも日本人同士でビスしまくる、という異様さに当時は自覚していなかったそうです。

そして、そして、パリと言えば、やはり恋。
漫画イベントで知り合った、可憐なパリジェンヌのファビエンヌちゃん。彼女は日本の漫画ファンで、自分でもプロをめざしている。ビビビと来た作者は、彼女からメアドをメモしてもらうが、フランス人特有の癖字で何書いてるんだかわからない(涙)。しかし、地元の友人に何とか解読してもらい、ファビエンヌちゃんと連絡を取り合うことに。彼女から「日本のオニギリが食べてみたい」という要望に応えるべく、日本の母親に電話して、作り方を確認したり、食材選びに奔走したりするエピソードが涙ぐましいです。
会う度に彼女への思いが募って行き、友人にあれこれ相談した後、意を決して、ファビエンヌちゃんに「I love you...」と伝える著者。しかし、彼女にはすでに彼氏が。そして、更にショックなことに、フランス人には「告白する」という概念がないんだよ、と日系フランス人に教えてもらうことになります。『告白』というステップなしで、フランス人達は一体どうやって恋愛を始めるのか?
フランス人の恋愛は「はじめまして」がキスで、「こんにちは」がセックスなのよ、と語る在仏歴の長い日本人の女の子が登場したり、やはり『amourの国、フランス』は映画の中のお話だけではないのでしょうね...。

ネットで誰もが気軽にブログを開設したり、SNSを通じて情報交換できる現代。当然、海外在住者によるサイトも多く、パリやNYなど、世界的に経済やファッションの中心で格好いいイメージが強い大都市も、いやなに、住んで見れば意外に雑然として、オタクとか変わった人も多いよ、ということなんかが伝わってくるようになりました。なので、こういう視点は今更そんなに珍しくもないのですが、コミックとして、そして男性目線から描かれているのは、やはり鮮度が高いでしょう。

私はこのコミック本の存在をジーニーさんのブログで紹介されているのを見て知りました。
ジーニーさんのレビューも読んでみてくださいな。

ジーニーの助けてエンジェル 『パリ 愛してるぜ~』

そして、フランス語のPodcast番組「Chocolat」でも紹介され、ボブさんからじゃんぽ~るさんご本人がインタビューを受けているのを聴くことができます。

Chocolat! 「パリ、愛してるぜ~」et ギョーム

じゃんぽ~る西さんが、フランスに滞在されていたのはわずか1年ほどだったそうですが、これをきっかけにフランスと縁ができ、何度か取材旅行に出かけて行ったり、フランス人が運営するサイトで、日本で起こっている現象を紹介する『Live Japon』で4コマ漫画を執筆されています。

Live Japon

そして、これはご本人のブログ。
やっぱり、漫画家さんなんだな~。人物観察が鋭くて捻りが効いてます。

つつじヶ丘通信

じゃんぽ~るさんは、『パリ 愛してるぜ~』の前に『パリの迷い方』という著書を出されてるんですが、これはもう絶版のようで入手困難。マーケットプレイスで高値がついてます。でも、いつか読みたいな。



パリ 愛してるぜ~ 男一匹パリ暮らし

じゃんぽ~る西 / 飛鳥新社


by marikzio | 2011-09-15 10:55 | Bande dessinee | Comments(0)

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