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-Stupeur et Tremblements- by Alain Corneau

-Stupeur et Tremblements-    by Alain  Corneau_b0069502_10275585.jpg「畏れ慄いて」アメリー・ノートン著 藤田真利子訳は2003年にフランスで映画化されています。原作をすでに読んでいる私は謎の国ニッポンでOLをしたベルギー女性の遭遇した世界がどのように映像化されているのか気になりました。
監督はベテランのAlain Corneau。ヒロインのアメリー役にSylvie Testud。そして、アメリーの直属の女上司にKaori Tsuji。映画の内容は原作にほとんど忠実に作られていました。30過ぎのSylvieは20代だった頃のアメリー・ノートン本人に雰囲気がとてもよく似せられていました。さすが女優、役作りに成功しています。日本語の発音も上手でした。

私は原作を読んでいる間、フブキを川原亜矢子の顔で読んでいましたが、実際にキャスティングされたツジイ・カオリさんもなかなかのハマり役でした。「あなたは知的障害者なんだから、最初からそう言ってくれればいいのにね!」と言う過激な台詞もサマになっています。なんと言ってもこの映画の見所は辛辣で情け容赦ないフブキとそれに立ち向かうアメリーの緊迫した絡み。演技に多少硬さはあるものの、女の怖さ、陰険さ、そして美しさをちゃんと表現していました。フブキ役のツジイさんはモデルとしてデビュー後、フランスでも活躍されている方だそうです。DVDのボーナス映像の中のインタビューでは流暢なフランス語を話していました。

アメリーを除いて登場人物がすべて日本人ですが、その中で一際キャラクターの濃い配役2人がいました。事あるごとに「アメリさんっ!!」と怒鳴る、体の小さなサイトー部長と、120キロくらいはあるんじゃないかと思えるぐらいの巨漢で威張りちらしてばかりいるオーモチ副社長。いったいどこからこんなキャストを調達してきたんだろう?と思うぐらい二人の個性は強烈でした。
サイトー部長に日本の俳優のスワ・タロウ。映画の中では悪い人ではないけど嫌みったらしく、背が低くていかにも冴えないおぢさんでしたが、インタビューを受ける彼はお洒落で笑顔のチャーミングな人。若い頃はイヴ・モンタンに憧れていましたが、まさか自分がフランスの映画監督の下で映画を作ることになるとは思わなかったそうです。他の出演作も観てみたいと思いました。
オーモチ副社長にバイソン・カタヤマ。実はベテランのドラマー。若い頃は体が大きいうえにボディビルで体を鍛えていたため、人に「動物園にいるバイソンに似てる」と言われ、見に行ったらまさにその通りだと思い「バイソン」を自分の芸名にしたとか。映画の中では怪物みたいでしたが、インタビューを受けるカタヤマ氏も感じがよくて優しい笑顔の人でした。若かりし頃は「マッスル王者」だったんでしょうけれども、今はすっかり太ってしまったそうです。

映画撮影の中でのエピソードとして、会社の社長室として、金屏風に高価そうな骨董品が置いてある部屋が準備されたそうですが、社長役の俳優さんが、「このような社長室は日本の会社ではありえない。これはヤクザの部屋だ」と申し立てたそうです。美術スタッフともめることになりましたが、「これは違うんだ」ということを何とかわかってもらおうとしました。ここでも、『外国人による間違ったニッポンのイメージ』を伺うことができて興味深かったです。
また、この「Stupeur et Tremblements」のDVDにはボーナス・トラックとして、短編映画「Yamamoto San」が収録されています。日本人観光客のヤマモトさんが、フランス旅行中、ツアー団体からはぐれるお話なのですが、ヘンテコな人物のように描かれていて、「やっぱ、これが外国人からみた日本人のイメージなのかしらん」とちょっと複雑な気分に。そのうちブログで取り上げたいと思います。

「Stupeur et Tremblements」の公式サイトここで予告編を見ることができます。
by marikzio | 2004-12-14 22:07 | Movie | Comments(0)

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