何に使うの、そのノコギリ? -SAW- by James Wan
2004年 12月 23日
二人は、今から6時間以内に相手を殺さなければ生きてここからは出られないことを告げられます。
半狂乱になるアダムとは対照的に冷静に状況を分析する外科医のゴードン。謎の変死事件が連続して起こり、容疑者として取り調べを受けたこともある彼は、自分がその新たな被害者として巻き込まれたことを自覚していたのです。
何とか助かる鍵があるに違いないと場面の一つ一つに喰らいつきたくなるのですが、どこまでも意地悪な展開です。
何の接点もない登場人物たちがいきなり閉鎖された空間で極限状況におかれる設定は私に「CUBE」を思い出させるのですが、この映画は浴室以外の場面もあって、変死事件の追跡劇や外科医の家族の誘拐も織り込まれています。しかしどの場面も寒々として、どこか現実感がありません。
この映画を作成した東洋系のジェームズ・ワンはいかにもゲームに影響を受けた世代、といった感じの青年。どうりで映画というよりゲームっぽいわけです。
しかしながら、外科医役のケアリー・ウェルズが加速的に自分を見失っていく場面では「この人は助かったとしても精神障害が残るに違いない」と思わせるほどの迫力。そこは映画的でホッとしました。あと、リー・ワネルが煙草を吸って倒れる時の演技も結構好きです。
「SAW」日本オフィシャルサイト
「このゲームに勝ってこそ、生きることの素晴らしさが初めてわかる。」という結論に持っていくところは明らかに無理があると思い
ます。
まだ若いんですよね、この監督。この作品でチヤホヤされてしまったら、次回作はどんなモノを作るのかちょっと怖いです。